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【SS】みはえる摂政の災難!?
日時: 2007/01/07 14:55
名前: 鐘音 

注意!!
このSSは元ネタとして、更新待ちで暇してた、3人のチャットのログを元にSSへ起こし直しておりますが、実在のPC・PLとは何の関係もありません。くれぐれも勘違いしないで下さい。お願い。

その日、みはえる摂政(人は彼をしっかり摂政という)は執務室に座る由羅王に説教をしていた。
先日の新年会で起こった、「由羅王のないしょで飼ってた、謎の蜘蛛逃走事件」についてである。
「いいですか、由羅様。たまたま、大事に至らなかったから良かったものの、一つ間違えば大惨事になっていたかもしれないんですよ。分かっていますか。」
眉間に皺を寄せ、由羅王に詰め寄る。(こいつ本当にわかっとんのか)という態度丸出しである。
「そもそもです。あんなものを飼うなら、きちんと私に相談して下さい。あの蜘蛛の餌にしていたレアメタルの金額、いくらになると思っているですか。」
「えー、でも、あの蜘蛛の餌代。私のおこづかいから出してるし、いいじゃん。」
まったく悪びれもせず、あっけらかんという由羅王。
みはえる摂政。人としての大事なものが、ブチンと音を立てて切れたのを、わずかに残っていた冷静な部分で聞いた。
「○×@%▲□〜!!」
とても、人様にお聞かせできない罵詈雑言を大声で喚き立てる。同時に執務室のガラスがピシッと割れる。
(あー俺、日頃の不満が出てるなぁー)みはえる摂政。喚いて少し冷静になった部分が、自己分析を開始した。
しかし、一度外れたタガは、なかなか元には戻らない。地獄の極卒もかくやといわんばかりの形相でまくしたてる、みはえる摂政。
おまけに両手で机をバンバン叩く。樫の木で作られた机に、手の形の凹みが次々と作られる。
日頃、小言は多いものの、ここまで怒る事の無いみはえる摂政の変貌ぶりに、由羅王の顔色が青ざめて行く。
みはえる摂政の大噴火説教が10分を越える頃、由羅王がついに泣き始めた。
「えぐ、えぐ。だ、だって。わ、わたしだって国の為に……」
それを見たみはえる摂政。沸点を越えていた怒りの温度が、しゅるしゅると下がり、自分が由羅王を泣かせてしまった事を、後悔し始めた。
慌てて、ハンカチを取り出し由羅王に優しく微笑みながら語りかける。
「由羅様。分かって頂ければ良いのです。申し訳ありません。私も言い過ぎました。許してください。」
由羅王。顔を上げて「本当?」という顔をしながらみはえる摂政の様子を伺う。
「本当です。もう、怒ってませんよ。さあ、このハンカチで顔を拭いてください。」
みはえる摂政。絶技に指定されかねない程の笑顔で、笑いかけながらハンカチを由羅王に差し出した。

時は少し前に戻る。

月代騎士は食堂で3時のおやつを食べていた。今日のおやつは、葉雨万堂の世界忍者饅頭だった。
連日、長蛇の列が出来る程の人気ぶりで、なかなか手に入らないこの人気饅頭の5つ目を、月代騎士は「はうん。おいしい。しあーわせ♪」と無駄に周囲の空気を天国へ送りながら食べていた。
5つ目を食べ終わり、最後の1つに手を伸ばした時、
「○×@%▲□〜!!」
みはえる摂政の大音量の怒鳴り声が、ビクッと月代騎士の動きを停止させた。
「何っ!何なの一体」
何事かと驚きながら、最後の1つをパクつきながら、声の方へと移動する月代騎士。
怒鳴り声のする方へと移動すると、執務室に辿りついた。こそっとドアを開け、中の様子を伺う。
そこでは、泣いている由羅王に、ハンカチを差し出そうとしているみはえる摂政の姿があった。
それを見た、月代騎士。ドアをガバッと開き、みはえる摂政を指差し一言。
「あーっ、摂政が陛下泣かせてるー」
この一言が惨劇の幕開けであった。

