食糧増産文章 ( No.1 ) |
- 日時: 2007/01/13 01:05
- 名前: イヌヒト
- 食糧増産レポート
中央病院で行われていた食料の備蓄は平時であれば順調に見える速度で進んでいた。 然しながら、今は戦時下になろうとしている、いや、もう戦時下と言ってもいい程の状況であった。既に出兵準備はほぼ終わりかけ、派遣も目前である。兵に持たせる為の兵站を大量に放出し、早くも備蓄から食料を消費しなければならなくなる可能性が高まってきた。更に追い討ちをかけるかのような、中央政府からの食糧増産令。食料が足りないのは何処も同じ、市場は高騰の装いを見せ始めているし、元々それほどの資金もないために何とか食糧の増産を自力で早急に、というよりも一晩で行う必要があった。
普通ならば絶望する状況かもしれない。 しかしながら、この国には状況を打開する術がある。 それは勝率の低い戦いでは有るけれど。 其処に誰かの笑顔がかかっているのならば。 彼彼女等は、立ち上がった。
王宮では直ぐ様に対策会議が行われた。 幸い、この国にいるのは生命工学系統のエキスパートでもあるマルチフィクサーと、大地と共に生き、その力を借りる事の出来る猫忍者達である。 方針は直ぐに決定した。 科学と忍術の融合による新たな食料増産技術の速攻開発。それしかない、と。 直ちに宮廷騎士を始めとする其々のエキスパートが召集され、開発が行われる。 元々、医療技術においては忍者に代々伝わる秘術の勉強会を行うなどして新たな技術開発はされていた為に、そういった技術開発における連携もスムーズに取る事が出来た。 また、幸い元々国が食糧生産に励んでいた為に、作業土台も確立されていた。 開発すべき系統は大まかに三つ。 栽培されている食物自体の成長超促進。 そして、その促進の為の栄養確保としての土壌肥沃化。 更には、それを助ける為の水質改善。 もともと、忍術には土遁、水遁、木遁と呼ばれる系統の存在が伝説的に大衆に囁かれているように、その三つは確立された分野であった。後は、其処に如何に新たな知識を組み込むか。そのハードルは、高かった。
その夜、開発局のほぼすべての部屋には深夜だというのに煌々と明かりがつけられ、その一部屋ごとにせわしなくペンを動かしたり、器材を操作したり、白衣と忍者服の人々が議論を繰り広げたりする姿が見受けられた。 そして、隠れ里では術が完成次第、その術を使うべく、技術開発に携わらない忍者達が術の作業分担を行い、瞑想にはげんでいた。実験自体にも忍術を用いる為に、技術開発に携わる忍者達は、完成した術の使用には耐えられないだろうと判断された為である。
実験はなかなかうまくいかない。難点は山積みだった。 例えば、水。水遁があるとはいえ、もともと操る為の充分な水脈が得られず、苦肉の策としてそれを水遁で川を制御して補わなければならなかった。 そして、それらもなんとか乗り越えた挙句、後一歩。後一歩の所で何かが足りない。術は確実に作用している。なのに、計算どおりの結果が出ない。それぞれの術と術が微妙にかみ合わないのだ。人々は、頭を抱えた。時間は刻一刻と過ぎて行くばかり。日の出まで、後どれくらいだ。絶望感が人々の頭を訪れ出し、疲労が身体を蝕み始める。 そこで、誰かが叫んだ。
「そうか、なんで気付かなかったんだ!」 「光だよ。火遁を使うんだ!」
そう、物質的な面にばかりに気を取られ、食物の成長に不可欠とも言えるエネルギー日の光の存在を、忘れていたのだ。皆の顔に、活力が戻った。
長い夜が、明けた。日が顔を出し、空が段々と漆黒から藍へと変わって行く。
鶏の声よりも早くに、王宮の中庭で歓声が上がる。 事実、王宮近くの民はその声で一度目覚めたという。
空を飛ぶ鳥達はその光景を目にして驚いただろうか。 そこには、昨夜はなかった沢山の大地の実りが、付着した朝露に日の光を反射させて煌きながら、確かに存在した。 自身も優秀な猫忍者である藩王、結城由羅は夜通し、指示をしていながらもその疲れを微塵にも見せず、きりっとした表情で収穫物に歩み寄る。手に取ったのはベラーマ。この国の特産品であり、古くからこの国の食を支えてきた食物。一口、かじる。そして、笑みを漏らして頷いた。
