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アイドレス/代用燃料(技術)

代用燃料(技術)

577.jpgイラスト:優羽カヲリ

要点他

IDWIKI:代用燃料

L:代用燃料 = {
 t:名称 = 代用燃料(技術)
 t:要点 = すす,煙,トウモロコシ
 t:周辺環境 = エンジン
 t:特殊 = {
  *代用燃料の技術カテゴリ = ,,組織技術。
  *代用燃料の特殊効果 = ,,この技術を使うことで食料2を代用燃料1に交換することができる。
  *代用燃料の食用利用 = ,,代用燃料は食料としても使える。
 }
 t:→次のアイドレス = 高度な代用燃料(技術),燃料用トウモロコシ(アイテム),重農政策(イベント),トウモロコシ畑(施設)

〜努力と挫折〜<設定文1> (作:久堂尋軌)

代用燃料…それは、燃料消費が激しい世界忍者国において近日中に開発しなければいけない技術だった。

 そこでアイディアとして出されたのは「食料を燃料として使えるのか?」ということであった。
世界忍者国において、最大の技術は現在の農業である。食料を燃料として使えれば、燃料不足からは脱却が可能になる。

 しかし、大事な食料を燃料に変えるということは反対を受けていた。
「せっかく食べられるのに、なぜ食べられなくする必要があるのか」と…
確かに食料は大事なものであるし、これによって飢えが発生するような事があった場合、最悪国が倒れるという可能性もある。

 そこに悩んだ研究部は、大規模な方向転換を図った。
『食料を燃料に変えるのではなく、食料を原材料にして食べられる燃料を作るのだ!』と
そうなると話は早く進んだ。大体、食べられる燃料というコンセプトになると大概はこれが浮かぶ

『国原産の【とうもろこし】他を使った超純度のアルコール酒』

 実は世界忍者国は、発酵製品においては一日の長がある。 
古来より、半分兵器とまで言われたシュールストレミング缶の製作販売も行っており嗜好品として珍味とされてきた。
そこで、その技術として樽の中で発酵させる発酵酒をつくろうとした。

 しかし、発酵酒だけでは燃料レベルまで引き上げることはできなかった。アルコール分が足りなすぎる。
そこで行われたのはブランデーを作る段階で行われる樽にいれて熟成をさせるという方法であった。

 そこで、世界忍者国にあるあらゆる木材を使って樽を製造し、研究段階だった発酵酒を更に熟成させてみる。
研究段階ということで、魔法の付与も加えた樽も用意されて厳重なチェックが行われていた。

 人からみれば、燃料というよりもお酒づくりがメインのように見えるであろう。
何せ、派生品として発酵酒・ブランデーと民生に降りて人々に親しまれるお酒が多種類にもわたって作られたのだから。

 発酵の他にも蒸留をさせるという方法でも、試作品が作られた。
穀物とジャガイモを使って作られるスピリッツの製法である。これによって最大96%までアルコール度数を高めることが可能になった。

 しかし、下手にアルコール度数が高くなりすぎると原酒だけでは飲めなくなる。
その為に、主な原酒の使用方法はカクテルの基礎にしたり、狩人が携帯して森で手に入る水を混ぜて飲んだり、 家庭用消毒薬として戸棚に常備したり、家庭でチェリーなどの果実を漬け込んで果実酒を造る材料として使われることを前提にして販売は行われた。
もちろん、原酒のまま飲むことは急性アルコール中毒になるので推奨されない。

569.jpg
イラスト:食料が熟成されている様子:くぅ 

 燃料として耐えることのできる食料の製作、それを行うことで大事なのは燃料と同じように動くかということである。
I=Dの【エンジン】部分はそれなりに丈夫に作られてはいるが、あまりに粗悪な燃料を使うと【すす】が纏わりエンジンに貼りついて性能の低下を招く。エンジンより吐き出される【煙】も普通の燃料を使うと黒い煙になってしまう。

 しかし、世界忍者国で開発した食料を元にした燃料は原材料の良さと純度の高いアルコール分によりエンジンに劇的な変化をもらたらした。
エンジンより吐き出される煙は白く、特有の甘い香りをさせていく。エンジンが焼きつく原因にもなるすすも揮発性が高いため通常燃料と同じ位まで少なくすることに成功していった。

 しかし、I=Dの燃料として使用すると流石に性能の低下は明らかであった。そこで…
『この食料兼燃料は歩兵のみの適用にするのはどうだろうか?燃料と混ぜ合わせることで歩兵は燃料と食料の両方で運用可能に』
というのが研究部へと提案された。

 そうなると、話的には一気に躍進する。何せ、元から世界忍者国の燃料大食い編成は歩兵部隊を編成する時に発生するものである。
I=D用のエンジンに拘る必要はない。
もし、必要なときは忍者専用機を開発しているメンバーが新エンジンを開発するであろうと…。

