参加冒険:47:タイトル:失われた探偵 ( No.1 ) |
- 日時: 2007/01/06 20:17
- 名前: みはえる
- 参加冒険:47:タイトル:失われた探偵
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『大気圏外より未確認物体が落下。燃え尽きる事無く領海内に着水』との情報を受けて、みはえる、氷野凍矢、可銀、カヲリの4名による調査部隊が王宮より派遣された。
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「しかし、摂政二人で出陣ってどうなんだ一体。なにか大事があったら……」
(しっかり摂政こと)みはえるがそう言ってため息をつくと、必死に周りを見渡していた(うっかり摂政こと)凍矢がキレた。
「あんたが「新年会で帰らないから出陣は任せる」って言ったんでしょーが!」 「うぐぐ」 二人は座り込んだ。木製の手漕ぎボートに二人の猫忍者が並んでいる。沖に出てもう随分になる。360度見回しても陸地が見えない。目標物未だ見つからず。現在位置不明。簡単に言い換えよう。遭難した。
「……しょうがない、やるか」 「……しかたありません」 二人は体を丸め、ネコシッポを天に向かってピンと張った。世界忍者国の猫忍者に伝わる秘伝の技「しっぽアンテナ」である。
(説明しよう! しっぽアンテナとは、猫忍者のしっぽを空中でくるくる回す事によって、空気中のわずかな変化を感じ取り、周囲の状況をまるでレーダーのように把握する事が出来る技なのだ!)
ぐるぐるぐるぐる……。ボートの上で2本のしっぽがくるくる回る。
「……あ、そういえば、この技を使う時はコレを流せって藩王から厳命されてるんだった」 「え、あれですか……」 みはえるはどこからかラジカセ(今時ラジカセである)を取り出し、再生ボタンを押した。軽快なメロディーに乗って、国内で大ヒット中の女の子アイドルグループの歌が、海面に響いた。
しっぽ しっぽ しっぽアンテナ 今日も可愛い〜ニンジャなあの子 しっぽ しっぽ しっぽ アンテナ らぶりー〜ニンジャ♪
「……野郎二人がしっぽくるくる回しても誰も嬉しくないと思うのだが」
みはえるがそう言ってため息をつくと、必死にしっぽを回していた凍矢が本当にキレた。
「あんたが作った技だろうが!」
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一方、その頃。
二人の猫忍者による必死の捜索活動とは無関係に(!)、可銀とカヲリのマルチフィクサー(この国では医師兼整備士である彼らをそう呼ぶ)は、海に浮かぶ巨大な恒星間宇宙船の残骸を発見していた。宇宙船は半壊しており、回収できたのは燃料タンクと、一匹のオオカミだった。
燃料タンクの方は幸運にも無傷であったが、オオカミの方はひどい怪我を負っていた。早急な処置を施さないと命に関わると、可銀は初見で断じた。
「むむう、オオカミか……。まあ、イヌじゃないからな。治療してもいいだろう」
可銀が、わざとらしくうなりながら言うと、カヲリがツッコんだ。
「いやあの、オオカミはイヌ科イヌ属ですから、イヌ、なのでは?」 「気にするな。言ってみただけだ。目の前で消えかけている生命を見捨てる理由はない。違うか?」 「はい!」 二人が乗ってきたのは簡易的な手術も可能な救命艇だった。可銀とカヲリは迅速に準備を整え、国の民から「神に至る手」とまで表されるオペ技術を遺憾なく発揮し、オオカミは一命を取り留めた。全てを終えた二人は缶コーヒーで乾杯する。
と、突然手術室から包帯で全身グルグル巻きのオオカミが飛び出し、二人に「わん!」と叫んだかと思うと救命艇から飛び降り、物凄いスピードで泳ぎ去っていった(もちろんイヌかきで)。
「なんなんだあいつは! イヌは3日飼ったら恩を忘れないんじゃなかったのか!」
可銀は飛び上がって怒った。カヲリは、オオカミが元気になった事を心の中で喜びながら答えた。
「まあ、まだ3時間くらいでしたし、それに」
カヲリは可銀にそっと微笑みかけた。
「それに、彼は、イヌじゃなくてオオカミですから」
