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世界忍者国 - アイドレス/水上艦船・要塞艦の建造(イベント) Diff

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!→[[アイドレス/水上艦船・要塞艦の建造(イベント)
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!!更新履歴
*2011/11/06 項目新設
*2011/11/23 設定文・イラスト・SS追加。
]]へ移動

!!要点他
L:水上艦船・要塞艦の建造= {{{br}}
 t:名称 = 水上艦船・要塞艦の建造
(イベント){{br}}
 t:要点 = {要塞艦は住民をある程度乗せて世界の終わりに漂流することを覚悟で作られた艦である。可能な限りの重武装を施し、あらゆるところにばらまかれて今の世界の種を残そうと試みられた。}{{br}}
 t:周辺環境 = 世界の終わり。{{br}}

!!イラスト
||{{attach_view(kyoushuu_jinrou.jpg)}}||
||当初原案(作:春雨(旧人狼領地国民))||

||{{attach_view(ship03_01_s.jpg)}}||
||3Dモデル図(作:[[国民/結城由羅]])||

||{{attach_view(change_s.jpg)}}||
||人型変形プロセス説明図([[国民/桂林怜夜]])||

!!設定文
 高機動要塞戦艦人狼――それは、【世界の終わり】が来た時に、わずかでも現在の世界の人類を次の時代に引き継ぐため、漂流することを覚悟の上で作られた重武装の要塞艦である。物理域の変化および分散生産に対応できるように、武装ユニットと居住ユニットが分離できるように設計されており、最悪時には武装ユニットを切り離して居住ユニットだけでも生き残れるようになっている。また【世界の終わり】には人型しか動かなくなることも考慮し、人型変形機能も持っている。なお、変形に際しては「変化の術
が応用されており、どちらかといえば戦闘というよりは逃走のために利用されることを想定している。この形態の正式名称は「最終脱出形態ロイ像バージョン」であるが、長いため略称でロイボットと呼ばれている。

松永「最終脱出形態ってどういう意味ですか?」{{br}}
由羅「要は走って逃げるってことだNE」

!!SS:人狼領主の野望
「さて、やるか」{{br}}
「うむ」{{br}}
―茶の間にて―

 世界忍者国の第4層―人狼領地、その中央部にある領主の館にはなぜか茶の間がある。この辺は、世界忍者国の王宮ロビーの一角になぜか畳が敷いてあるのとよく似ている。洋風と和風がちゃんぽんなのだ。

 その茶の間に召集され、ちゃぶ台を囲む男達。

「避難船兼揚陸艦、要求仕様は3つ。速度、装甲強度、積載量」{{br}}
「火力は?」{{br}}
「避難船と揚陸艦にそんなものは必要無い」{{br}}
「ドリルは?」{{br}}
「I=Dにでも積んどけ」{{br}}
「何処で造る」{{br}}
「技術は紅葉とFVB、ブラントは満天星で。協力要請を出そう」{{br}}
「よし、俺が外交回ってくるから、どりるさんは建造現場の監督を。くぅやんは、お披露目会で子犬に着せるコスチュームを準備しててくれ」{{br}}
「で、俺は」{{br}}
「兄貴は、全体の監督(ツッコミ)
、頼む外しましたマジデ」{{br}}
「…了解した」{{br}}
「うっし、じょーきょーかいし」

 煙と共に、その場から消えていく男達。この辺、ビミョーに忍者である。

 しかし、その後、世界忍者国側スタッフとの意見のすり合わせに時間がとられることとなる……。

(作:[[国民/大神 重信]]、編:[[国民/結城由羅]])
!!SS:企画は踊る
 世界忍者国ではかねてより元人狼領地藩王・現領主大神が要塞艦の開発を強く訴えていた。これは質量攻撃や艦艇突撃による最終決戦を見越したものであり、決して戦闘から逃げるためのものではなかった。

 一方、世界忍者国藩王結城由羅は悩んでいた。本当に、このまま行ってこの【世界の終わり】を超えられるのだろうか?特に力のないわが国では、もしものことが起こったときに逃げることもなく終えるだろうことが見えている。もしもがないとは言い切れない、竜の言ではわれわれはT18には滅びるとさえ言われている。

 女王は基本的にはギャグや面白いことばかりを行うイメージがあるが、民などの大切なものを思うときのみシリアスになる。基本はギャグで一定条件下のみシリアスなのは世界忍者の性質を体現しており、世界忍者国の女王らしいとも言える。

 そんな女王の前に一枚の嘆願書が置かれていた。それは大神からのものであり、いつもの要塞艦の開発を願うものだった。

「要塞艦は多数の武器を備え巨大であり、{{br}}
 また何より堅牢である必要がある」

 嘆願書ではあるものの、必要なものを1ページ目から書いてあるところが面白いなと女王はそのまま元の思考に戻ろうとしたその時だった。

「そうか、これねぅ」

 星見司でもある女王は気づいたのだ、世界が滅びたとしても生き残る道を。

/*/

 TLOと呼ばれるものがある。

 これは現在の技術力では本来ありえるはずのないものを指す。そして、発掘される時もあるものである。

 根源種族と呼ばれる者たちがいた。この者たちは滅びる世界から逃げ放浪し、戻ってきたものとも考えられていた。

 この二つを鑑みれば、自分たちも世界の終わりに漂流することを覚悟すれば生き残ることができるのではないか。今の世界を少しでも残すことができるのではないだろうかと、そう考えたのである。そう、せめて、今は戦う力も持たない小さな子供たちだけでも・・・

