Re: 【SS】小笠原の夏 ( No.1 ) |
- 日時: 2007/08/29 13:16
- 名前: 双葉さくら
- ―小笠原の夏
みーんみーん… あちらこちらから蝉の鳴き声がする。 とてもキツイ日差しの中、大勢で海に向かっている人たちが居た。
そう、世界忍者国の人間や他の国の人間が入り混じって…全員で15人くらい居るようだ。 そしてたくさんのスイカを持って浜辺へ向かっている。どうみても観光というか遊びにやってきたようだ。
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「あーづーいぃいいいい…ヽ(`Д´)ノ」 その中の麦藁帽子をかぶり小さな個人用クーラーボックスを持って歩いている結城杏が叫ぶ。
「あ、でもでも杏ちゃもうつくよ?海海v」 「そうそう、もうちょっとねぅ!がんばろう〜!」
扇りんく、陛下の結城由羅は言う。 にゃぅーと耳を垂らしあるいていたはずなのだが……彼女は何かを見つけたらしく、ダッシュで浜辺へ向かって行った。
「あはは、杏ちゃんは元気だなぁ〜」 「そうですねぇ…俺にもあの元気を分けて欲しいよ」 「凍矢くんはまだまだ若いでしょう…僕は凍矢くんのお兄ちゃんだよ?(爽微笑)」
その様子を見ていた久堂尋軌摂政、氷野凍矢、緋乃江戌人病院長の やり取りが続いた。
―そして浜辺へとご一行は到着した。
「さて、と。無事皆さん到着しましたね?全員居ますか?」 心配性の川流鐘音財務大臣が人数を確認する…がしかし確認するまもなく結城杏はバタバタとあっちこっち行っていた。
「みっなおちゃーん!団長ぅ〜!海海!!」
結城杏は逢瀬みなおと環月怜夜団長をぐいぐい引っ張って海の方へと走って行く。彼女が見つけたものとは、この遙か遠くまで広がっている海なのだ。
「あ、わわわっ!」 「杏ちゃんまってまってー!!危ないからちゃんと準備運動してからネ♪」
ぐいぐい引っ張られていても団長は彼女の扱いをよく知っているようだ。結城杏は逢瀬みなおの手を離し、しっかりと準備運動を行っている。
「みっなおちゃんも一緒に一緒にー!」 「あ、うん〜♪」
逢瀬みなおも彼女につられて準備運動をし始めた。
もちろんはしゃいでるのは彼女だけではない。ある意味別な意味ではしゃいでいる人間も居るようだ。
「元気でいいねぅ〜♪」 「そうですね。では、こちらもパラソル立てて場所確保したら開けちゃいますか?もちろん悪童屋さんもご一緒に(にっこり)」 「いいねぅ〜のものもっ♪」 「おや、ご一緒してよろしいのですか?」 「「もちろん!」」
陛下と悪童同盟の藩王悪童屋に扇りんくがにっこりと微笑み、大きなクーラーボックスを指差す。彼女が指差した大きなクーラーボックスには大量のアルコールが入っているのだ。
「あ、ちゃんと薬も持って来てますのでご安心を(爽)」 「イヌヒト兄さん流石。抜け目が無いね(笑)」
その会話を聞いていた緋乃江戌人がそそくさと自分の荷物から色々な薬をとりだし爽やかに微笑んだ。もちろん突っ込みを入れたのは弟の氷野凍矢だ。
「あ、飲みます?とりますよー。なにがいいですかー?」
こっそりクーラーボックスに手をかけていた松永が言う。
「じゃあ、てきとーに1つ持って来てもらえるかな?」 「わ、私ファジーネーブルがいいー!」 「自分もお任せします。お願いしますー」 「かしこまりましたー」
そういって松永はクーラーボックスをあさりだした。
「ソーニャさんは何処へ?」 「そういえば見てないですね…私探してきましょうか?」
周りを見渡し、羅幻王国の工兵長、四方が言った。 それを一番近くで聞いたカヲリが答える。
「ソーニャさんなら海岸に居たと思うよぅ?」
準備運動も終わらせビーチボールを浮き輪代わりにしていた結城杏が答える。
「でも見当たらないよ?」 「もしかして、エミリオの事で…」 「ふみゅー、んじゃオイラ探してくるよぉー四方とカヲリさんはここで待ってて〜」