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○冒険結果:大成功:得たお宝:燃料14万t:ユニークな結果:なし コメント:日向を見つけたものの、本当に僅か1歩(出目1差)で救出は出来ませんでした。かわりに恒星間宇宙船の燃料タンクを見つけました。
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藩王冒険記 その1 ( No.2 ) |
- 日時: 2007/01/07 11:21
- 名前: 十五夜@藩王
- 冒険44のレポート。まだとちゅー。
出撃前の情景。 ==== 世界忍者国の藩王は退屈していた。 摂政2名と技手2名が冒険に行った。自分は王宮で書類にはんこを押している。 ひどく退屈である。
「退屈だわ…」
言葉にしてみるとさらに退屈が増した気がして、藩王は口を尖らせた。
「みんなばっかり冒険に行ってずるい」
たまたま書類を持ってきていた緋乃江戌人(ひのえいぬひと)騎士が、それを聞きとがめて呆れた。
「何をわがままなことをおっしゃってるんですか。藩王が冒険に出て、万が一死んだらどうするんですか。国がつぶれちゃいますよ」
わざわざ犬の国から脱藩してまでやってきた身としては、国がつぶれてしまっては溜まったものではない。
「冒険、楽しそうなのになぁ(うるうる)」
その袖口を捕まえて、藩王が瞳を潤ませる。
「そ、そんなうるうるされたって、だ、だだ駄目ですよ?」
戌人騎士はうろたえた。実はこの人物、女性に非常に弱い。藩王はそれを知ってからかいに走っている。
「いっちゃダメ?(うるうるうるうる)」 「だ………だっ、だっ……(あわあわあわあわ)」 「にゃー(ごろごろごろごろ)」 「だだこねたって……だだこねたって……(あうあう)」 「(おもしろいにゃあ)」 「(はっ)ほら、皆の意見を聞かないとっ。」
我に返って、ぽむと手を打つのへ藩王が舌打ちをする。
「ち」 「摂政様、陛下が反抗期ですよ……」
戌人騎士はさめざめと泣いた。
「何してるんですかー」
そこへ、氷野凍矢摂政が、やってきた。
「あ、噂をすれば影。摂政、陛下を止めてください」 「え、何何?」
うっかり摂政と異名を持つ凍矢摂政が不思議そうに聞くのへ、藩王がにやにや笑っていう。
「いやぁ、ちょっと冒険に行こうかと思ってさぁ」 「藩王は駄目でしょ!」
言下に言われ、むくれる。
「だって、資金なくて、このままだと他の国民の出撃もできないじゃん。お金欲しいよね?」
ぐじぐじと言い募る。
「私なら大丈夫だってば。絶対成功するからさぁ。」 「それでも何かあったらどうするんですか!」
戌人騎士がほくそえむ。
(ふふふ、凍矢さんの援護を受けましたよ) 「死なないだけですとか中間でもドーンが世の中あるじゃないですか!」
しかし、言ってることがわからなくて目をぐりぐりさせる。ドーンって何?
「陛下が行くくらいなら僕がいきますよ!」
戌人騎士の思い余った言葉に、藩王とうっかり摂政は顔を見合わせた。
「戌人騎士にはマルチフィクサーとして活躍して欲しいなぁ」 「戌人さんには……医者として活躍していただきたい…」 「藩王、摂政…」
戌人騎士は目頭を押さえた。いい人たちだ。
「…とすると、やっぱり藩王?…藩王の運にかけるしかないかなぁ」
うっかり摂政が途方に暮れたように呟く。藩王がにやり、と笑った。
「ね、そう思うでしょ?」
うっかり摂政が口をへの字に曲げた。
「藩王……生きて帰ってこられる自信があります?」 「あるある」
小躍りせんばかりの様子で頷く藩王。
「なら行ってもらいますかねぇ…」 「うぃうぃ、女は度胸」 「他の国民がOKだしたらですけど」 「えー」
ぐれる。
「共和国ですから民主でね」
にやりとうっかり摂政が笑う。
「冒険ぼうけーん」
戌人騎士は頭を抱えた。大丈夫か、この国。
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藩王冒険記 その2 ( No.3 ) |
- 日時: 2007/01/07 13:01
- 名前: 十五夜@藩王
- 出撃前その2。ようやく出かけました(長いよ!)。
==== うっかり摂政こと、凍矢摂政は、藩王の耳をを引っぱってホールへ連れて行った。
「痛い。痛いよ、摂政」
あたたたた、と引きずられていく藩王の後ろから、おっかなびっくり戌人騎士が付いていく。 ホールには、丁度休憩に入った国民がたむろしていた。うっかりじゃないほうの摂政こと、みはえる摂政が、3人に気がついて軽く手を振った。
