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【SS】猫士Gのお話
日時: 2007/03/11 12:29
名前: 結城由羅@藩王 

尋軌さんとこの猫士Gのお話。
メンテ

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尋軌騎士の決断 ( No.1 )
日時: 2007/03/11 12:31
名前: 結城由羅@文士 

黒猫忍者の特配便の久堂尋軌騎士は、淡々とした人物である。飄々とした生き方をしていると言ってもいい。なぜこの国へ来たのか、と藩王が尋ねたとき、主流ではなかったから、と答えた。

その彼が、テーベーショッピングの打ち合わせのために第十五夜間天文台政庁を訪れたとき、ふととある張り紙の前で足をとめた。

「猫士の名付け親募集」

と書かれたその張り紙は、ずいぶん長くその壁を飾っていたのか、はじが黄ばんですりきれつつあった。その張り紙をひとしきり眺めたあと、彼はふらりとそばの窓口に尋ねた。

「これまだやってるの?」

森国人らしく長耳で切れ長の目をした女性が、プラチナブロンドの長い髪を揺らして頷いた。

「いつもではないのですけれど…いまなら丁度募集がありますよ。オスの猫士、人型の少年ですね。人間で言えば14歳くらいです」
「ふむ、では、申し込み用紙をください」
「あら」

女性の瞳が面白そうな光にきらめく。

尋軌騎士はそれに気がつかなかったのか、あえて無視したのか、表情には何も乗せずに、用紙を受け取るとさらさらと記入して窓口に提出した。

「確かに受け付けました。しばらくお待ちください。後程日程などの書類をお送りいたします」
「了解した」

にっこりと微笑む女性に尋軌騎士が頷いて離れると、声がかけられた。

「猫士、ですか?」

星見へ向かう途中通りかかった鐘音騎士が、興味しんしんといったていで立っていた。問いに、尋軌騎士はふっと微笑む。

「ええ、まあ」
「ですか。ええと、頑張られてください」
「どうも」

軽く会釈して歩き去る尋軌騎士を見送りながら、鐘音騎士は首を傾げた。

「猫士、ねえ」

/ * /

彼の猫士が寮のドアを叩いたのはそれから数日後になる。温暖な世界忍者国にしては珍しく肌寒い日で、小柄なその少年猫士は手にした巨大な荷物のせいでひどく幼く見えた。

「えっと、君は…」

ドアを開けた体勢で戸惑う尋軌騎士を、少年はきっと睨みつけた。

「名前…ないです。名前、早くつけてください!」

涙目。

「あ…」

と尋軌騎士は頭を書いた。そういえば、書類を机に載せたままだった。

「まあ、外は寒いから中に入りなさい」

むすっとしたまま、荷物を引きずりながら少年猫士が中へ入った来た。ソファーを見つけると、そこへ座り込む。

「ホットレモネードでも飲むかい」

答えを待たずに台所へ向かう。香りたつコップを持って戻ってくると、ソファーの上で黒猫が丸くなって眠っていた。

「疲れてたのかな。歓迎するよ、ええっと…」

しばらく思案する。

「ジー…そうだな、Gにしよう」

背を撫でる大きな手の下で、うとうとした黒猫がごろごろと気持ちよそうに喉を鳴らした。
メンテ

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