アイドレス/食糧生産地(HQ用)
アイドレス/食糧生産地
取得時期:アイドレス1 イベント/14。Ver.0.75のデータに更新。200807に合併で統合。
2010/03/10 HQ取得(旧ページ:アイドレス/食糧生産地)。
更新履歴
2014/05/05 HQ取得情報と旧ページへのリンクを追加。
配置:
→藩国地図/第3層 3-B(人狼領地・第3)
→藩国地図/第4層 4-C(本国・第4)
要点など
L:食糧生産地 = {
t:名称 = 食糧生産地(施設)
t:要点 = 食料,育成中の食料,生産地で働く国民
t:周辺環境 = 食糧倉庫,食糧生産に向いた地形
詳細データ:IDWIKI:食糧生産地
派生元:アイドレス/森国人+忍者+猫妖精
既存アイドレスの変更と置き換え(1)より。 旧ルールで作成。
イラスト:優羽カヲリ |
あの時からすべては始まった・・・
芝村 > そして、はえある第一位。ありえなすザチャンピオン
芝村 > 世界忍者国
芝村 > ここはすごい。半裸のロイ像があちこちにたって、世界忍者が闊歩してて、なぜか農業国。
芝村 > もうどこからつっこんでいいかわからん
芝村 > 暁の円卓やFEGや詩歌やほねっこなどが全部かわいく見えるこのまとまりのなさ。好きなモノを順番にいれた国
芝村 > 考えてみてくれ。見事な穀倉地帯を、なぜか走ってる忍者達を。どこみてもロイ像がある悪夢の光景を
#いや、農業国って…そんなつもりじゃ…
「よーし!なら増産してやろうじゃないのYO!」
「「「Yes,we can!! Yes,we can!!」」」
ということで始まった、食糧増産計画
それはまず、特産品を増やすことからスタートした。
特産品をふやすといっても、それは難しいことである。なにせ、技術革新による品種改良は昨今の情勢をみると混乱の引き金となってしまうからだ。しかし、今あるもの【食料】を増産するということは開墾を進めるという形になってしまい、国の地形や特徴に変化を与えてしまう可能性が高い。これも呼び水になってしまう可能性が高いために大幅な増産ができないことを示す。
そこで考えられたのは、世界忍者国特徴の一つである『二つの風土』を利用することであった。世界忍者国は旧世界忍者国と旧人狼領地の二つのエリアが存在する。そのエリアごとに生産されている食物は全然違うものであり、重複することがない。森国と北国…この二つの土地で作られている植物を入れ替えて栽培してみたらどうなるか…まずは、その実験から始められた。
この実験において二つのエリアから出された代表的な食糧である、ベマーラと小麦が入れ替えて育てられたが、流石に風土の変化には耐えることができなかった。そこで、あまり生産されていない植物を重点的に育ててみることになったのである。
試験的に行われるということで、【食糧生産に向いた地形】として選ばれたのは、旧人狼軍の総合演習場である広大な平野の一部分であった。
もちろん、この実験において国民の協力は不可欠であり、この実験を引き受けた【生産地で働く国民】たちには生活が安定するまでの援助が行われた。もちろん、実験データを取るということが最低限の条件で。
しかし、情況というものは川の流れのように変わりやすいもので、それは元人狼軍の全滅という悲報によって変化していった。
藩王である結城由羅はこの悲報からもたらせられる悲劇に対応するべく、この食糧増産計画に修正を加えることを命令した。
今回の食糧増産のコンセプトが調味料中心であることから、悲劇によって残された遺族への就労先への誘導を試みたのである。
なにせ少量でまとめることができる調味料は遺族の大半である女性向けの作業と言えたのだった。
ある程度の力作業は機械でも補えるし、何よりも女性特有の柔らかい手で収穫される農作物は損傷が少ない。
これによって離散した国民を収拾することに努める、政策ともいえる増産計画へと変わっていった。
そして現在…時の流れと世界事情は厳しいもので、藩国滅亡寸前まで追い込まれた世界忍者国。そんな中でも人々は友誼と希望を忘れることはなかった。
濃紺摂政と旧国民であるアンズ・ユーキ氏の政策によって、国民の増加と共に歩む再食糧増産計画が発表され実行されることとなる。
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○シュウサイ(砂糖大根)
テンサイの一種で、もともとは森国で少量が生産されていたが、これを北国で栽培してみたところ収穫時の大きさが段違いの差をみせたのである。
砂糖大根とは砂糖の主要原料であり、根を搾ってその汁を煮詰めると砂糖がとれる。
葉と搾りかすは、飼料として利用されてきた。
【育成中の食料】をみてみると、森国と北国での大きさの差は約1.5倍。取れる糖分は約2倍という予想外な結果がでてきた。
これには北国特有の寒さによって大きくなれたのではないかという学術的意見がでている。
