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【SS】戦場のバレンタイン
日時: 2007/02/15 03:04
名前: 十五夜@藩王 

「バレンタイン御礼2」
http://blog.tendice.jp/200702/article_32.html

/*/

一方その頃。タマ大統領私邸前に戻る。

 ロジャーはその日、長いマフラーをたなびかせ、屋根の上に立って遠い光太郎を思っていた。
おっかなびっくり結城由良とLeiはチョコと酒を送ろうと屋根を昇り、そして盛大に滑って落ちていった。

 口の端を笑わせるロジャー。走り、二人を抱きとめて跳躍し、ワイヤーを飛ばしてぶら下がるロジャー。

そしてとりあえずはしがみついてぎゃぁぎゃぁ言っている二人を降ろしてやることに、全力を傾けることにした。
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この前後に関する妄想。どうも第一世界から直接来てるっぽいですが、ちと修正かけてます。

あと、エンディングにて、バレンタインイベントのプレゼント&メッセージを贈ってみました。
メンテ

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戦場のバレンタイン 前編 ( No.1 )
日時: 2007/02/15 03:05
名前: 十五夜@藩王 

mixiに書きなぐったやつの転載。
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かっこええなあ…ぼへぇ、とアホ口を開けて結城由羅は屋根の上のロジャーを見ていた。隠密行動のはずなのに、マフラーをたなびかせているのはどうよ、とかそういうことは気にしてはいけない。良いものは良い。うん。

見上げるその空に一瞬、ゲートが開いた。本当に一瞬だけ。星見司でもある結城由羅は、おや、と不思議に思った。誰が魔術を使ったんだろう。

そして、ゲートから落下してきた何かが、結城由羅の額にぶち当たった。ごいん。

「あた。あたたたた」

目に涙を溜めながら、その落下物を拾い上げる。見覚えのある、ハート型ポーチに入ったチョコ詰め合わせセット。

「ふっふっふ」

結城由羅は、落ちてきたそのチョコセットを握り締めて、ほくそえんだ。なぜゲートが開いたのかは知らないが…手元にチョコ。

「ちゃーんす!」

きらり、と目を輝かす。今日はバレンタイン、これは神がロジャーに渡せと言ってるに違いない。

「ちょっと待ったー!」

遠くから、手に酒瓶を握り締めた環月怜夜団長が息を切らせて走ってきた。おや、神は彼女にも微笑んだらしい。

「やあ、君は国許の待機部隊にいたはずだが」
「気がついたらここにいたんですよ!その、なぜかこれを持って…」

戸惑ったように、手の酒を見る。第一世界で贈ったはずの贈り物がなぜ手元に?
ふむ、とそれを見ると、結城由羅はにやり、と笑った。

「じゃあ、まあ、早い者勝ちってことで」

環月怜夜にひらひらと手を振ると、ひょい、とロジャーの佇む屋根へ登って行こうとする。団長が慌てた。

「は、早い者勝ちってなんですかー!!」
「さーって、なんだろーねぇ」

結城由羅の使っている森国人+忍者+猫士+世界忍者のアイドレスは敏捷が+5。対するに、環月怜夜の使ってる森国人+吏族+星見司のアイドレスは敏捷が+1。このままではお話にならない。

「ずるい、ずるいですよ!私だって世界忍者になりたかったのにー」

涙目になりつつも、なんとか屋根に登り、先行する結城由羅にタックル。

「ちょ、ま…」

環月怜夜に腰を両手で掴まれて、屋根を這ってロジャーににじり寄ろうとしていた結城由羅は体勢を崩した。さしもの世界忍者アイドレスも役に立たず、まとめて転がり落ちていく二人。

「わー」「きゃー」

ロジャーに抱きとめられるのはこの直後であった。
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戦場のバレンタイン 中編 ( No.2 )
日時: 2007/02/15 03:08
名前: 十五夜@藩王 

「きゃああああ、な、何してるんですか!は、離して!変態!セクハラ!」
「どうせならもっと風情のある抱き方がいいですぅ!」
「…助けてやってるのにひどい言われようでござる」

真っ赤になって抗議を叫んでいる環月怜夜と、わけのわからないことを喚いている結城由羅をまとめて小脇に抱え、宙を滑空しながらロジャーは呟いた。

ロープがよい位置に振れたタイミングで切り離し、ふわりと地面に降り立つ。

そして、ぽいぽい、と地面に二人を放り出した。ふぎゃ、ぐへとか言いながら地面に転がる二人。

「屋根に登るのは危ないでござるよ」
「団長がタックルしてこなければ、別に…」

世界忍者アイドレスなんだから、と口を尖らせる由羅。

「抜け駆けしようとするからでしょうが!」

怜夜が食ってかかった。

「抜け駆け?なんのことでござるか?」

にやにやとロジャー。落ちそうになっても握りしめて離さなかったチョコと酒瓶が、二人が何をしようとしていたかを雄弁に物語っていた。

「こ、このいけず!」

環月怜夜は酒瓶を投げつけようとして、思いとどまった。

「こ、これはバレンタインプレゼントなんかじゃないんですからね!」

ぐるぐると目を回して、言葉を継ぐ。

「そ、そう、これは、健康と作戦の勝利を祈って…景気付けのためのお酒ですから!みんな、国のみんなも心配してるんですから!絶対、勝って…帰ってきてください」

一気にまくしたて、顔を真っ赤にしてロジャーを見ると、こらえきれずにくっくと笑っていた。

「ばかー!」

結局酒瓶を投げつける怜夜。うおっと、と器用にロジャーはそれを受け止めて、柔らかく笑った。

「ありがとう」

その笑顔にぐっと詰まる怜夜。ぱくぱくと口を数回開閉したあと、きっと涙目でロジャーを睨みつけた。

「あなたなんか、嫌いです!」

わーっと叫びながら走り去る怜夜。途中ぽてんと転んで、えぐえぐ起き上がるとまた走って行った。
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戦場のバレンタイン 後編 ( No.3 )
日時: 2007/02/15 03:19
名前: 十五夜@藩王 