「美味い」
そして、先に述べた歓声があがったのだ。 すぐさまに顔を引き締め、隠れ里への伝令を指示する。 作戦は、大詰めだった。その存在自体を余り公にする事を好まない多くの忍者達は、人々が働きに外に出る前の、もう残り少ない時を無駄にする事なく瞬時に配置についた。 後はもう、人海戦術でしかなかった。
時は少し移る。その日の朝、既にもう空は白く、人々はいつもの暮らしを始めるべく窓をあけ、朝餉の匂いがそこかしこから漂ってくる頃。外に出て、大きく伸びをする国民の多くは、驚きの声を上げたのだとしても(そして実際にそうであったのだけれど)、無理はない。
そこには、巨大に成長し、多くの実りをつけた栽培物達が農業地帯銃に溢れていたのだから。
同時刻。中庭を王宮から見下ろして結城由羅藩王が微笑みと共に呟く。
「よく、頑張ったな。」
傍らで控えている摂政達や側近の宮廷騎士達が微笑み、深々と、「お褒めのお言葉、有難き幸せに存じます」と頭を垂れた。
「さぁ、我々の仕事はまだまだ残っているぞ」 『はっ』
窓際から去り行く藩王が見下ろした先、中庭には白衣と、忍者の格好をした多くの人々が倒れていた。そのどの顔にも、何かを成し遂げたものの表情が浮かんでいる。きっと、自分達の行いに、笑みを浮かべた何処かの誰かの表情を夢に見ているのだろう。
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Re: 【イベント14】説明文投稿場所 ( No.2 ) |
- 日時: 2007/01/13 01:45
- 名前: 鐘音
- 食糧増産レポート
中央病院で行われている食料の備蓄は、平時であれば順調に見える速度で進んでいた。 だが、今は戦時下になろうとしている、いや、もうすでに戦時下であった。 兵に持たせる為の兵糧を大量に放出する必要性から、大量の備蓄を消費しなくならないのは、火を見るより明らかであった。更に、追い討ちをかける様に出された中央政府からの食糧増産令。食料が足りないのは何処も同じ、市場は高騰の兆しを見せ始めていた。元々、それほどの資金も無い。何とか食糧の増産を急ぐ必要があった。それも一晩で行う必要があった。
普通ならば絶望する状況かもしれない。 しかし、この国には状況を打開する術がある。 それは、勝算の低い戦いでは有るけれど。 其処に誰かの笑顔がかかっているのならば。 彼と彼女たちは、立ち上がった。
王宮では直ちに対策会議が行われた。
大規模な開墾には抵抗が予想された。この国は元より森に住み、森に生きる人々の国。ベマーラという万能食物である果実をその主食とし、地を拓くことは基本的にしてこなかった。これまでは実験的な栽培がされてきたが、本格的な導入には旧来の人々から強い抵抗が出ていた。
摂政は、言った。「藩王、それは無茶だ」 藩王は、答えた。「それでも、ここに国を作るんだ」
一瞬時が止まる。その後藩王は口を開いた。
「ベマーラだけでは増産は無理だ。食料を輸出し、国を豊かにするには、森を拓くしかない」
そして微笑んだ。
「無茶はわかってる。だが、やるんだ。長老どもは私が引き受ける。やれ」
みんなは、立ち上がった。「やろう」「やってみよう」 そのとき、国民たちの心は一つになった。
どこからともなく、どこかの国のプロジェクトドキュメンタリー番組の歌が流れてきた。みなが振り返ると、月代騎士がてへ、と笑った。
幸い、この国にいるのは生命工学系統のエキスパートでもあるマルチフィクサーと、大地と共に生き、その力を借りる事の出来る猫忍者達である。 方針は瞬く間に決定した。 科学と忍術の融合による新たな食料増産技術の即時開発。それしかない、と…。 直ぐ様。宮廷騎士を始めとする其々のエキスパートが召集され、開発が行われる。 元々、医療技術において、忍者に代々伝わる秘術の研究を行うなど、新たな技術開発はされていた。その為、この緊急時における即時開発などという無茶な状況においても、スムーズに連携を取る事が出来た。 また、幸い国が元々、食糧生産に励んでいた為に、作業土台も確立されていた。 開発すべき系統は大まかに三つ。 一つ。栽培されている食物自体の超成長促進。 二つ。その促進の為の栄養確保としての土壌肥沃化。 三つ。それを助ける為の水質改良。 そして、忍術には、その存在が伝説に囁かれているように、土遁、水遁、木遁と呼ばれる三つの系統がある。その三つは確立された分野であった。後は、其処に如何に新たな知識を組み込むか。そのハードルは、高かった。