ちなみに、普通の状態で料理することも可能。というか、加工しなくても美味。とくに甘味が出る料理には欠かせない。
このシュウサイが大きく育つということで、藩として栽培を奨励し砂糖への加工工場も北国に建設され、製造過程と製品を保存するための【食糧倉庫】も新築された。
育成中のシュウサイ イラスト:可銀 |
○わさび(本わさび)
決して某氏のことではなく、山葵である。
森国の特徴である、森林間の清流を利用しての栽培は一部の好きな人のために作られていたが
本格的な輸出をするべく色んな場所での栽培が始められた。
収穫された本山葵は、食品加工工場へと運ばれていき
輸出しやすいように一部は練りわさびのチューブパックにしてパッケージングされていく。
○干し柿とみかんとゆべし(SS1)
ここ世界忍者国の片隅、山間にあるとある棚田である
山頂から流れる湧水、適度な日照を得ることができるように開拓されたこの場所は【食糧生産に向いた地形】へと徐々に変化を遂げていった
はじめは、生い茂る木々、流れの急な川など自然と相入れることが難しく、開墾は困難を極めていった。
しかし、今は【生産地ではたらく人々】の顔は笑みに満ちている
なぜならば今は実りの季節
一年の中で、今までの労苦が報われる季節
収穫の季節だからだ
/*/
頭を垂れる稲穂を前に、世界忍者国・摂政の1人 久堂尋軌は笑みを浮かべていた
「今年は収穫が多いみたいですね…」
「はいっ、色々なことはありましたが、木々を残して棚田をつくっているおかげで崩落などもなく、…いまのところ水路の氾濫もなかったのようですね」
生産地の視察にきていた尋軌とともに可銀も地盤の調査や、水路の老朽具合を確認していた
頭を垂れた稲穂の群の中、いくつかの小さなものが動いている
「保育園の子どもたちに収穫を手伝ってもらって【食糧】のありがたみ、作り方をしってもらう」
今回視察に起つ直前に藩王から「つれてけ」というひとことと共におしつ…もとい、つれていくことになった数名の子どもたちは大人に付き添われて不器用ながら鎌を振るっていた
「…アナログですね…」
「あぁ、アナログだけど、機械は壊れるけど、人は壊れない、学習もするしね…」
微笑を浮かべながら会話をする二人に、行き交う人々の1人が足を止め、声をかけた。
「今、【育成中の食糧】で良いのがあるんですが…いらっしゃいませんか?」
声をかけられて、二人は一瞬視線を交わし、いきますと答えた。
ところ変わって、とある民家の軒下
「……ん〜、どこに育成中なものが?」
「これですよ」
ん。と背伸びして、可銀の問いに庭先の柿をもいで手渡す民家の主
「にがっ」
渡された柿をかじった可銀の口から思わず漏れた一言は万感のこもったものだった
「…渋柿ですよっていおうと思ったのですが…」
苦笑する主はもうすぐ柚と柿が収穫できる とにこやかに告げた
「ただ渋柿は…」
そういいながら表にでる主は子どもたちが刈った稲を運び込んでいる高床式の【食糧倉庫】とその横で柿の皮を剥いて、吊している老婆と子供を指した
「ああやって干し柿にして、保存食にしたり、柚もゆべしにして保存食にするんですよ」
そういっていると、ふと子供の方が三人に気がつき駆け寄ってきた
「尋軌さんっ、可銀さんっ、うちがむいた柿、たべますっ?」
駆け寄ってきたエドに二人はいらない、と必死に首を横に振るのだった
そして、三人と子どもたちは土産に大量のみかんと干し柿、ゆべしを持ち帰り、藩王に「どこにおくのっ、腐らせちゃだめだからねっ」と怒られ、その後ろではコタツにみかんのスタイルでくつろぐカヲリとくぅの姿があったとか…
(文章)エド・戒
○人狼ビール(SS2)
亡国某日、世界忍者国内人狼領地、領主宅
「本日の予定は、学園地区の見回り、軍港にて新造船の進水式への出席。その後軍部パーティーでの挨拶」
片手にファイルを抱え、もう片方の手でファイルをめくるメイド服を着た女が一人。
「だりー」
机の上に突っ伏してゴロゴロと上半身を転がす男が一人。
「午後の予定ですが、軍駐屯地にて演習の視察。その後農場にて・・・」
「うだー」
「農場にて・・・」
「だーりー」
「人の話を聞けぇぇー!!」
スパーン!と、気持ちのいい音が鳴り響く。 ファイルをめくっていた女がどこからか取り出したのかいつの間にか空いていた手にハリセンを握っていた。ついでに付け加えるなら、振り下ろした後であった。
「くぅちゃん痛いー。暴力反対ー」
ハリセンで叩かれた頭をなでながらぶーぶーと文句を垂れる男。 この男、ハリセンで頭を叩かれてはいるが旧人狼領地の領主(現、副王(仮))、大神重信である。大神はのそりと上半身を起こすと座っている椅子の背もたれに思い切り体重を預ける。椅子がギシィと軽く耳障りな音を立てる。
「それで農場の視察についてですが・・・」
くぅと呼ばれた女は勢いよく振り下ろしたハリセンを脇に抱え、息を整えて再びファイルを読み上げる。
「あ、くうちゃん今日の予定全部パスねー。マイハニーとデートだからー」