***   ***  ***  ***

「あーっ、摂政が陛下泣かせてるー」
突然、後ろから声をかけられたみはえる摂政。
ハンカチで由羅王の顔を拭おうとして、声に驚きバランスを崩す。
「おっと、と。」
それを見て、いたずら心を刺激された月代騎士。素早く移動し、みはえる摂政の背中を押す。
バランスを崩して、みはえる摂政の右手が、ハンカチごと由羅王の顔に体重の乗ったストレートを放つ。
「ぐぎゃあー」
鼻血を吹いてぶっ飛ぶ由羅王。ついでに後頭部を床に強打する。
あまりの出来事に一瞬、我を忘れたみはえる摂政。次の瞬間、我に返る。
「ぎゃー!! しょ、消防車を早く!!」
しっかり摂政の肩書き台無しである。月代騎士も慌てて駆けつける。
「うわわわわ;;い、医療班ー!えとえととりあえずティッシュー!!」
横にいる、みはえる摂政の慌てぶりがおもしろいと、月代騎士は内心で思った。
「落ち着いて摂政!!」
月代騎士は笑いを堪えつつ、みはえる摂政を落ち着かせようとする。
由羅王は床でぴくっぴくっと痙攣していた。どうやら急所に入った様子である。
「違った! 脚立、じゃない、タンカだ! タンカを3つ! 3つだ!」
さらに慌てるみはえる摂政。何かのギアが1つ上に入った。
「いや3つもいらないだろっ!」
自分に対してツッコミを入れるみはえる摂政。この辺がしっかり摂政なのだろうか…。
驚異的な回復力で目を覚ました由羅王。目の前のみはえる摂政の様子を見て一言。
「ちょっと落ち着け、みはえる摂政」
すかさず、月代騎士がティッシュを差し出す。
由羅王。それを受け取り鼻を押さえる。
「陛下ー、摂政どう止めましょうー?」
月代騎士が、ティッシュを鼻に詰めた由羅王に問いかける。
「水でもかけてみるか?」
首を傾げつつ、適当な事をさらっと言う由羅王。
「りょーかいですー♪」
それを真に受けて、執務室の外にある庭の水道からダイレクトアタックを敢行する月代騎士。
しかし、1月に入り、藩国は今年一番の寒さを示していた。
水をぶっかけながら月代騎士は「あ、凍るかなぁ?これは・・・;;」などとのんびり思っていた。
そして、……今年最初の氷柱が、藩国の庭に誕生した。
「うちの国にしては珍しく冷え込んだなぁ…おや、霜が」
みはえる摂政のなれの果てを見ながら、冷静に言う由羅王。実は、さっきの事を根に持っていた。
ついでなので、ぱりぱりと踏んでみる。由羅王は踏むことに掛けては達人であった。伊達に、人狼領地の藩王を敷物扱いしていない。
事態が混迷の度合いを深めて行く状況に、月代騎士は・・・・・てへ☆っと微笑んで誤魔化してみる。全ての元凶というものは、大体こんな感じである。
「摂政、面白いぞ、これ…おや?」
ひたすら踏み続けていた由羅王は、みはえる摂政の状態の変化に気付いた。
ちなみに、みはえる摂政の状態は「返事がない、ただの氷柱のようだ。」である。
「・・・・お湯かけましょうか;;」
月代騎士が苦笑いで柱を指をさし、私は悪くないよといった感じで言った。
「…あー、王宮の暖炉の前に運んでおけば溶けるんじゃないかな?」
由羅王が適当に答える。(もうどうでもいいや、あきたし)内心で呟く。
「了解ですー♪」
由羅王の言質を取ったので、嬉しそうに微笑みながら、柱をごろごろ転がしながら暖炉へ、一直線に転がす月代騎士。みはえる摂政にほろり。
「足持ってー」
そのあまりにぞんざいな扱いに見かねた由羅王が声を掛けた。
その声に反応した月代騎士は足を持とうとするが、つるつると滑る。とりあえず縦に立てて、冷えて赤くなった手にはぁーと息を吹きかけた。その時、肘がコツンと氷柱にぶつかった。
「あああ、倒しちゃだめー」
あわてて、止め様とする由羅王。しかし、氷の柱は暖炉に向けてゴロゴロと一直線に転がって行く。