そう言って結城杏はビーチボールをカヲリに預け笑顔で駆けて行った。
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―ザザーン
「ああ…エミリオも一緒に連れてきたかったのに…」
ぼそりとつぶやくソーニャの姿は浜辺から外れたところにある大きな岩の上で座っていた。
「あ、いたー!そにゃちゃん発見!どしたのー?」
ソーニャは黙っている。
「違ったらごめん…エミリオ…の事だよね」
エミリオという名を聞きソーニャはビクッと反応したが沈黙したままだった。 結城杏はソーニャの横に腰掛けて言った。
「エミリオ…一緒に来れなくて残念だね…」
ソーニャは今にも泣きそうな顔をしている。
「でもさ…そにゃちゃんがこのままだったらオイラ寂しいな。無理はしなくてもいいけどこのままじゃエミリオにも心配されちゃうような顔してるよ。だから今少しだけ泣いていいから…其の後は笑ってこっち戻ってきてね!スイカ割りやろうね」
そう言って結城杏は自分の麦藁帽子をソーニャの頭にかぶしてその場を離れた。
「杏ちゃん…ありがとう…」
結城杏がかぶしてくれた麦藁帽子を深くかぶって小さな声で言った。もちろん彼女には聞こえない程の声だった。
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「ただいまあああああああ!!ヽ(´▽`)/」 「あ、杏ちゃんおかえり〜vビーチボールとられちゃった…」 「買iンダッテ!」 「ごめんねごめんねっ」
カヲリが団長と逢瀬みなおの居る浜辺あたりを指差したところで彼女のビーチボールが空を舞っていた。
「んにゃ、謝ること無いよvビーチボールはあーじゃないとネ!!ほらっ、カヲリさんもいっくよー!?」
カヲリの手を引き浜辺に居る団長と逢瀬みなおのところへ向かった。 其の様子をみてパラソル下に居る陛下がポソリと言った。
「色々あったけど、楽しかったね。こうやってみんなで海に来れたのも色々な事にぶつかって乗り越えられたからかな…」
陛下の言葉に久堂尋軌は浜辺で遊ぶ姿を見て微笑んで言った。
「陛下…そうかもしれないですね…でもこの企画を考えたのがあの杏ちゃんだったのが俺的には驚きでしたよ」 「確かに…驚きではあったねぅ。色々と彼女にも嫌な想いをさせていたようだしねぅ…」
しばしの沈黙の後、川流鐘音は言った。
「彼女はあのビーチボールみたいですね」 「ねぅ?」 「ビーチボール?」 「ビーチボール…は人と人を繋いでると思うんですよね。そんな感じなんです自分的に彼女は」 「なるほどねぅ…ビーチボールか…。なんとなくわかるような気がするねぅ…」
陛下のそばで冷たいお茶を飲んでまじめな話をしている久堂尋軌摂政と川流鐘音財務大臣。そんなまじめな話も束の間。
ばふんっ!!
「うぉっ」
久堂尋軌摂政の顔面にビーチボールがッ…バタバタと近づいてきたのは、もちろんはしゃぎ過ぎの結城杏だった。
「あー…やっちゃった〜!ひろきしゃんごめんねー!!はい、いたいのいたいのとんでいけー!ハイ治った治った!!ヨシッだんちょーいきますよぅ〜!」
彼女はそのままビーチボールを空に向けて打ち上げた。
水しぶきが飛び、キラキラとこの暑い太陽の光を反射していた。
楽しい思い出の詰まったこの短かったような長かったようなそんな時間を包み込むかのように…
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結城杏&双葉さくらより
芝村さん・アイドレスプレイヤーの皆様への感謝は簡単に言葉に表すことはできませんが、本当に短かったような長かったようなこのアイドレスをやっていた時間…色々ありましたが楽しかったです!
本当に色々とありがとうございました!
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