背もたれに身体を預けながらクルクルと座ったまま回る大神。 ピクピクとくぅの額に青筋が一本浮き出る。深呼吸をして湧き出た怒りを抑える。
「そういう事は早めにおっしゃってくれると嬉しいのですが・・・」
「だって今決めたもーん」
椅子に座りくるくると軽快に回る大神。
「っく、この・・っ」
くぅと呼ばれた女は怒りを抑えて落ち着けー、落ち着けーと小声で呟きながら再び深呼吸を繰り返して湧き上がる怒りを押し留める。 肩を震わせていたくぅだが、次第に震えが収まり深く息を吐くと大神に向き直る。
「で、では農産物生産区域より、新たな作物の栽培に成功したと報告がありました。それに伴い、現地でそれを使った料理の味見をしていただきたいとのことですがいかがなさいましょう?」
「毒見ー?」
くるくると回りながら聞く大神。
「えぇ、毒見ですね」
さらりと言ってのけるくぅ。 ちなみに、人狼領地の国民は相手が領主であろうと遠慮はしない。
数分の間沈黙が場を支配する。キィキィと椅子が不快な音を鳴らしながら大神を乗せてくるくると回る。
「ハニーの作ったものしか食べなーい」
「言うと思ったよこのやろうめ!」
椅子の背もたれに手を掛け、回る椅子を更に高速回転をさせる。
「いぇーい。くぅちゃんもっとー」
上機嫌である。有体に言えば、遊園地に来てコーヒーカップに乗ってはしゃぐ子供のように。
しばらくの間、部屋には大神のはしゃぐ声と耳障りな椅子の音が鳴り響く。
「あー、そういえばその衣装似合ってるねー。いえーい」
背もたれに身体を預けながらクルクルと座ったまま勢い良く回る大神は腕を前に突き出してグッと親指を立てる。 その言葉を聴き、くぅの動きがぴたりと止まる。
「やってられんわぁぁぁぁぁああああああ!!」
一瞬の沈黙の後、くぅは頭に装備していたヘッドドレスを掴んで床に殴り捨てドアを蹴り破って部屋を走り去っていく。 ちなみにメイド服の着用を命じたのは大神であり、なおかつくぅは元からそのような職種には就いておらず無理やり、半ば強引に領主権限により側室兼藩王第一秘書という立場にさせられていた。
領主宅を飛び出たくぅはしばらくは当ても無く怒りに任せて辺りをうろつき、メインストリートを通り過ぎ怒りも下火になった頃には農村の近くまでたどり着いていた。
道端の石を蹴りながら農道を歩くメイドが一人。蹴った石ころが道を逸れて畑に転がり込む。なんとも絵にならない光景であろうか。 畑では幾人の農民が作業をしており、転がり込んできた石に気がつくと顔を上げる。転がった石を眺めていたメイドと視線が合う。先に口を開いたのはメイドの方だった。
「あれ、皆さんおそろいで何をしてるんですか・・・って、聞くまでも無いですね」
見れば畑の隅に数人が集まりビールを飲んでいた。実に美味しそうに飲んでいた。ついでに付け加えるならば、塩湯でしたとうもろこしをおつまみにしながら飲んでいた。
「おー、くぅちゃんいいときに来たね。一緒に飲んでいくかい?」
「別にサボってるんじゃないんだよ? 実は新作のビールを作っていてね、試飲中さ」
「一人で飲むよりも大勢で飲んだほうが意見が多くていいからね」
「という事で、一緒に共はn・・・じゃなくって、一緒に試飲会に参加しよう」
そういって開封前の缶を差し出す農民A。そして「そういう事なら仕方ない」と嬉々としてその集まりに混ざるくぅ。先ほどまでの怒りはもう完全に忘れ去ったようである。 缶ビールを受け取り心地よい音を立てプルタブを開き一口飲む。「ぷはぁ」と、どこぞの親父のように満足そうにビールを飲む。 その後はビールを注いだりとうもろこしを食べたりしながら談笑に花を咲かせ、服装以外はすっかり場に溶け込んでいた。
ちなみに、農業博覧会に出品してからというもの国内では、とうもろこしやベラーマの実など国を代表する特産品からマイナーな作物まで様々な物でビールを製造しようという試みがなされていた。 いくつもの試作品が作られ、改良を重ね闇に葬られたり何度も試飲会が行われたりしていた。
談笑が猥談や自慢話、ほら話や英雄譚など話があっちに行ったりこっちに行ったりと飛び飛びになり統一性がまったく無くなっていた。 酔いが回り饒舌になりある事無い事をしゃべりだす。そんな光景を目にしながらくぅは自分のペースで飲み進める。そこへ一人の青年がやってきた。
「あ、そうだ。あの領主に毒見を頼んだアレはどうなりました?」
「ぁー、あれねぇ。食べてくれなかったや。ごめんね、ソーヤ君」
農民A改め、ソーヤ君。冒頭のシーンで領主に毒見役をさせようとしたのは実は彼であった。
「まぁ、さすがにスイカヨーグルトキムチチャーハンメロンカレーを素直に食べてくれるとはおもっても見ませんでしたが・・・」
とうもろこしにかぶりつき、ビールを一口呷るソーヤ。どこか残念そうな表情を浮かべる。 ソーヤは知る由も無いが、名前からして危機感漂うその料理は大神の口に入ること無く廃棄処分されていた。