凍って、仮死状態になり、幽体離脱していたみはえる摂政が魂の悲鳴をあげる。
(暖炉突入はヤメテアゲテ!)
「えー?!止まりませんー;;;;」
なんとか止め様と頑張る月代騎士。ゴロゴロと転がっていく状況にあせる。
「こ、こういうときこそ世界忍法で柱をどうにかとめー ・・・・ってそれじゃ砕けてしんじゃうっ;;」
慌てているのか、冷静なのか月代騎士が叫んだ。
そこへ、騒ぎを聞きつけた猫士ろにゃーが顔を出した。
「何が起こっているでござるか?…!」
「うわーん、ろにゃーくーん!たーすーけーてー!」
柱を追ってダッシュ中の月代騎士がろにゃーを見つけて叫んだ。
その途端、転がってくる柱と衝突。ゴッチンと良い響きが辺りに木霊する。
「痛いでござる。冷たいでござる」
涙目になりながらも、律儀に氷の柱を抱きとめるろにゃー。良い奴である。
「はわわわわ;;;; や、やっぱりお湯かけて溶かそうっ;;;」 
「もちょっと冷たいのといたいの我慢して」
月代騎士が駆けつける。
「熱いから気をつけてねー」
暖炉にかけてあったやかんを取って手渡す由羅王。
慎重にじゃばっ、じゃばっとかけて溶かす月代騎士。ここまで来るとボケはない様だ。
「あ、あつつつつつっっっっ!!!!」
ようやく、氷から戻るみはえる摂政。
「うわーん、せっしょーいきてるー」
えぐえぐと泣きながら月代騎士。この人物、相当テンパっていた様だ。
「新年から、冷凍摂政かぁ」
実にのんびり、まったりと言う由羅王。完全に人事である。
「このまま彫刻として余生を過ごすのかと思った……」
ぼつりと呟く、みはえる摂政。(俺、悪い事したけど、ここまでの目に合わないといけなかったか)心で嘆いてみる。
「なかなかそれも見栄えがしたかもしれんなぁ」
不謹慎な事を考える由羅王。大事にしようよ、みはえる摂政、いい人材だよ。
「あ。ろにゃーくんありがとーv 今度お礼するねーvv」
事態の終息に一息をつきながら、ほっとした表情でろにゃーに礼を述べた。
(よもやここまで拡大するとは思ってなかったにゃー;;)
月代騎士は心で深く反省していた。
ようやく平常心を取り戻したみはえる摂政は、片膝を付き由羅王に言葉を掛ける。
「お見苦しい所をお見せしました。月代も、世話をかけたな」
自分取り戻したみはえる摂政は、部下を労った。やっぱり、しっかり摂政であった。
「ほえ?? い、いえむしろ私がげんky(げっふげっふ」
みはえる摂政に爽やかに語り掛けられ、思わず素直に全てを告白しそうになる月代騎士。
(よし、今年の目標 <ちゃんと物事を考える> にしよう。でないと、いつか人死がでる。)
固く心に誓う、月代騎士であった。
「しかし、霜はあなどれません。ハンカチで涙を拭こうとしただけなのに、まるで誰かに押されたかのように足を滑らせてしまいました」
おかしいなと、記憶の糸を手繰り寄せるみはえる摂政。
「(お口にチャックで見守りの姿勢)」
無言で微笑み続ける月代騎士。
「うん、あれだ、何もかも異常気象が悪い。そういうことにしておこう」
状況を見て、察した由羅王。月代騎士ににっこりと微笑みかける。
「そうですな、あはは、あはははは」
あらかさまに、おかしな笑いをするみはえる摂政。(藩王の顔にパンチを決めた事はうやむやにしてしまえ)心の中でこんな事を考えていた。
「・・・・はい、そういうことで」
月代騎士は、笑うみはえる摂政を横目で見ながら、由羅王ににっこりと微笑み返した。額からツツーと汗が流れる。
「あはははははは」
由羅王もおかしな笑いをしながら、(水をかけて凍らせてしまったことはなかったことにしよう)と考えていた。
(本当にちゃんとしないと、いつかさつじんざいで国、出されるー;;;)
月代騎士も、改めて自分の起こした事態に深く反省していた。
夜空に3人の乾いた笑い声が広がる。今宵も平和な藩国であった。