深夜。開発局のほぼすべての部屋には煌々と明かりがつけられていた。、その一部屋ごとにせわしなくペンを動かしたり、器材を操作したり。また、白衣と忍者服の人々が議論を繰り広げたりする姿が見受けられた。 そして、隠れ里では術が完成次第、その術の試験を行なう為、技術開発に携わらない忍者達が、術の作業分担を行い瞑想にはげんでいた。実験自体に忍術を用いる為、技術開発に携わる忍者達は、完成した術の使用には耐えられないだろうと判断された為である。
実験はなかなかはかどらない。難点は山積みだった。 例えば、水。水遁があるとはいえ、もともと操る為の充分な水脈が得られず、苦肉の策として水遁で川を制御して補わなければならなかった。 そして、それをなんとか乗り越えた矢先。後一歩、後一歩の所で何かが足りない。術は確実に作用している。なのに、計算どおりの結果が出ない。それぞれの術と術が微妙にかみ合わないのだ。人々は、頭を抱えた。時間は刻一刻と過ぎて行くばかり。日の出まで、後どれくらいだ。疲労が身体を蝕み、絶望感が重く圧し掛かる。 誰もがあきらめかけたその時、誰かが叫んだ。
「そうか、なんで気付かなかったんだ!」 「光だよ。火遁を使うんだ!」
そう、一つの面にばかりに気を取られ、食物の成長に不可欠とも言えるエネルギー。日の光の存在を忘れていたのだ。皆の顔に、笑顔が戻った。
長い夜が明けた。日が山間より顔を出し、空が段々と漆黒から藍へと変わって行く。
鶏が朝の訪れを告げるよりも早く、王宮の中庭で歓声が上がる。 事実、王宮近くの民は、その声で何事かと目覚めたという。
空を飛ぶ鳥達はその光景を目にして驚いただろうか。 そこには、昨夜はなかった黄金の大地の実りが、付着した朝露に日の光を反射させて煌きながら、確かに存在した。 自身も優秀な猫忍者である藩王。結城由羅は夜を徹し、指示を出していながらも、その疲れを微塵にも見せずに、きりっとした表情で収穫物に歩み寄る。手に取ったのはベラーマ。この国の特産品であり、古くからこの国の食を支えてきた食物。一口、かじる。そして、笑みを漏らして頷いた。
「美味い」
そして、先に述べた歓声があがったのだ。 すぐさまに顔を引き締め、隠れ里への伝令を指示する。 作戦は大詰めだった。余り、その存在自体を公にする事を好まない忍者達は、人々が働きに外に出る前の残り少ない時を、無駄にする事なく瞬時に配置についた。 後はもう、人海戦術でしかなかった。
時は少し移る。その日の朝、既にもう空は白く、人々はいつもの暮らしを始めるべく窓をあけ、朝餉の匂いがそこかしこから漂ってくる頃。外に出て、大きく伸びをする国民の多くは、驚きの声を上げたのだとしても(そして実際にそうであったのだけれど)、無理はない。
そこには、巨大に成長し、多くの実りをつけた栽培物達が農業地帯銃に溢れていたのだから。
同時刻。中庭を王宮から見下ろして、結城由羅王が微笑みと共に呟く。
「よく、頑張ったな。」
傍らで控えている摂政達や側近の宮廷騎士達が微笑み、深々と、「お褒めのお言葉、有難き幸せに存じます」と頭を垂れた。
「さぁ、我々の仕事はまだまだ残っているぞ」 『はっ』
窓際から去り行く藩王が見下ろした先。中庭には白衣と忍者の格好をした多くの人々が倒れていた。そのどの顔にも、何かを成し遂げたものの表情が浮かんでいる。きっと、自分達の行いに、笑みを浮かべた何処かの誰かの表情を夢に見ているのだろう。
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加筆案 ( No.3 ) |
- 日時: 2007/01/13 02:04
- 名前: 十五夜@藩王
- 彼と彼女たちは、立ち上がった。
王宮では直ちに対策会議が行われた。