「あー あの時ハニーの料理が頭をよぎったから断った」とは大神の弁である。
そんな事は言えるはずもなく乾いた笑いを浮かべるくぅであった。
「アーハハハハ・・・次は食べやすい物がいいんじゃないかなー」
さりげなくを装い忠告を促すが、やや上ずった声が一抹の不安を隠しきれていなかった。
足元には空き缶が無数に転がり、昼間から腹芸をはじめる者も出始め酒盛りもピークに達した頃いつまでたっても作業が再開されないことに業を煮やした女衆が怪獣映画よろしくドスドスと足音を響かせながらやってきた。 だが酒が完全に回り自分の世界に入っている者やハイテンションになっている者など、泥酔状態にありまったく気がつく者はいなかった。 自分たちの効きに気づく様子も無く酒を飲み、笑い、食べ、この上なく楽しそうに過ごしていた。だがそれもつかの間であった。
「あーら、楽しそうねぇ。仕事をサボって酒盛りなんてよっぽど働きたくないのかしらぁ?」
とても楽しそうに、しかし明らかに怒気を含んだ声が聞こえた。 そのたった一言に場の雰囲気は一瞬にして凍り付き誰もが動きを止めた。
その後はとても筆舌に尽くしがたい光景が繰り広げられ、その話を聞けば子供はあまりのショックに気絶し、大人でさえも泣き出す始末であったという。 この出来事の後、仕事中の飲酒は全面的に禁止されたという。 だがこの事が切っ掛けなんかどうかは不明だが、後に「銘酒・鬼鳴き」が作られたという。
さらに数日の後、くぅは再び領主宅に呼び寄せられることになった。前回と違う点はメイド服を着ていない。ということである。 大神の部屋の前へとやってきたくぅ。前に蹴破ったドアはすっかり新調され新品の輝きを放っているようにも見えた。 ドアをノックする。 返事は返ってこない。
もう一度ノックをする。 やはり返事は返ってこない。
首を捻りながらもノックすることを諦め、ドアノブを回して扉を開く。 そしてくぅの目に入ってきたものは―――――――――…………
空き缶の壁に囲まれた大神であった。空き缶の壁に驚き僅かに身を強張らせるくぅ。 しかし、次に感じた異変でくぅは身体を震わせることとなった。
くぅの鼻を異臭が襲った。 だがその異臭、匂いには不快感は無く、むしろ鼻腔をくすぐる様に甘い匂いが部屋を満たしていた。 部屋を埋め尽くすほどの空き缶を良く見れば、それは農業博覧会で公開されると瞬く間に特産品としての地位を確かなものとした人狼ビール(WOLF BEER)であった。 製造方法は種類によって様々であるが、大神の周りにある人狼ビールはどうやらとうもろこしを使ったものらしい。
くぅは身体を震わせる。 むろん、怒りによってである
「あ、くぅちゃんいらっしゃーい。ほら、くぅちゃんも飲んで飲んでー。今日は宴会だー」
既に何本目かも分からない人狼ビールを口にする大神。口ぶりからすると酔っているのかどうかすら定かではない。
くぅの身体は震えている。 怒りが満ち足りたことによって震えている。
「うーん このビールに合う新しいつまみか料理を国民に考えさせるように指示を出さなくてはー」
飲み終わった空き缶を適当に放り投げる大神。狙ったのか偶然なのか、はたまた奇跡か大神の持ち技なのか投げた空き缶は壁となっている空き缶の上に華麗に着地し新たな壁の一部となった。
「真昼間から飲んでんじゃねぇぇぇええええ!!」
くぅの怒号が響き渡り、空き缶の壁がぐらぐらと揺れる。が、倒れることも無く崩れることも無く憮然とその場に存在感を放ち続ける。
「にゃー」
今日も今日とて旧人狼領は平和である。(文:くぅ)
農業博覧会で公開されたポスターと人狼ビール:モデルはアイドルのメイ・リンさん イラスト:結城由羅(再利用) |
○世界忍者茶(SS3)
「じゃ、行ってくるので後はよろしくねー!」
元気のいい声と共に執務室から出ていくのは結城由羅。世界忍者国の藩王にして恋する乙女である。
「……いってらっしゃい〜って、陛下は何処へ?」
人狼領地の生産ラインのチェック表を持ってきた徒理流は、不思議そうにして執務室で悩んでいる摂政に声をかけた。
「あぁ、藩王さまはくろじゃーさんの所に行ったのさ。今度できたお茶の出来を確かめるために試飲してもらうべく押しか…いや、依頼しにいったよ。」
そう言いながら、今度大規模に行う予定の軽工業に関する資料に頭を悩ませている濃紺は答えながら顔をあげた。
お茶…それは、世界忍者国において重要なファクターである。緑茶・ほうじ茶・ウーロン茶・玄米茶に果ては紅茶まで。ありとあらゆる茶を生産しようとしていた。だが、件の夢の剣事件において生産者が全滅寸前まで追い込まれるという滅亡の危機へと追い込まれていた。 それを知った藩王は、自分自らお茶をプロデュースすることを決めて大規模な援助を約束して兎に角お茶の生産を安定させようとしていった。
生産がある程度まで回復すると、次は品質向上である。そのために個人的な試飲会を行ったり、品評会を行いながらこれからの輸出品の一つとしても見据えていた。特にほうじ茶は藩王の好きな銘柄である所為か、割合として若干多めに作られている。