しかし…

「…なにっ!…調合失敗…だと orz 」(研究結果を聞いた、久堂の様子)

 渾身の策と思われていたアルコール燃料。しかし、それを実際に燃料にするにはあまりにも消費効率が悪すぎた。そこで久堂は自分の担当であった分野を責任を取る形で他の者へと引き継ぐことを提案する。
 丸投げと思われるだろうが、正確にいえば担当を外れて副担当として補佐を中心としたものに代わるだけ。たぶん…

 そこで、新しい担当になったのは騎士団長である桂林怜夜。
彼女は久堂では考えられなかった、『食糧を使用の際に出る廃棄物』を燃料化させることを提案した。
 廃棄物を燃料化することで、食糧から燃料を作るだけでなく発生するゴミを燃料化してゴミを減らすのだ

 さらに、人狼領地で培われた笑顔号のテクノロジーも組み合わせて効率化をもくろんだ。

 笑顔号は、人型戦車の中でも稀な食料で起動する戦車である。
当時の人狼では麦藁を主につかって笑顔号を動かしていた、それを更に発展させてみようとの試み。しかし、それは別の話に…

〜丸投げ?いえ、委託です。(摂政談)〜<SS1> (作:桂林怜夜)

 底が広く口が小さい、まるでダルマに鳥の頭部を付けたような、不思議な曲線を描く赤銅色の巨大な瓢箪のようなもの。
それが彼女に与えられたものだった。更に言うなれば、それが摂政から丸投げされたものだった。
 ついでに言うと、家庭内不和が原因で家に帰りたくないという理由で、彼女がこの企画を引き継ぐことになったのだ。
この嘴つきの巨大瓢箪、名をポット・スチル。蒸留装置である。 そして、これはすぐに売却された。
 アルコールを利用して代替燃料を作るという尋軌摂政の発案で作成されたのだが、手間もコストもかかる上に、折角できた酒を燃料にするのは、職人気質の国民の受けも悪く、勿体無いという思いが強かった。 ある酒飲みは言った。

「コップに飲ませる酒すら惜しい」と。

 至極尤もな意見だった為、銅のポット・スチルは人狼ビール工場に送られ、永くウィスキー作りに利用され、更にその発展としてベマーラブランデーが作られるようになるのだが、それはまた別の話である。
 それはそれとして、売却したお金でもう少し廉価な蒸留装置を購入し、代替燃料の作成が始まったのだった。
余談だが、この時に老朽化した彼女の像や彼女の(本人曰く内縁の)夫の像なども鋳潰して蒸留装置の材料にしている。

 さて、代替燃料なのだが、食料を原料とすると、食料にする分も燃料に回しかねず、結果的に食糧難になりかねない。かといって世界忍者国に農業以上に発展した産業もない。
農業、またはそれに近い技術を使えるものが理想だった。
食料の廃棄物か産業の廃棄物。
それらを中心に彼女は試してみることにした。
麦の藁やトウモロコシの茎からそれなりに油を得ることはできたものの、産業にできるほどではない。
 すっかり退屈…いや、疲労困狽して、実験に使用した落花生の殻やらもみ殻やらをブドウの皮やらを燃やして焼き芋を作っていた頃……彼女は廃棄物の処理だと主張したが、どう見ても息抜き……の最中だった。
 突然、大きな火の手が上がったのである。
たき火を囲んでいた皆が振り返ると、一人の作業員が呆然とベマーラの枝を握りしめていた。
樹を乾燥させると水分が減り、油が採りやすくなる。
この一件から木材から油を採る方法が確立された。
 特にベマーラは成長が早く、果実を大きくするために余分な枝は伐採される。今までは捨てられていた小枝だが、逆に油を搾るに適度な大きさである。
 ベマーラによる採油技術の確立により、他の木材や植物を乾燥させたものから油を搾り、そして蒸留装置にて精油するという代替燃料産業が始まったのである。

580.jpg
イラスト:精油用蒸留装置:線画くぅ 着色優羽カヲリ 

それと加えてトウモロコシも<SS2>  (作:エド戒)

【トウモロコシ】からつくられた可燃性の液体、それが代替燃料である

木材や、他の穀物からも採れるには採れる、が、やはり香りと【スス】の量が違った。

あがる白い【煙】からは香ばしい香りがする。

代替燃料を家庭用燃料として使っていたある施設で小規模な爆発がおきたのである。

揮発性のエタノールを含んでいた代替燃料を空間に放置していたために起きた、事故であった。

しかし、転んでもただで起きない国民性。

この事故の反省から、代替燃料はタンク、樽といったものに詰めて保管することが定められた。

そして、その揮発性を利用してガス状になったものを保管しようとする研究が今、行われている。

気体燃料、液体燃料どちらでも動くにゃんばいんの開発も遠くはないのかもしれない。

【エンジン】で代替燃料を燃やし、その力で新しい【トウモロコシ】などの穀物をつくる。

世界は巡回している。

世界忍者国に黄色い畑が広がる姿は壮観であろう。

そして、そこに響く国民の笑い声があるかぎり、世界忍者国は平和なのである。

そして…    (作:久堂尋軌)