「凍矢摂政…につままれた陛下、どうされました?」
にゃーん、と凍矢摂政の腕を振り解いて、みはえる摂政に抱きつく藩王。うっかりじゃないはずの摂政がぐるぐると目を回す。
「摂政ー、冒険行っていい?(うるうる)」
実は上目遣いに弱いみはえる摂政に、上目遣い攻撃をかける。
「場所は、王宮の裏山だしーそんなに危なくはないと思うのー(うふ)」 うっかりなほうの摂政が焦る。これは、やばいかもしれない。
「御自分の意見でおねがいしますねー?」
そして、藩王をにらみつけた。
「女王様はしたないですよ」 「にゃーん」
舌を出す藩王へ、さらに戌人騎士が言い募る。
「女王様、王家の者がその様な御願いの仕方をしてはいけませんよ。」 「えー」
ぐずる藩王、を横目にみはえる摂政は咳払いをした。
「まあちょっと考えてみたんが…やってみてもいいんじゃないだろうか」
凍矢摂政が顔色を変えて、何かを言おうとするのを手で制す。
「場所ほか条件を見る限り、そうそう死なないだろうと思う。それに、…他国を出し抜かないとつまらないだろう(笑)。予算も欲しい。貿易はまだ開始してないし、今のところどの国も金は無いわけだ」
にやり、と笑った。
「つーわけで行ってこい藩王。万が一の事があったら、壮絶な物語を書いてやる」 「らっきー」
藩王はにやり、と笑い返した。
「あ、もちろん他の国民の意見も合わせてね」
と、みはえる摂政が付け足すのへ、肩をすくめる。凍矢摂政が叫んだ。
「マトモな方の摂政ぶっちゃけないで!」
周りを見回して、味方はいないかと探す。たまたま、赤の騎士団団長、こと環月怜夜団長が通りかかった。彼女は、星見司(仮免)であり、吏族でもある。きっとまともな意見をくれるに違いない。と、吏族の制服である官衣の袖をつかんで、懇願した。
「なんとか言ってやってください」
首を傾げるのへ、はしょりすぎたか、と思う。
「…ええと女王様が死亡の危険がある冒険に出ようとしてるのですよ」
怜夜団長は、なるほど、と頷くと言葉を継いだ。
「次の女王様は真人間がいいですね」
わきでお茶を飲んでた月代騎士が吹いた。
「Σ次の話になってる(がぼんっ!」
藩王がにやにやと笑って返す。
「じゃあ、次の女王は怜夜団長で」
顔色も変えずに、怜夜団長がさらに返す。
「次の女王は凍矢摂政で」 「僕は男だー!」
凍矢摂政が叫んだ。
「うちって、女王制なんですねぇ」
月代騎士がのんびりと言った。
「じゃあ、出稼ぎに行ってくる」
凍矢摂政が、床に手をがっくりとついた。ダメだ、この国はもうダメだ。
「お供しましょうか?」
怜夜団長が言うのへ、藩王が微笑む。
「いや、今回定員はひとりだし、成功確率は猫忍者が一番高い」 「そうですか。いいですね、猫忍者。私も猫忍者が良かった」 「そうねぇ」
「うう、誰か、誰か止めてくれる人はいないのか…」
凍矢摂政がぶつぶつと呟く。
「このひとたちははっちゃけすぎてる……(遠い目」
藩王は、はははと笑った。
「じゃ、ちょっくら出撃してくる」 「いってらっしゃいませ」怜夜団長。 「いってらっしゃいませ」戌人騎士。 「陛下ご出陣っ!ばーんとぉ!いってらっしゃーい☆(マテコラ」月代騎士。
そして、彼らに手を振ると、ひらり、と窓から飛び出していった。
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藩王冒険記 その3 ( No.4 ) |
- 日時: 2007/01/07 14:49
- 名前: 十五夜@藩王
- ということで冒険本編。
==== 王宮の裏には山がある。たまたまあるんじゃなくて、山を背に城は作るものだ、という何かの本で読んだ藩王が山を背に城を作った。そういうことである。王宮から地下通路が、山頂にあるレーダ基地兼軍事施設へつながってたりするが、今回は関係ない。冒険指示書を見ると、裏山の7分目くらいにお宝があるらしい。
「なんで、現地の人間が知らないようなことを知ってるんだろう」
首を傾げるが、この冒険指示書に従ってちゃんとお宝を入手できたという、他国の情報を伝え聞く。
「ま、いっか」