…数時間後…
「たっだいまー今日のも良い評価もらってきたよー」
評価がよかった所為なのか、くろじゃーに会えた所為なのかわからないが上機嫌で藩王が戻ってくると、その頃には数人を覗いて殆どの主要人物が戻っていた。
「で、次の機会にくろじゃーがお茶会を開いてくれるって言ってくれたのだけど、参加する人いるよねー?」
「「!!!」」
藩王の言葉に、そこにいた全員の顔が一瞬固まる。いかんせん、お茶会での長時間の正座は参加者の足をある意味地獄へと追い立てるのだ。
「(ヒソヒソ)こういう時の人身御供…いや、お茶会に平気なあの人たちは?」
「(ヒソヒソ)久堂摂政はCM撮り、団長はロイが攫っていきました。カヲリさん達は増加計画のためににゃんばいんの整備だそうです。旦那さんに夕飯作るから直帰って連絡きました。」
「(ヒソヒソ)どうしましょう…嫌じゃないのですが、何と言ってもあの『正座』が苦手で…」
何人かで集まっていると、流石に目立ってしまったのか由羅の目が細くなり唇の端がニヤリとあがる。
「じゃぁ、とりあえず其処の三人に付き合ってもらおうかなー。これは藩王命令ってことで!」
「「「な、なんだってーーーーーーー!!」」」
予想外の藩王の言葉に、その場にいた三人は大きな声をあげてしまう。後日、4人はくろじゃーのお茶会に参加して内3人は痺れに悶えることになったのだった。
茶箱 イラスト:くぅ |
○世忍チョコ(SS4)
執務室にてお茶会で盛り上がっていた一方、その頃…
『ベマーラ入りチョコ新発売!!カリッと青春して、みんなで食べよう!』
ここは某スタジオ、カメラの前で一人のアイドルがチョコをかじりながらポーズを決めると一瞬沈黙が支配して
「はい!OKでーす!おつかれさまでしたーー!!」
ADの叫ぶ声と共に、緊張していた空気が一気に緩くなると「おつかれさまでしたー」の声があちこちで上がっていく
「ふぅ…あ、プロデューサー!見に来てくれてたんですか!」
撮影を終えたアイドルが、現場の傍に立っていたサングラスとスーツの男性に嬉しそうに近寄って声をかけていく。
「当たり前だろう、俺が頼んだ仕事なのに全部律任せにするわけにもいかないじゃないか。よくできてたと思うぞ?」
「へへぇ〜でしょ?プロデューサーが変わってから私も頑張っているんですからねー!だw」
アイドルの名前は卯月律。最近になって、アイドルデビューした世界忍者国出身のアイドルである。大ブレイクとまではいかないが、さすがに世界忍者国特有というか一定のファン層には人気がある。今、プロデューサーと呼ばれていたひろきPの元で努力してきた結果が今の地位を築きあげたものだった。
「しかし、悪かったな。いきなり連絡したかと思えば、新作チョコのCM頼んじゃって」
「いいんですよ。仕事ならば…私を捨てて、別の娘に移ったプロデューサーですもの。私事じゃ動きませんって」
冗談を言うように、顔を覗きこんでいる律の顔を見ながらひろきPはバツの悪そうな顔をしてみて
「捨てたなんて人聞きの悪いこと言わないでくれよ、律。お前の飛躍に俺は枷でしかならないんだから、判ってくれ」
「べーだ。そんな事なんて百も承知ですよー。プロデューサーは摂政でもあるんですものねー。わかってますって」
あっかんべーをしてみながら、ひろきPこと久堂尋軌に笑って見せると茶化しながらCMの時に食べていたチョコの残りを口の中へと頬張って
「ん…しかし、このチョコレート本当に美味しいですね。食べ過ぎて太っちゃいそう…って、ギャラ…現物支給とか言ったら絶交ですよ?」
「美味しいだろ?去年のバレンタインに藩国で作ったやつの新バージョンだからな、美味しいからこそ製品化に踏み切ったわけなのさ…って流石に現物支給はないよ。安心してくれ」
某経理のプロの言葉である「契約は契約 文書は神!」はしっかりとこの芸能プロダクションに反映されているらしく、現物支給で済ませようとしていたひろきPではなく藩国の摂政としての契約をする羽目になったのは隠された裏の話である。
「とりあえず、撮影用に用意していたチョコの残りはスタッフのみんなでわけることにしました♪で、これから打ち上げしようと思うんですけど…プロデューサーはこのあとお暇ですか?」
「ん?あぁ、この撮影の為に仕事は休みにしてきたから大丈夫…だと思う。」
「じゃぁ、決まりですね。今夜は寝かせませんよ〜」
まさに獲物を狙う猫の目をさせながら律が笑うと、自然と両手の指がクイっと動いて暗号のようにある事柄を示す。
「…お前、この間の世界忍者闘牌で優勝してたろ…そんな猛者が俺とやって何の得があるって言うんだよ…」
まったく…とぼやくようにしながら、自分の頭を軽く掻いてみせて
「へへぇ〜だって、プロデューサーとやるとピリピリした雰囲気でできて凄い感覚がシャープになるんですもの。だから、今夜はみんなで麻雀大会で決まり!」