 ベマーラとトウモロコシによる採油技術は、画期的であった。国民生活面での燃料は十分に賄えるものとなっていったが、問題は軍事面で使用する燃料である。

 軍事面での燃料消費はターンを追うごとに爆発的に増え、歩兵部隊ということもあり節約するということが難しいものであった。

しかし、新しい燃料はより新しい技術を発生させることもある。

軍事にも使えるようにするために、文献や技術者への相談を行った…その時、開発スタッフに電流走る。

”エマルジョン燃料!!”

エマルジョン燃料とは…

  • 燃料油分に一定割合の水を混ぜ合わせる
  • 油の中に微細な水粒子がほぼ均一に分散してる状態の燃料の事である

エマルジョン燃料の利点とは…

  • 燃料粒子に含まれる水粒子が燃焼機内の高温雰囲気の中で微小爆発することにより燃料粒子がさらに細分化され燃料と空気との混合がよくなる
  • 燃料効率が向上する
  • 燃焼炉内への過剰空気量を減少できる
  • 燃焼炉からの熱損出を減少できる
  • 排気ガス中のNOx(窒素酸化物)の濃度を低減できる
  • 排気ガス中の煤や煤塵を低減できる
  • 植物油の廃油や機械油をも燃料として利用できる

 まさしく、エマルジョン燃料は世界忍者国にとって理想的な燃料であると言える。

 食用廃油・ベマーラ・トウモロコシなどの植物から作られたエマルジョン燃料を世界忍者は駆使することで、名前どおり世界を席巻するのであった。

〜そして伝説へ〜 <SS2> (作:優羽カヲリ)

「と、言うわけで」

こほんと咳払いを挟んで、責任者の桂林怜夜は宣言する。

「ベマーラの枝から採った油で、エマルジョン燃料を作るシステムの整備が完成いたしました」

「わー」
「えまるじょんー」

新技術の発表を聞きに集まった、基本的に素朴でのほほんとした性質の国民達がきゃっきゃっと喜ぶ。

エマルジョン技術のなんたるかを皆が本当に理解しているかは微妙に謎、
であるが、
嬉しそうな国民達を見て、怜夜の顔も思わずほころぶ。
頑張って息抜き…じゃなかった、試行錯誤を繰り返した甲斐があった。

「こ…これで、燃料食いに苦しめられたわが世界忍者部隊の貧乏生活にも一縷の光明が…」

摂政の久堂尋軌も感慨深げに頷く。

結局の所、注意深く研究を繰り返した結果、 初めはそれほどでもないかもしれないと見なされていた【とうもろこし】からも、良質な燃料を作り出せることがわかり、
ベマーラ枝と、とうもろこし、の二つをメインの原材料とした、代用燃料生産技術が確立した。

いったん専門家達の努力により方法が確立してしまえば、あとは皆でわーっと頑張るのみである。
新しい産業に対する好奇心と、それがもたらす可能性に、国民達の胸がふくらむ。
心なしか【エンジン】達も楽しそうに作動しているように見えた。

こうして世界忍者国のあたらしい燃料技術産業がはじまる。

「【すす】や【煙】も、環境保全基準値内におさまりそうですし、よかったですね」
「腕のよい開発者や整備士も多いですから、助かりました。」

森国の大切な木々達が傷むことがないように、ということが、
この産業システムを構築するうえで、一番大切に考え抜かれてきたことだった。

576.jpg
イラスト:優羽カヲリ

〜節制と抑制〜

 燃料技術が完成後、定期的に上層部による視察が行われている。その理由は目新しいということもあるが、この技術は一歩間違えれば全ての食料を燃料に変えてしまい、国を滅ぼしかねないということを理解しているということこの上ないのだ。

「とりあえず、今後の燃料化する食料の量はどう決めてるの?」
「予測では食料生産量の7割程度までが国政的に限度とでてますが…。流石に7割も燃料化したら経済が崩れます。」
「まぁ、そうだね〜。更に食料全部を燃料に変えて国が滅ぶのは笑い話にもならないからね」
「…御意にて、一応…編成時に重編成に使う量までということにしておきます。『それ以上はこの技術では耐えられない』ということにして徹底して流布しておきます。そうすれば馬鹿な事を考える輩は出ないでしょう。」
「うむ、無理なことができないように徹底しておいてね。周知ならびに警備もよろしく。」