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アイドレス/トウモロコシ畑

トウモロコシ畑

取得時期:アイドレス2 T17(201112)(取得申請)

更新履歴

  • 2011/12/16 00:23 書式更新。
  • 2012/02/02 00:30 提出

要点など

L:トウモロコシ畑 = {
 t:名称 = トウモロコシ畑(施設)
 t:要点 = 広い、一面の、トウモロコシ
 t:周辺環境 = 平和の国

詳細データ:IDWIKI:トウモロコシ畑
派生元:アイドレス/代用燃料

イラスト

wnc_cf1a.jpg イラスト:優羽カヲリ

SS1<悩みと解決策>

「さて、どうしたもんだろ〜っと」

 どっかの兎みたいなアクセントで由羅はつぶやくと幾つかの項目を指でなぞっていた。
 彼女が見ていたのは、新しく開拓する予定の農地計画書。そこには、開拓次第に栽培されるリストが並べられていた。

「う〜ん…なんか違うんだよねぇ…こう、ただ農地を広げるってさー」

 農地を増やせば収穫物も増える。単純な理論ではあるが、この理論は強い。しかし、それを行うということは森を伐採して平地を増やす必要があるのだ。
 しかし森を減らすということは、色んな意味で危険だ。それは藩王として、星見としていろんな情報からわかっている。しかし食料は増やさなければ国民が飢えるだろうし、代用燃料という技術がある以上食料は多く確保するべきであるのは自明の理であった。

「最小限の開拓で最大限の食料を得る…そんな方法はないかなぁ…」

 それに、農地エリアを広くしたとしても管理する人手が少なければ上手くいく道理がない。
 現在は、大人が少なく労働人口自体がそもそも少ない。最近になり難民に対する帰属化のお願いを政策を出してみたばかりであるが、急激な増加を期待するには酷と言うものだろう。何せ、エコな石鹸と洗剤セットという新聞勧誘みたいな手である…。まぁ、これは久堂摂政が企画したネタであるので過大な期待はしない方がいいだろう。
 ペンをくるくると適当に回しながらリストを眺めていると、そっと視界の端にお茶とお茶菓子が出される。

「あ、あの…そんなに根を詰めると身体に悪いと思います…」

 ふと、視界をあげるとそこには白衣を着たカヲリがお盆を抱えるようにしながら見つめていた。

「ん…ありがと…いい匂い、これはうちのお茶と…」

 お茶と一緒に出されたワッフルを持つと軽く眺めて一口食べる。

「ぁ、美味しい…これ。もしかしてカヲリさんの手作り?」
「ぇっと…silver vineでアンズちゃんが作ってたので、教えてもらったんです…。美味しいなら、よかった」

 カヲリが嬉しそうな顔をすると同時に、ワッフルを口にしながら由羅は急にガタッと立ち上がると詰まりそうになった喉をお茶で流し込んで…

「うわっぐぐ…。ん…ん…ごっくん。そ、SOREDA!」

 何かを思いついたのか、先程とは違って目を輝かせつつもワッフルに注目しながら話しかける。

「カヲリさん!ちょっと使いを出してほしい所があるんだけど!」
「…ぇっ?」

(作:久堂尋軌)

SS2<現れた切り札>

「今日皆に集まってもらったのは他でもない。前に話していた農業改革について方針が決まったので、皆に更に意見をもらうためだ」

 カヲリに使いを出してもらって数日後、藩国の重鎮だけでなく農業関係者の代表も呼んで大々的な会議を行った。

「なるほど…それで陛下はこれからの農業について、どういう方針でいくのでしょうか?」

 手を軽くあげて松葉が発言すると、由羅は頷きながら紙の資料を参加者に分けていく。

「それにともない、今回はとある筋から専門家を呼んだ。ということで…専門家さん、いらっしゃ〜い♪」

 ワザとらしい仕草で由羅が扉へと視線をむけると、みんなの視線も扉へと注がれて大きく扉が開かれる。

「ひかぇい、ひかえおろう。この御方をどなたと心得る。怖れ多くもNACのリーダー、アンズ・ユーキ様であるぞ。頭が高いひかえおろ〜(棒読み)」
「かっかっか〜 v(^▽^)v て、何その気が抜けた紹介は!」

 腰に差していたハリセンを、右手にいた四方の後頭部にキレイにスパーン決めると唖然とする参加者の視線に気づく。

「あ、みなさんお久しぶりです〜!トウモロコシ畑の様子見に来ましたー」

 アンズ・ユーキ嬢。元世界忍者国の国民であり、今は涼州にて悪童元帥の元で活動している。農業を営む者からみれば、NACのリーダーとしての高名の方が大きいであろう。彼女の活躍によって、NWの農家は何度救われたか。
 ちなみに、先程叩かれたのは羅幻王国の四方無畏氏。今回は、アンズ嬢のお守ならびに、羅幻の商人として食料の買い付けも行いにきたらしい。この二人と優羽カヲリを含めた三人がsilver vineを運営している。