麻雀…世界忍者国で広がっているの今はマイナーなゲームである。知的要素が盛り込まれている所為か、徐々に人気が高まっててーべーにまで番組を持つようになった。
「わかったわかった。ただし、にゃんにゃんは賭けないぞ?その位の分別はわきまえてるだろうな?」
「はーい、わかってまーす」
そして、打ち上げと称して行われた麻雀大会の死闘を語るのは別の物語となる。
市販の世忍チョコ イラスト:くぅ |
【食糧倉庫】(SS4.5)
「おまたせしました。やっと出来上がりました。これが新しく建てた食糧倉庫です!」
整備士姿のくぅが食糧増産計画の責任者である久堂と倉庫の前にやってくると自信満々にお披露目してみせた。
「おぉ〜長い期間かかっただけあって、ずいぶんと立派…というか大きいものができたんですね。」
ずいぶん前にくぅに依頼してからヤキモキさせられたのを思い出しつつも、久堂は倉庫の様子を眺めている。
「でしょでしょ。依頼受けた時とは事情が変わってますけど、大きいことは良い事だということでサイズを大きめにしたんです!」
「なるほど…しかしデカい…」
最初の設計の1.5倍の大きさになってしまった食糧倉庫は、これから中に色んな食糧を入れていって国民の生活を支える役目を負うことになる。今は何も入っていない空の倉庫。しかし、本当は人々の友誼と希望が溢れるように詰まっている様子を二人は感じ取ることができたのであった。
新築の食糧倉庫 イラスト:くぅ |
#これ以降は、アイドレス/食糧生産地を再編集したものになります。(再利用分)
イラスト
イラスト:カヲリ,可銀,結城由羅:鯵屋,真夕,濃紺 |
要点:食料,育成中の食料,生産地で働く国民 周辺環境:食糧倉庫,食糧生産に向いた地形 |
設定文
人狼領地と合併した為、現在の世界忍者国には2つの食糧生産地が存在する。それぞれの国で自国の【食糧生産に向いた地形】を開発し、そのままそれらを各層へ移動してきた。
それぞれの食糧生産地には呼称の便宜上、階層の数字が振られることになった。その為、第1と第2食糧生産地が無いので、事情を知らない人は必ず「第1と第2はどこだろう?」と首を傾げる事になる。
「まあ、そのうち第2とかできるんじゃね?」とは、疑問を口にした国民へ答えた藩王の言葉である。今後の人口増加を見越して、開拓の噂もあるようである。
第3層に雪国の気候と風土を持つ第3食糧生産地。こちらは、人狼領地の食糧生産地をそのまま移したもので、主要な産業は畜産である。
第4層に森国の気候と風土を持つ第4食糧生産地。こちらは、合併前の世界忍者国の食糧生産地で、主要な産業は穀物を中心とした農業である。
それぞれ別の産業として発達してきた結果、新しい世界忍者国には豊かな種類の【食料】が生産されることになった。これらの産物を商業港から輸出することで更なる発展を目指している。
第3食糧生産地
第3食糧生産地とは
第3層にある食糧生産地
イラスト
WW牧場・小麦畑(育成中の食糧・食糧生産に向いた地形):鯵屋・真夕 |
設定文
今回、戦時ということで食糧の増産の要求が浮上した。 地下の食糧生産施設とか農産系は増築命令を出しといてので、肉でも増やすかと考える。 そこで駐屯地と風力発電機の間に何も無いスペースがあるのに着目、農場を作ることにした。
当領地は雪国ではあるが、暖流と都市熱、工場の廃熱(廃熱は暖房熱源に転用して運用している)といったモノの効果で、湾岸付近は比較的雪が少ない。 そこで、寒さに強い種類のビーフやポークやチキン、馬などを育成しようというわけだ。 牧草や、農作物の脱穀、残飯などをサイロ型の処理装置を用いて栄養価調整・適度の殺菌・保存を行い、飼料としている。 サイロ式飼料作成保存システムや、畜産制御コンピュータ、各種制御システムのエネルギー供給は風力発電、地熱発電といった国内生産エネルギーを有効活用しており、非常時の人力運用技術も国内の遊牧民族出身者の登録により確保している。 施設設計は鯵屋技師であり、彼は工場の設計も手がけたこともある鬼才、もとい奇才である。 彼曰く 「俺は魚だが、肉も好きだ」 意味が分からない。 ちなみに領主は肉料理は豚の角煮とか叉焼とかローストビーフ+大根おろし、とかが好きである。好物は秋刀魚の塩焼き+大根おろしだがどうでもいいですね、はい。
養鶏場:鶏卵生産(食料・生産地で働く国民):濃紺 |
これらの生産設備は冬になると施設内に廃熱由来の温風を入れ、暖かくすることによって畜産物の体調管理を行っている。 常時医療器械を配置、獣医や技術者、試験官も構内に居住させることで品質管理にも万全を期している。
この農場の建設にあたり、唯一心配されたのが騒音である。共用空港からそう遠くない位置であり、家畜に対する精神的ストレスを危惧する声もあった。 これに対して藩王のコメントは以下の通りである。 「静かに飛べないのか?」 この一言から空軍の開発費増加及び民間航空機開発会社への資金援助などが決定され、「家畜に優しい狼」として国民は大いに盛り上がったとか。