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大規模な開墾には抵抗が予想された。この国は元より森に住み、森に生きる人々の国。ベマーラという万能食物である果実をその主食とし、地を拓くことは基本的にしてこなかった。これまでは実験的な栽培がされてきたが、本格的な導入には旧来の人々から強い抵抗が出ていた。
摂政は、言った。「藩王、それは無茶だ」 藩王は、答えた。「それでも、ここに国を作るんだ」
一瞬時が止まる。その後藩王は口を開いた。
「ベマーラだけでは増産は無理だ。食料を輸出し、国を豊かにするには、森を拓くしかない」
そして微笑んだ。
「無茶はわかってる。だが、やるんだ。長老どもは私が引き受ける。やれ」
みんなは、立ち上がった。「やろう」「やってみよう」 そのとき、国民たちの心は一つになった。
どこからともなく、どこかの国のプロジェクトドキュメンタリー番組の歌が流れてきた。みなが振り返ると、月代騎士がてへ、と笑った。
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水田・とうもろこし畑(第2稿) ( No.4 ) |
- 日時: 2007/01/13 05:06
- 名前: みなお
- アイドレス/食糧生産地
設定文:水田
水田地帯は現状、王都のある中央部に広がっている。 もとより国土の大部分が森林であるこの国では、古来からの盟約によって森の住民である獣は地面に、人々は主として木々に住むという生活形態のため、開墾には当初異論もあった。しかし、環境という点でいえば少々の伐採では土壌にも大気にも影響を及ぼさないほどの広大な森がこの国にはあったこと、そして藩王および国民の「忍者といえば米!」という強い共通認識に基づき、獣から地面を借りるという形でこの農業地帯が生まれた。 自然と共に生きるこの国の民の意識の中には、「いのち」を大切にする、という思想が根強い。伐採された木々は燃料としても使用されたが、建築物や生活用品、農具へと姿を変えるものもあり、それらは末永く大切に使われた。米の収穫後の藁や籾は土にかえされることで土壌の劣化を防ぎ、新たな収穫への肥やしとなった。また、最小限の農地から収穫量を確保するため、品種や育成法の研究が行われ、二期作が実践されている。 幸いにも国土の地下には源泉があり、巨木を育てた肥沃な大地は、そのまま大きな収穫へと繋がった。天文台の観測に基づく天候の予知は農業の大きな助けとなっており、また「自然より学ぶ」という共通性のため、農業に関する研究も天文台の管轄の元に行われている。作業用機械の開発はこの国ではあまり進んでおらず、最低限の耕作機による作業の他は、ほぼ国民の手作業によってまかなわれている。 収穫された米は主食として用いられるのはもちろん、様々な調味料や酒の原料としても使われ、忍者に必須の携帯非常食としての加工についても研究が進んでいる。また、精白過程で発生する米糠も洗剤や調味料として利用される。ここにも人々の、「いのち」を無駄にしない、という思想が生きていると言える。 育ちゆく稲穂の波を見て人々が笑いあうのは、収穫の喜びのためだけではない。自らの「いのち」と、隣人たる植物の「いのち」、そしてそれを育む大地がつながっていることを、何より実感できるからである。
設定文:とうもろこし畑
とうもろこし畑は、精製工場を挟んで水田地帯に隣接して広がっている。 ここでも水田と同じく、農地を有効に活用するため、主に大豆との二毛作が行われている。収穫されるとうもろこしと大豆は、主として食用のほか、家畜の飼料としても使われる。 作付け計画を立てるにあたりとうもろこしが選ばれたのは、一面に黄金色の揺れる風景がこの国の民に、ご神体のモデルとも言われる彼の人の金髪を思い起こさせるからであるという。 大豆については、加工の研究にあたって藩王の「味噌汁を作っておもてなしするのだ!」という強い要望を受け、他国の追随を許さないほどのバリエーションで加工が行われている。
---- 改訂しました。本文のみで、併せて1,116文字(改行除く)です。 チェック&リテイクよろしくお願いいたします。