「まぁ、ネタはこの辺にして…とりあえず、現在の農業についての資料をみせてもらいました。国家機密レベルの情報をオイラみたいな部外者にありがとうございます」
「何を言ってるねぅ。アンズちゃんは部外者なんかじゃなく身内ねぅよ。何かあったら頼ってくれていいんだからね」

 礼をいうアンズに由羅は当たり前のように答えた。<世界忍者国の基本は友誼である>それは絶対なものであり、たとえ藩国を離れたとしても其れを気にするような国民はいないのが世界忍者国である。その証に、どこよりも先駆けてNACへの全面支援を声明としてだしていた。

「藩王さま、ありがとうございます(礼)では、さっそくですが資料を眺めた私見を述べさせていただきます。現状におきまして世界忍者国では開拓して、農地に転向させる計画を立てていますが余り得策とはいえません。これは星見的観点もあるのでしょうが、NACとしてはまだまだ現状の農地に伸び代があるのを感じるからです」

ざわ・・・ざわざわ・・・
 その話をきいていた農業関係者がいっせいざわついた。なにせ、現状の農法で作って最大限な収穫を得ていると思っていたのだから動揺するのは仕方ない話であった。

「えぇ…説明しますと現状で足りないものは、良質な肥料と思われます。これは今まで肥料として使っていた屑野菜や作りすぎて処分していた物を代用燃料に回してしまったことが原因と思われます」

 アンズの説明にさらに会場がざわついた。いかんせん政府の信用に関わる問題である、これは一歩間違えば政府不信の原因になってしまう。

「ぇ〜おちついてください。これに関しては肥料を出せば直ぐに土地はよみがえりますし、農地として向いていない土地も農地として使えることができます。それに肥料に関しては、先程藩王さまにお願いをして必要な量を藩国より出していただける事を了承していただきました」

 アンズの言葉に、農業関係者からは安堵のため息が聞こえてくる。なにせ、世界忍者国は裕福とは言えない。その上で肥料を自分たちで負担するのは流石に勘弁してほしいからであろう。

「ふむ、みんなの負担はできるだけ減らして肥料の生物資源は藩国から出すことにするので安心してほしいねぅ。それと配布する肥料の有効的な使い方に関して、NACの技術を教えてもらう講習会を定期的に行おうとおもう。参加は自由ではあるが、私としては是非参加してこれからの収穫UPを目指してほしい」
「では、配布された資料に目を通してください。説明をすると、配布予定の肥料の使い方と…こちらは希望者のみになりますが、新しい農法『輪作式農法』の説明書になります。これは、現在の農地をより効率的にする農法ですが、一つの種類に対する生産量は若干下がります。なので、現在の農法で成功している方には不要と思われます。主に荒地を新しく肥料によって農地へと転換する方や、余り農業がうまくいっていない方向けになりますのでご了承ください。」

 輪作−農業の手法の1つで、同じ土地に別の性質のいくつかの種類の農作物を何年かに1回のサイクルで作っていく方法である
 栽培する作物を周期的に変えることで土壌の栄養バランスが取れ、収穫量・品質が向上する。これにより、連作での病原体・害虫などによる収穫量・品質の低下の問題を防ぐことが出来る農法である。

  • 窒素固定能力のある作物(ラッカセイ、ダイズなどマメ科作物)→吸肥力の強い作物(キャベツ、ホウレンソウなど)
  • 浅根野菜(キュウリ、メロンなど)→深根野菜(ニンジン、ゴボウなど)
  • 単子葉野菜(トウモロコシ、ネギなど)→双子葉野菜(スイカ、トマトなど)

(参考:ウィキペディア)

「えー、お手元の資料をみればおわかりですが。今回の農法に関して肝となる物に【トウモロコシ】を推したいと思ってます。これは世界忍者国においてベマーラとトウモロコシは藩国設立からの農作物での二枚看板であったのを考慮したものですし。なによりもトウモロコシは輪作におきまして、栽培しやすくこの農法に扱いやすいというのもあります。」

191.jpg(再利用)
【例】

  • カブ→オオムギ→クローバー→コムギ
  • トウモロコシ→ササゲ→エンバク→ワタ
  • トウモロコシ→コムギ→クローバー
  • タバコ→コムギ→クローバー
  • トウモロコシ→ダイズ
  • トウモロコシ→ワタ