藩王はふんふふーんとしっぽを一振りすると、ひょい、と崖を登り始めた。この国の人間は体格こそ小さいが、敏捷性にかけては抜きん出たものがある。猫忍者ともあれば、その能力は人間離れしている。とっかかりのほとんどない切り立った崖を、ひょいひょいと、猫というよりは猿のように登っていく。20分も上ると崖上に出た。
「あんまり防御にならないわねぇ」
猫忍者軍団とか来たらこの程度の崖は役に立たないなぁ、とちょっとがっくりしながら、王宮を見下ろす。
/ * /
その頃、王宮では、留守を守る国民達がそんな藩王の無事を祈っていた。
「とりあえず国民全員で祈りますか」
月代騎士が真顔で言うのへ、戌人騎士が頷きかける。
「ええ、祈りましょうか」
可銀技師が苦笑する。
「不思議と大失敗する予感は無いですが祈っておきますね(笑」 「祈るのはロイ像ですが」
月代騎士がホールの壁に飾られたロイ像を示す。塔にあるご本尊の同サイズレプリカで、銀色に輝いている。怜夜団長がげっそりした顔でそれを見た。
「祈りたくなくなった…」
「団長そんな殺生な(笑)」と、月代騎士。 「秤ス故」と可銀技師がびっくりする。 「ははは」と戌人騎士が笑った。
と、像を見ると目の前のあたりにもっこりビキニがある。なるほど、とみな頷いて怜夜団長を見た。
「めそめそ」
/ * /
なんとなく急に機嫌がよくなって、藩王は伸びをした。
「よし、お宝をゲットするぞー!」
そして地図をしげしげと眺めて周りの地形と見比べる。
「このへんなんだけどなぁ?」
首を傾げる。何も、ないように見える。
「そうだ、こんなときこそ、しっぽアンテナー!」
どこぞの竹とんぼ型飛行装置を取り出す調子でそう言うと、しっぽをぴんと立てる。
「しっぽ しっぽ しっぽアンテナ 今日も可愛い〜ニンジャなあの子 しっぽ しっぽ しっぽ アンテナ らぶりー〜ニンジャ♪ 」
最近お気に入りのヒット曲を歌いながら尻尾をくりくり回す。摂政2人に絶対歌うように、と言っておいたら、前回の冒険で歌いこそしなかったものの、BGMには流したらしい。男2人の情けない様子を想像して、くす、と笑うと尻尾に意識を集中した。
「んんん、きたきたー!」
違和感を感じた付近を捜しにいくと、草木で覆われ、ほとんど土と変わらなく見える扉を見つけた。
「はっけーん!」
唇をちらり、と舐めて扉を押す。鍵は朽ちて落ちたのか、ぎぃ、と扉が内側に開いた。
「誰かいませんかー。いませんねー」
速攻で留守と決め付けて、中へするり、と入り込む。
『こら、またんか』
そこへ声がかかったので、藩王は飛び上がった。奥に光がぼうっと灯り、その明かりの下に顔が浮かび上がる。
「あ、すみません、お留守かとー」 『冒険者よ、我が眠りを覚ます用は何か』
地獄からのうめき声のような声にかりかりと頭をかく。
「いや、別に起こすつもりはなかったんですけどね。ここにお宝があるって聞いたものでー」 『そう簡単に手に入ると思うのか?』 「えー、まあ、そんなに簡単には無理でしょうねぇ。あははははは」 『宝が欲しくば我が問いに答えるが良い』 「あんまり難しくないの頼みます」 『まあ、お前は美形なほうだから手加減してやろう』 「面食いかよ!!」
こんな妙な番人がいるとは…がっくりと肩を落とす。
『それでは第1問…』
ほとんど光のない洞窟の中に、陰々と番人の声が響いた。
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藩王冒険記 その4 ( No.5 ) |
- 日時: 2007/01/07 16:28
- 名前: 十五夜@藩王
- エンディング(笑)。
==== 藩王が王宮に帰りついたのは、翌日の朝だった。まんじりともせずに、王宮に泊り込んでた数名の国民が飛び出してくる。
「おかえりなさい!」
口々に言いながら駆け寄るのへ、さすがにちょっと疲れた顔をして藩王は微笑んだ。
「それで、…結果はいかがでしたか?」
戌人騎士が問いかけるのへ、にやりと笑う。無言で、肩に担いだ袋を下ろした。国民達が覗き込む中、その口を開く。
「あ、すごい…!」
月代騎士が感嘆のため息を漏らした。黄金が、きらきらと輝いていた。丸い人の顔を象った黄金の円盤が袋の中に入っていた。
「これ全部黄金ですか?」 「そうみたいだね。売れば4億くらいにはなるんじゃないかな」