農場建設に当たり、各方面へと牧場の名前を募集・・・しようとしたが面倒くさかったので、領主が勝手に決めた。「酒池肉林」・・・嘘です。「WW(ウェアウルフ)牧場」にします。 その面積と運用動物数はかなりの数になるが、管理コンピュータや無人多脚AIロボ、そして有能な管理官たちの努力によって畜産物の自給に成功した。 これらの畜産物を一気に煮込んだ「牧場鍋」「牧場シチュー」などは、新たな名物として鍋好きの国民が開発したらしい。
この農場の開設を記念して毎年収穫祭「酒池肉林祭」が行われている。祭りでは食べ放題や大食い・早食い大会などが催され、毎年食べすぎて病院へ搬送される国民が後を絶たない。
駐屯地:軍用倉庫(食糧倉庫) |
○牛「ホルスター・イン」 当農地で飼育されている牛は「ホルスター・イン」種であり、小さい子供を懐のポケットに入れて暖かくして育てるのが特徴の寒冷地仕様の牛である。 メスは乳牛、オスは肉牛として食用であり、あらゆる料理に合う汎用性の高く栄養価の良い肉・乳質が人気である。 特に、この牛から取れる牛乳は質に応じて五段階のグレードが存在している。最高級ともなると流石に量も少なく高値で取引される。 以前、この牛乳のあまりの美味しさに飼育員の一人が給料の半分を牛乳に費やしていたという逸話は有名である。
○豚「インター・ポーク」 豚舎で飼われている豚は、各種の料理に合うように癖の無い味に仕上げられ、その飼育は管理コンピュータと熟練の養豚おじさんの手によって行われ、一級の豚肉を安く大量に手に入れることが出来る。 また、厳しい環境で生まれた種の為馬力も非常に高く、牛と並んで非常時の輜重用にも考慮されている。(機関銃や迫撃砲の運搬に) この豚は鼻も良いために、しばしばきのこ採集にも駆り出される事があるという。きのこハンターポークへの成功報酬は勿論きのこである。
○鳥「チキン・オブ・ハート」 伝説の食用鶏。コレが好物の王犬の研究開発と哺乳類より鳥類の肉が好きな王妃の協賛により、量産に成功。 オスは素晴らしい歯応えと深み、肉付きのよさを誇る鳥である。 メスは高い栄養価とボリューム、豊かな味わいを誇る鶏卵を産卵する。 これらの鶏は広大な敷地内を駆け回り、専用の飼育多脚ロボ「アイサン?Z」により飼育され、その加工食品は輸出分野においても高い人気を持っている。 刺身も旨い。この鳥は心臓が小さく、その分筋が強靭であり、その歯ごたえから酒のつまみとして密かな人気を誇っている。文族の一人は、 「これをつまみながら国産の米焼酎で一杯やるのが夜の楽しみなんですよ」 と話している。
○馬「スノウ・ホース」 また、牧場には軍馬も放逐しており、主に軍警察によって運用されている。 この馬は北国の雪馬という特殊な種類で、特殊な足の形状により雪上での機動性を有していることから犬知類の嗅覚と併用して軍警察機動隊の有効な足として働いている。 軍警察犬軍曹曰く「雪馬・・・彼らは生き物です。確かにI=Dより遅く、脆い。ですが雪上での小回りは何者にも負けませんとも」 馬は特に、小回りの必要とされる森林警備隊での人気が高いようだ。 余談になるが、この軍曹は現在34歳独身。馬と結婚すると豪語している。
○牧場鍋の作り方
1:具を鍋にぶち込む
2:味付けて煮込む
3:食べる
4:意味もなく踊る
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第4食糧生産地
第4食糧生産地とは
第4層本国にある食糧生産地
各設定文とイラスト
水田と食物倉庫
(可銀+結城由羅合作) |
設定文:水田(文章:みなお)
水田ととうもろこし畑を主体とする穀倉地帯は昨今、国土の開発を担う開発局の主導の元、王都のある中央部を拓いて作られた。北部がとうもろこし畑、南部が水田になっていおり、その間にはマベーラ林と精米などの各種加工を担う精製工場がある。畑や田んぼの間には貯蔵庫も点在している。
もとより国土の大部分が森林であるこの国では、古来からの盟約によって森の住民である獣は地面に、人々は主として木々に住むという生活形態のため、開墾には当初異論もあった。しかし、環境という点でいえば少々の伐採では土壌にも大気にも影響を及ぼさないほどの広大な森がこの国にはあったこと、そして藩王および国民の「忍者といえば米!」という強い共通認識に基づき、獣から地面を借りるという形でこの農業地帯が生まれた。
自然と共に生きるこの国の民の意識の中には、「いのち」を大切にする、という思想が根強い。伐採された木々は燃料としても使用されたが、建築物や生活用品、農具へと姿を変えるものもあり、それらは末永く大切に使われた。米の収穫後の藁や籾は土にかえされることで土壌の劣化を防ぎ、新たな収穫への肥やしとなった。また、最小限の農地から収穫量を確保するため、品種や育成法の研究が行われ、二期作が実践されている。