(参考:ウィキペディア)

「それに伴い、トウモロコシの他にも甘藷(サツマイモ)や馬鈴薯(ジャガイモ)なんかも埋めたいと思う。これらは北国のはずれの方でもできる作物だし何よりも単品でもおいしいからね」

 アンズの説明に由羅が追加の作物について付け加えると、幾つかの質問に答えると会議は終了に向かった。
 ちなみに、この後何度かの勉強会を経て本格的な栽培が始まった。今回の農法が目に見えた成果をあげだすと、国民からは感謝の声が上がっていた。後世にはアンズのことを『大地の学士』と呼んで敬ったと記述されるレベルであった。

/*/

「いやー、これはまた見事なトウモロコシ畑だねぇ〜」

 数ヵ月後、新しく荒れ地を耕作された畑には【一面の】トウモロコシ畑が広がっていた。

「とりあえず、最初にトウモロコシを植えてその後に色んなものを輪作していくそうですよ。ここだけでなく北国エリアでは【広い】空き地に馬鈴薯や甘藷が栽培されはじめています」

 視察にきた由羅に、その視察に随行した怜夜が【一面】に広がる【広い】【トウモロコシ】畑を眺めながら現状の説明をした。その内容にいちいち頷きながら、由羅も自分の手配したことについて語る。

「問題の一部だった資金面に関しても、銀行制度の整備という形で徐々に解消していってるのねう。これは、エミリオとみんなのおかげねう」

 それとなく、怜夜の相方への礼もほのめかしてみたが、天然の怜夜に伝わったかどうか不明だった。

「そうそう、定期的なNAC主催の勉強会では回を追うごとに参加者が増えているそうです。あ、そうそう…それと玉蜀黍とかの使えない残骸とかを肥料ポットへいれて肥料作製計画も始まってます」

 由羅は、嬉しそうに頷きながら手元にあった一つを手に取って眺めた。

「うむ、大きい感じでおいしそうねう。幾つか貰ってみんなで茹でていただこうか。もちろん、ちゃんとお金払ってね。せっかく【平和の国】にまで発展させたんだから、むやみやたらに火種をまく事もないでしょ」
「わかってますー。そんなことして恨みなんて買いたくないです〜。」

 怜夜の答えに満足しながら、次の視察へと向かうのだった。

(作:久堂尋軌、調整:結城由羅)

SS3<やっぱり必要なものは…>

 トウモロコシ畑を作るにあたり、アンズ嬢の助力も得て生物資源での肥料も作ることができた。
 そうなってくると肥料を混ぜてトウモロコシを作るだけなのだが、その前に行うことがあった。
 五穀豊穣を祈るための地鎮祭を行うのだ。イロモノの世界忍者国と言えど、神への感謝は行うべきものだし何よりも食物を作るために大地を借りているという考えは世界忍者国の民に根付いていた。

「さてっと…そろそろ儀式を始めますか。」

 主な面子は、儀式ということで珍しく全員が礼服を着用している。その中でも神崎は神殿においての神官長ということで滅多に着ない神官としての装束を身にまとっている。チャイナやバニ―でも問題ないと周りは言っていただが、神崎自身の固い意志で神官の格好になっている。
 そんな中で桂林怜夜は妙な胸騒ぎを覚えていた。地鎮祭をおこなうに際し、周りは幕で覆われていた。此処が外なのに四方に幕である。しかし、そんな彼女の胸騒ぎを他所に儀式は始まってしまった。

「では、これより五穀豊穣を祈願のための地鎮祭を行います。みなさんお静かに…では、神々にお祈りを…」

 静かな時間が流れ、藩王以下参加していた全員がお祈りを行う。そんな中で神崎が祝詞を読みながら宝剣として作られた忍者刀を奉納していく。

「無事に神々への奉納は終わりました、皆さんお疲れ様です。それでは、地鎮祭第二部を行いたいと思います」

「………はい?」

 神官である神崎の言葉に、おもわず怜夜は声にだしてしまった。自分の知っているスケジュールとはちがうのである。自分の知っているスケジュールでは、このあとに宴会に普通に入る予定なのだ。

「では、今回の五穀豊穣祈願の為に用意したロイ像111体のお披露目になります!」

 いつの間にか司会としてなのか久堂がマイクを持つと、周りの幕が一斉に落されて景色が明らかになる。

「え、えぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 その光景を見た怜夜は絶叫した。何せ今まで見た事のない新しいロイ像があちこちに置かれているのだから。
 しかも、儀式をおこなった正面には、まるでどこかの菓子会社のおじさんスタイル(#カ●ルおじさん)のロイ像が立派に建っている。