藩王は、壁にはまって言葉を発してたそれを、感慨深く見下ろした。朝日が差す頃、魔法が解けてそれはただの黄金に還ったのだった。今はもう、魔法の影も残っては居ない。
「おめでとーございます!!」みはえる摂政が満面の笑みを浮かべる。 「大成功ですね!おめでとうございます。ふふっ、やりましたね。無事の御帰還がなによりの宝です」
戌人騎士が言うのへ、周りのみなが頷く。藩王は照れて頭を掻いた。
「ありがとう。まあ、大丈夫だとは思ってたけど、心配をかけたね。予算も少し増えたから、これでまた冒険に行けるよ」 「そうですな。ともあれ、冒険談を聞かせてください」
みはえる摂政が促す。王宮に朝日が照り輝き、新しい一日が始まろうとしていた。
/ * Fin */
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ケーキ作り ( No.6 ) |
- 日時: 2007/01/08 15:50
- 名前: みはえる
- イヌヒト「宜しく御願いいたします。美味しくケーキが作れると良いですね」
月代「そうですね!色々伝説になれるといいですね!!☆」
冒険前日のチャットより。イヌヒトはそこはかとない不安を覚えた。
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本日は騎士鐘音の誕生日であり、また、騎士イヌヒトの成人の儀が行われる日でもあった。めでたき今日の日を祝うべく、藩王より月代とイヌヒトにケーキ作りの命が下った。
そんな訳で、テラスに材料を並べて、二人は楽しそうに準備をしている。いや訂正。楽しそうなのは歌い、踊りながら卵白を泡立てている月代だけで、イヌヒトはさっきから汗を流している。外は晴天。ただし真冬。当然暑さの為ではない。
「月代さん……、あの、いつもかけてるメガネは?」
イヌヒトがおずおずと聞くと、月代はボールの中身を攪拌しながら答えた。
「あ、あれですね、今朝壊れちゃったんですよー(リアル)
(メガネの写真)
だから、実は周りがよく見えないんですよねー」 「……なるほど。だからさっきから凍矢摂政を攪拌しようとしているんですね」
月代が下を見るとボールの中に顔を埋めて気絶している凍矢(我が藩国の摂政の一人)の姿があった。
「きゃー!」
生クリームまみれになった凍矢がガバリと起きあがる。
「なにが「きゃー!!」だ! 死ぬかと思ったわ!」 「すみませんでしたイヌヒトさん。グラニュー糖を入れるのはもうちょっと後ですよね」 「いや、その人は凍矢さんであってグラニュー糖ではありません」
(トウつながりのシャレか?)と思ったが沈黙を守るイヌヒト。月代は慌てて凍矢をボールからつまみ出すと(ふっとぶ凍矢)、イヌヒトがいつのまにか差し出していたグラニュー糖を受け取って、卵白に加えた。
「ええと、次は卵黄をいれまーす」
メガネが無くてよく見えない月代は近くにある物と適当に掴んだ。
「いたたたたたたたたたたたたたた」 「月代さん、それは藩王であって卵黄ではありません」
首根っこを掴まれメレンゲに頭を突っ込みそうになった藩王は、すんでの所でイヌヒトに助けられた。
「大丈夫ですか、藩王」 「た、助かったイヌヒト。あやうくケーキの一部になるところだった」
藩王を助け起こしながら卵黄を月代に渡すイヌヒト。月代はメレンゲに卵黄を流し込みながら、楽しそうに歌を歌っている。どうやら、国内で大ヒット中の女の子アイドルグループの歌のようだ。
「しっぽ しっぽ しっぽアンテナ〜♪」
勢いに乗せて薄力粉ではなく金属で出来た蜘蛛をメレンゲに投入しようとする月代。イヌヒトは秘技「神に至る手」を発動し、蜘蛛と薄力粉を入れ替える。本当にギリギリの所で、メレンゲにふるった粉が混ざっていく。イヌヒトは藩王に聞いた。
「ええと、なにか御用ですか?」 「興は実に冷静だな。いや単に盗み食いを……。もとい。興らの働きぶりを見に来たのだよもちろん。調理の方は順調かな?」
イヌヒトはにっこり微笑んだ。
「もちろんです」 「イヌヒトさーん、オーブンの準備出来ましたー♪ 焼きますねー」 「だから俺はケーキじゃねえ!!」
遠くから凍矢の声が聞こえる。イヌヒトはちょっと考えてから繰り返した。
「もちろんです」
結果:あれ、意外においしい。
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