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転載しました ( No.5 ) |
- 日時: 2007/01/13 05:30
- 名前: 十五夜@藩王
- 以下のページに転載しました。
微修正を加えています。王宮じゃなくて開発局は別に作りました。まあ、隣接はしてると思いますが。
http://richmam.xtr.jp/kingdom/?%A5%A4%A5%D9%A5%F3%A5%C8%2F%A3%B1% ..... 1%FD%BB%BA
イラストがあるといいねう(わがまま)
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調整します ( No.6 ) |
- 日時: 2007/01/13 11:34
- 名前: 十五夜@藩王
- みなおさん、遅くまでありがとうございました。
後で調整して、転載させていただきます。
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設定文章:ベマーラの林 ( No.7 ) |
- 日時: 2007/01/13 11:54
- 名前: みはえる
- 設定文章:ベマーラの林
国の中心部から西側を眺めてみる。困難の末に開墾に成功したトウモロコシ畑と、水田が視界いっぱいに広がっている。更にその先に視線を進めると、この国特有の巨木とは違う、普通の高さの、青々とした葉を広げた木が林立して、林を形成しているのが分かる。ベマーラの林だ。林は畑や田を囲むなだらかな丘を北から南まで連なっている。
ちょうど今は2度目の収穫の時期で、林の中には何人もの女性達がカゴを持って木をまわり、木からぶら下がるように実っている、梨によく似た形の実、ベマーラを収穫している。この時期のベマーラは赤い色をしていて、その外見からも果実特有のみずみずしさを感じる事が出来る。ところがこれは、ベマーラの片面の姿でしかない。
ベマーラの実は、トウモロコシ畑と水田の開墾に成功するまでは、世界忍者国の主要食であった。この実は国では「天然の忍者食」と呼ばれている。「万能食料」と呼ばれる事もある。一口食べればHPがMAXになるわけではない。この実は食料として、非常に多彩な用途に使えるのである。
まだ熟れる前のベマーラは深い青い色をしていて、7割ほどの実はこの時期に収穫する。 これを天日に一週間干すと、表皮の水分だけが抜けて堅くなり、長期間にわたって保存が可能な非常食になる。堅くなった表皮をかじると、中にはまだみずみずしさを保った果肉が残っており、水分を補給する事が出来る。また、干した後に火であぶり、完全に水分を抜いた後にすりつぶすと、これがまた良い香りを持つ香辛料にもなる。
そして、ちょうど今頃のように燃える赤色に熟れた頃に、残りの3割を収穫する。 赤くなったベマーラは酸味が強く、絞った汁はジュースとして好んで良く飲まれる。また、種の部分にはマタタビに似た成分が含まれており、それを絞って溶かし込んだものは、多少苦みがある物の、猫な人達には心地よい酩酊効果を与え、お酒のような物として好まれている。
ベマーラは藩国の初めから存在し、その終わりまで栽培が続く事だろう。今日も女達は、大きなカゴを持って、畑と水田の間を縫って、収穫を待つ果実の元へ向かうのである。
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設定文章:精製工場 ( No.8 ) |
- 日時: 2007/01/13 12:33
- 名前: みはえる
- 設定文章:精製工場
巨大な食料貯蔵庫に隣接して、国が誇る精米兼精製工場が建っている。大勢の民が働いているその工場では、年中無休で、国民の明日の食卓に並ぶ「ニッポン食」を形作る食料の加工を行っている。具体的には米と豆腐と味噌と醤油である。「米がどれだけあっても、これらが無ければ、忍者にはなれない」という藩王の勅命の元、国民はありがたく美味しい御飯とおみそ汁を毎日頂いている。
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