【SS】贈り物(蒼波編) ( No.1 ) |
- 日時: 2008/02/23 19:30
- 名前: 久堂尋軌@世界忍者国
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これは、夜遅くに起こった世界忍者国の出来事…
藩王の結城由羅がこれからのセプテントリオンについての対策を練っていると、扉のノックする音が小さく響いた。
「はい、どなたですか?」
誰何をすると、しばらくの沈黙の後に男の子の声で「今、よろしいでしょうか?」という声がした。
「あぁ、大丈夫だよ。私は君たちに拒否をする扉は持ち合わせて無いからね、お入りなさい蒼波。」
その由羅の言葉に従って扉が開くと一匹の猫士の姿が現れた。しかも、あちこちが汚れている。
「……どうしたんだい?こんな時間に…しかも、そんな姿をして」
由羅の問いかけに蒼波は顔を見上げると、少し潤んだ瞳をみせて言葉少なに答えた。
「あの…りんくさんが結婚するって聞いて…その贈り物を国で集めると聞きました。だから…僕からもと思って…コレ…その贈り物のひとつにしていただけませんか?藩王さま…」
そう言いながら蒼波は自分のポケットから小さな物を二つ出して由羅に差し出した。 由羅がそれを二つとも持って納得するように笑った。
「なるほど、お守りか…うちの国では中々見つからないのによく見つけてきたね。あと…こっちは栞かなにかかな?」
ひとつは和風な真っ白なお守りであった。 世界忍者国はロジャーを神として祭っているために他の神を中央部で見つけるのには骨が折れる。 国民の中でも、存在しているのを知らない人がいるくらいなので其処のお守りとなれば貴重なものであった。
もう一つは国の果物のベマーラの葉で、しかも手間をかけてコーティングして栞として扱えるようにしてある。
「はい、りんくさんのためにがんばって見つけてきたんです…栞は自分で作りました。僕は花嫁姿を見れないから…」
「大丈夫だよ。多分あそこは大きなイベントにするからテーベーでも見れるよ。実際に会えないだろうけど花嫁姿は見れるから…それに遊びにだって来てくれるって」
苦笑いを浮かべながらも慰めるように蒼波の頭をなでていくと優しく抱き寄せた。
「この二つは私が責任を持って贈っておくわ…で、このお守りって何のご利益があるの?」
不思議に思って顔を見つめながら蒼波に聞いてみると蒼波は小さな声でつぶやいた。
「えっと…安産祈願です…」
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