「今回の第五次ロイ像生産計画により、通算が777体になりました!このロイ像達が世界忍者国を平和な国への道しるべとなってくれるでしょう!」

 呆然とする怜夜を尻目に、久堂が言ったようにこれから一面にトウモロコシ畑が広がっていくのであった。

(文:久堂尋軌)

番外SS:<玉蜀黍万歳!>

『エドの!世界忍者の料理ショー―!!』

「さて、今週も始まりましたエドの世界忍者の料理ショー!今日もわたしエド・戒がお届けします。さて、今回第83回目のゲストはくぅおねぇさんです〜」
「にょろ〜ん、白い粉うめ…ガンッ!」(上空から金タライが降って直撃するとHAHAHAと笑い声が)

 金タライで悶えているくぅの姿にスル―しながらエドは説明に入っていく。もう慣れたらしい。

「さて、今日の料理ですがトウモロコシを使った料理を作っていきたいとおもいます。簡単に手に入るトウモロコシで美味しい料理をつくっていきましょうね」

 そう言いながら茹でたトウモロコシをばらしながらトウモロコシ料理について説明していった。

「トウモロコシは基本的にはそのまま食べたりとか、サラダとかに混ぜるのがいいですけど世界にはもっと大胆な使い道があります。たとえば…これですね」

 そう言いながらエドが冷蔵庫から白い粉の入ったボールをもってきた。トウモロコシの粉らしい。

657.jpg イラスト:くぅ

「さて、この玉蜀黍粉をつかって美味しい生地をつくっていこうとも思います。材料は此方」

その言葉と共に画面には材料のテロップが流れていく

/*/

「CМ入りました。現状15秒押しです」

 ここは、世界忍者てーべーの製作室。タイムキーパーとディレクターを両脇に従えて番組プロデューサーの徒理流が料理を作っていくエドとくぅを見ながら、タイムキーパーの言葉と共に進行表と見比べていた。

 世界忍者てーべーにおいて徒理流となかだいは其々切磋琢磨して番組プロデューサーとしての道を歩んでいる。徒理流に至っては世界忍者国の護民官を纏める役もになっていた。

「まぁ、今日もなんとかなりそうだな。心配してたツッコミもKT部隊を用意してからずいぶんと進行がうまくいくようになったし」

 通称KT部隊…正式名は金タライ部隊といい、役目はときどき暴走しそうなゲストに天井から金タライを落とす役目の部隊である。おろおろするエドの代わりにツッコミをするために重宝されていて、タライが直撃した瞬間には「HAHAHA」と海外のエンターテイメント番組のような笑いが入ることで視聴者の笑いも誘う。

「そろそろCМ開けます〜。3…2…1…キュー!」

/*/

「はい、それでは出来上がったものを並べて皆さんで試食していきましょう。今日の献立は…」

  • トウモロコシ粉を使ったコーンパン
  • コーンポタージュスープ
  • コーンとツナとベマーラを混ぜたサラダ
  • ツナじゃがいもコーンのかき揚げ
  • 玉蜀黍の髭をつかったとうもろこし茶

「そして…やっぱり、これがないと始まりませんよね!醤油タレで焼いた焼きとうもろこし!」

画面いっぱいに美味しそうに焼けた焼きトウモロコシが映っている。

204.jpg(再利用)

「では、みんなでいただきましょう。今日の試食ゲストは幼稚園の子供たちです〜!みんな、おまたせ〜!」

 エドの言葉と共にカメラが横に振られて、別の部屋で待機していたかわいい子供たちが今か今かと作られた料理を見つめるのが写っている。

「では、みんなで…『いただきまーす!』」

 声と共に子供たちができた料理の傍にやってくると、配膳されても行儀がいいとは言えないがいい笑顔で食べてはじめていく。そこで聞こえるのは『おいしー!』の声ばかり。

「てーべーの前のみなさんも、今夜トウモロコシ料理はいかがでしょう?って、食べ物で喧嘩しちゃだめー!」

まるで保母さんのような声をあげながら子供たちと一緒に焼きトウモロコシを食べていくエドとくぅ。

「失礼しました…さて、来週は『寒い冬にお勧めベマーラ鍋!』ということで、作家のレッドフルムーン先生をお迎えして美味しい鍋料理をお送りします。それでは、今回はこの辺で…お送りしたのは、エド・戒と」

「ゲストのくぅでしたにょろ〜!」

「「じゃぁ、まったね〜〜〜〜!」」

 カメラが二人と一緒に食べる子供たちの様子を映しながら、フェードアウトしつつ番組は提供のテロップへと移っていくのであった。

(文:久堂尋軌)


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