「相変わらずねぇ」

余りのことに毒気を抜かれまくっていた由羅が呟いた。しかし、手元のチョコを思い出して頬を赤らめる。なんというか、いざ二人きりになるとちょー照れる。

「まあ、その、…ということでバレンタインプレゼントです。チョコお好きかわかりませんけど…」

おずおずと差し出す。

「ありがとうでござるよ」

受け取りながら微笑むロジャーに固まる。ぐは、何この拷問。

「えっと、その…光太郎さんが早く見つかるといいですね!」

そう叫ぶと由羅も脱兎のごとく逃げ出した。無理、これ以上はとても無理。

怜夜を追うように消える後ろ姿を見ながらロジャーは苦笑した。

「一人残されてしまったな」

ふむ、どうしたものか、と手に持ったチョコと酒瓶を見て肩をすくめた。

「一人で頂くにはちょっと量が多いな」

夜空には降るような星。あのどこに光太郎がいるのだろうか。見上げながら友に思いを馳せると、ふっと微笑んだ。たまにはまあ、息抜きもよかろう。

ふらりと二人の後を追う。開けた場所にある野営地でみなに囲まれて二人が冷やかされていた。

「二人だけずるいなぁ」凍矢摂政。
「おめでとうございます☆」月代歌姫。

彼らに手を振るとわひゃあと叫び声が上がった。

「お相伴はいかがでござるか?」

チョコと酒を掲げて振る。

「頂きます!」尻尾を千切れんばかりに振りながら凍矢摂政。
「うわ!いいんですか?」甘いものには目がない月代歌姫。

「一人では食べきれないでござるよ」

包みを開けながらロジャーは怜夜にウィンクした。

「ど、どうぞご遠慮なく!」

真っ赤な顔を背ける怜夜に笑ったあと、チョコを一つ口に放り込んでにやりと由羅に笑いかける。

「うまいでござるよ」
「そ、それはよろしゅうございました」

頬を染めてもじもじとうつむく由羅。ダメダメである。

「わ、宴会ですか?」とアム。
「いいですね!ビーフジャーキーありますよ」と六花は、どこかの犬にあげようと思ってたおやつを取り出した。
「ふっふっふ、こんなこともあろうかと」幽が懐から酒瓶を取り出した。

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戦場のバレンタイン エンディング ( No.4 )
日時: 2007/02/15 03:28
名前: 十五夜@藩王 

第一班のメンバーが色々と持ち寄って宴会が開始される。月代歌姫が、国許からロジャーに送られてきたメッセージを次々に読み上げた。

「鍋谷いわずみ子@鍋の国さま、Hastur/蓮田屋藤乃@羅幻摂政さま、カヲリ騎士、兄猫@ナニワの商人さま、匿名病院長さま、くまさま、よりプレゼントイラストが届いております。後でご覧ください」
「ありがたいでござる。見せていただくでござる」

「次、メッセージの部です。『ええと、いつも応援してます、頑張ってください。』イヌヒトさんから。期間限定バレンタイン世界忍者チョコと、手作りロジャー人形も贈られてます。後で受け取ってあげてくださいね」
「わかったでござる」

「『ううが、えっと、その一目見たときからそのポニーテールに惚れていまし……た、じゃ!』匿虎希望さんから。えっと…プレゼントはヘアケアセット?!」
「…よくわからないでござるが、受け取っておくでござるよ」

「『あ、あの……ね? その、これ、受け取ってほしいなー、なんて、あの……駄目かな? その……あの……お願い(消え入るように囁く)』匿名希望のしっかり摂政から…チャットネタだそうです」
「……反応に困るでござる…」

「あとは、団長とうっかり摂政から。団長はお済のようですから、うっかり摂政自分でどうぞー」

月代歌姫に突然突き出されて、凍矢摂政は固まった。ロジャーを目の前に、目を白黒させる。

「あの、その、ですね…。応援してます、心配しています、頼みますから無茶はしないでください。ちゃんと一緒に戦えるようにして見せます。だから、それまで死なないでください。そして団長か藩王を嫁に貰ってください(ぇ」

最後のくだりで、団長と藩王から同時にチョップが入って吹き飛んでいった。たーまやー。

「ありがとう。気持ちはありがたく受け取ったでござるよ」

そして、ロジャーは怜夜のワインを口に含んで、ゆったりと微笑んだ。

この瞬間だけは、戦いを忘れた穏やかな空気が世界に満ちていた。それはきっと誰かの魔法。誰かの幸せを願う人々の思いが起こした奇跡の時間であった。
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