幸いにも国土の地下には源泉があり、巨木を育てた肥沃な大地は、そのまま大きな収穫へと繋がった。マルチフィクサーと猫忍者の協力により新たに編み出された新技術は、これらを大いに活用した活気的なものであった(参考:イベント/14/プロジェクト食料増産)。天文台の観測に基づく天候の予知は農業の大きな助けとなっている。「自然より学ぶ」という共通性のため、天文台とも協力して農業に関する研究は行われている。
作業用機械の開発はこの国ではあまり進んでおらず、最低限の耕作機による作業の他は、ほぼ国民の手作業によってまかなわれている。
収穫された米は主食として用いられるのはもちろん、様々な調味料や酒の原料としても使われ、忍者に必須の携帯非常食としての加工についても研究が進んでいる。また、精白過程で発生する米糠も洗剤や調味料として利用される。ここにも人々の、「いのち」を無駄にしない、という思想が生きていると言える。
育ちゆく稲穂の波を見て人々が笑いあうのは、収穫の喜びのためだけではない。自らの「いのち」と、隣人たる植物の「いのち」、そしてそれを育む大地がつながっていることを、何より実感できるからである。
とうもろこし畑
(カヲリ作) |
設定文:とうもろこし畑(文章:みなお)
とうもろこし畑は、精製工場を挟んで水田地帯に隣接して広がっている。
ここでも水田と同じく、農地を有効に活用するため、主に大豆との二毛作が行われている。収穫されるとうもろこしと大豆は、主として食用のほか、家畜の飼料としても使われる。
作付け計画を立てるにあたりとうもろこしが選ばれたのは、ご神体のモデルとも言われる彼の人の誕生花であるからだという。そしてまた、一面に黄金色の揺れる風景がこの国の民に、金髪を思い起こさせるからでもあるという。その花言葉は「財宝」であり、その名の通りこの国の貴重な財産となることだろう。
大豆については、加工の研究にあたって藩王の「味噌汁を作っておもてなしするのだ!」という強い要望を受け、他国の追随を許さないほどのバリエーションで加工が行われている。
設定文:精製工場(文章:みはえる)
巨大な食料貯蔵庫に隣接して、国が誇る精米兼精製工場が建っている。大勢の民が働いているその工場では、年中無休で、国民の明日の食卓に並ぶ「ニッポン食」を形作る食料の加工を行っている。具体的には米と豆腐と味噌と醤油である。「米がどれだけあっても、これらが無ければ、忍者にはなれない」という藩王の勅命の元、国民はありがたく美味しい御飯とおみそ汁を毎日頂いている。
ベマーラ(果物)の収穫とその果実酒
(カヲリ作) |
設定文:ベマーラの林(文章:みはえる)
国の中心部から西側を眺めてみる。困難の末に開墾に成功したトウモロコシ畑と、水田が視界いっぱいに広がっている。更にその先に視線を進めると、この国特有の巨木とは違う、普通の高さの、青々とした葉を広げた木が林立して、林を形成しているのが分かる。ベマーラの林だ。林は畑や田を囲むなだらかな丘を北から南まで連なっている。
ちょうど今は2度目の収穫の時期で、林の中には何人もの女性達がカゴを持って木をまわり、木からぶら下がるように実っている、梨によく似た形の実、ベマーラを収穫している。この時期のベマーラは赤い色をしていて、その外見からも果実特有のみずみずしさを感じる事が出来る。ところがこれは、ベマーラの片面の姿でしかない。
ベマーラの実は、トウモロコシ畑と水田の開墾に成功するまでは、世界忍者国の主要食であった。この実は国では「天然の忍者食」と呼ばれている。「万能食料」と呼ばれる事もある。一口食べればHPがMAXになるわけではない。この実は食料として、非常に多彩な用途に使えるのである。
まだ熟れる前のベマーラは深い青い色をしていて、7割ほどの実はこの時期に収穫する。
これを天日に一週間干すと、表皮の水分だけが抜けて堅くなり、長期間にわたって保存が可能な非常食になる。堅くなった表皮をかじると、中にはまだみずみずしさを保った果肉が残っており、水分を補給する事が出来る。また、干した後に火であぶり、完全に水分を抜いた後にすりつぶすと、これがまた良い香りを持つ香辛料にもなる。
そして、ちょうど今頃のように燃える赤色に熟れた頃に、残りの3割を収穫する。
赤くなったベマーラは酸味が強く、絞った汁はジュースとして好んで良く飲まれる。また、種の部分にはマタタビに似た成分が含まれており、それを絞って溶かし込んだものは、多少苦みがある物の、猫な人達には心地よい酩酊効果を与え、お酒のような物として好まれている。
ベマーラは藩国の初めから存在し、その終わりまで栽培が続く事だろう。今日も女達は、大きなカゴを持って、畑と水田の間を縫って、収穫を待つ果実の元へ向かうのである。
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References:[イグドラシル] [アイドレス/食糧生産地]