春の園にある壁画に描かれた神話は、狩人・山賊・旅人という立場や能力の違うものが共に手を取り協力するまでを描いたものです。 この、「共に手を取り協力する」と言う部分は、他の神話では余り見られません。 有名な北欧神話をとっても、アース神族・ヴァン神族といったように立場を別とする大きな区切りがあり、何度も熾烈な戦争を繰り広げます。 この戦争は最終的にアース神族が勝利し、ヴァン神族は見方は色々ありますが、一般的には属国のようになります。 しかし。 戦闘に勝利し、力を誇示したアース神族を山賊。敗北し、様々なものを奪われたヴァン神族を狩人。 このように見て見ましょう。 北欧神話では、アース神族はヴァン神族より数人を向かえ、交流を始めます。 壁画の神話で言う、山賊と狩人の協力を交流を始めた状態に相当するとは思えませんか? また、アース神族とヴァン神族は様々なものを交換します。これも、山賊と狩人の知識の共有に相当するとできます。 では、旅人はどうでしょう。 ここで、北欧神話を語る上で必須の「ラグナロク」(神々の黄昏)を旅人としてみます。 壁画では、旅人の訪れと共に山賊と狩人は旅に出ます。 北欧神話でのラグナロクは、全ての神々が死滅し、世界も崩壊します。 その後、一部の神々が復活し(生き残っていた、などの諸説はあります)、新しい世界を作って行きます。 その世界では、森の中で生き延びた一組の人間の男女の子孫が地上を満たしました。 ただ、復活した神々にヴァン神族の名前はありません。 でも、こうも考えられます。復活した後は、種族の垣根など気にしなかったと。 アースでもヴァンでも無い一つの神族として、共に歩み、人の行く末を見守ったのではないかと。 一つとなった神々が争いなく見守る中、人間は子孫を増やし、集まり、知恵をつけ、繁栄したのではないかと。 この壁画では、立場も能力も違うものが共存する様を描き上げています。 殆どの神話では、その性質上「争い」が全面に出ていますが、以上の比較をみると、この壁画のような解釈も出来るのではないでしょうか。