*** *** *** ***

余談

その後、3人で仲良くお茶をする事となり、テラスで談笑を始める3人。
話をしながら、由羅王はろにゃーを愛でていたが、爪でひっかかれたりしていた。
その様子を見た、月代騎士。ふと、思い立ち由羅王に質問をする。
「ろにゃーくんにお礼をと思うのですが何好きなんでしょう?やっぱりお魚ですか???」
そういや、なんだっけとか思いつつ答える由羅王。
「たぶん、魚かな?」
だよねと、ろにゃーを見る。ろにゃーは頷いた。
「よし、河で釣ってこよう!」
突然、立ち上がりそう宣言する月代騎士。
「いっしょに行ったらいいよ?」
にこやかに由羅王が、ろにゃーくんを押し付けながら言う。
「ほえ?(==;)」
状況が飲み込めずに、素っ頓狂な声を出す月代騎士。
「ろにゃーくんとデート」
ウィンクしながら、いたずら小娘の様な表情の由羅王。
「一緒に魚釣りにいくでござる」
にゃうん。と甘えた声を出すろにゃー。なんかヤバイいぞ。
「でーとって陛下ー;;  ってろにゃーくんやる気だー!」
慌てて由羅王にお願いする月代騎士。彼女は何か危険を感じている。
「この国の忍者+猫士は水に囲まれた環境で育つので、水は得意だから大丈夫デスヨ」
なぜか、説明口調で感情を抑えて話す由羅王。
(てゆっかにゃうんとかー!/あわあわ)
自分がいつの間にか追い詰められていた事を知る月代騎士。
「そして、ろにゃーくんはとても人懐っこいので、スキンシップ大好きデスヨ」
目が笑っている由羅王。さっきので懲りたんじゃなかったのか。
「どこまでいこう?でござる」
月代騎士の肩に手を回すろにゃー。調子に乗ってます。はい。
(忍者+猫士でお耳の恋人とかできたら面白そー)
妄想に夢を膨らませる由羅王。そういや、ろにゃーの里親もスキンシップ好きだったなーと思い出す。
「ぎゃー!」
思わず素直な気持ちが口に出る月代騎士。誤魔化す為、続けて言葉を紡ぐ。
「いや、近くの河でー あわあわ」
逃げ出すチャンスを伺う、月代騎士。みはえる摂政、巻き込まれたくないので、我関せずを貫いている。
(ああ・・・・ そういえばそうだった記憶ががが)
追い詰められた月代騎士。思考が停止しそうになり始めた。
「わかったでござる」
ろにゃーは、にぱっと笑うと、月代騎士の手をとって引っ張って行く。
「いってらー」
罪の無い笑顔で手を振り、見送る無責任な由羅王。この国、大丈夫か。不安になって来た。
「うん、わかったのはいいんだけどすきんしっぷが色々悪いー」
叫びを残しながら消えて行く月代騎士。頑張れ!!(何をだ)
こうして、月代騎士は手を引かれて河に連れられていきましたとさ。

ちゃんちゃん。自業自得?。

メンテ

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