 こうして、要塞艦の開発がスタートしたのである。

/*/

 開発が決まった時、大神は一時喜んだが、その内容を聞いて憤慨した、というより拗ねた。強襲揚陸艦のはずが、フル武装箱舟になっていたからである。

 当然のように二人の間で意見が割れた。周りも同じでどちらを開発するかを決めることはなかなか出来ないでいた。

 一応互いの要望を受ける形で設計案を作っては見たものの1〜5号計画書まではすべて破棄される形となった。これには、開発担当である松永も困惑するしかなかった。

 最終的に、らちがあかないということで、6号計画書についての会議が行われることとなった。この6号計画書の会議は摂政の濃紺が取り仕切っており、資料の作成配布にも当然関わっていた。

 ここで濃紺は何を思ったのか、開発局が制作したわけではない7号計画書と書かれた封書を同時に配布した。ちなみに製作元は、KMDNなる見たこともない名称になっていた。

 当初の予想通り6号計画書が破棄される運びになったところで、7号計画書の封を開ける事になった。

 最初は怪訝そうな顔をしていた松永であったが封書を開封した直後、激しく困惑した。そこにあったのは、彼が数日前にお遊びで考えた要塞艦だったのである。

 1〜6号計画書では都市船やそれこそ要塞をそのまま船にしたようなものが計画されていた。それは当たり前の話である。しかし、この7号計画書では全然別のものが書かれていた。まず、居住ユニットと戦闘ユニットが別個に用意されているのである。次に、それを牽引するかのように護衛する超巨大艦が戦闘ユニットであるのだが、そこにも仮居住スペースがある。

 問題は居住ブロックにも関わらず、エンジンブロックの真隣にあり中央部に固まっているのだ。しかも、形がどう見ても人が前に倒れ込む姿勢というか光国人の飛行体勢にそっくりだった。

 流石に怒られた。どう見ても変形機であり、マクロの宇宙で生き残りたい俺の歌を聞けー!な感じだった。

 濃紺は冷静にこの計画書の現実的な部分だけを説明し始めた。

 まず、全ての外敵を追い払うべき戦闘力と残すべき環境を分ける事。これによって生まれるのは大神の望む撹乱効果である。戦闘ユニットを多めに造る事で本命である居住ユニットの守り手がどれかわからなくなる。
次に、居住ユニットの拡張性と整備性の確保である。これらは当たり前で武器の整備・拡張の為に居住ユニットに不具合が出る事が無くなり逆もしかりである。また、分割しなかった場合武器を多数装備する戦艦である以上物理域の問題がネックになってしまう。こちらはマシな程度ではあるのだが。

 そして、資材及び建造の問題である。

 はっきり言って、世界忍者国単体では巨大戦艦を、しかも生活空間を孕んだ物など到底造る事など出来ない。想定生産力で巨大ドックを要求する一体型に比べ分割型ならば各国がもつI=D生産工場でも片方ならば余裕をもって作れるであろう換算である(実際には組み上げ等に別に場所を取られるだろうが)。これならば世界忍者国でも生産が可能であろうと考えられた。

 濃紺は一息つくと、次にこれは神崎の戯言だがと付けてから自信なさそうに現実離れした夢物語を語った。

 この世界が滅びを迎える時、TLOとして生き残る話である。

 まず、情報の空白地帯に移動する必要がある。これは地中や外宇宙、加えて魔境の類も含まれるらしい。これは世界がループした時に、情報の空白地帯には前ループの遺産が存在した事からの逆説である。

 NWなら海を渡って漂流も可能性があるらしいが自信がないそうだ。ネタとしてはムー大陸なら行ける気がするとか。

 上手く海上で残った場合、経年劣化による船の沈没は避けられないであろう。そして、きっとロイ像は積んでるであろうと言われた。

 説明を聞いていたものは呆気に取られた。

 つまりは、突如として海に消えたと言われるムー大陸は人工的なもので経年劣化で沈んだと言っているのだ、確かに不可能ではない言い分だ。ちなみに、これが成功した場合、イースター島にはモアイ像の代わりにロイ像が立つ訳だが。

 ただ、あくまでもネタの一種で本命は外宇宙であるらしい。理由は簡単で、根源種族の存在である。つまり状況をループさせれば残る確率が高いという考えだ。

/*/

 それらの説明を検討した結果、7号計画書はかなりの修正を受ける形ではあるが通ってしまった。1番の決め手は、生産と女王の願いと大神の目論見がすべて通ることを目指しているためではあった。

 問題は山積みであった――技術力や他国への協力願いや技術流布等――が、大枠は決まったのである。

 これに合わせて世界忍者国では戦力の強化がはかられる事となった。
[[アイドレス/忍者刀(アイテム)]]の生産、[[アイドレス/忍者専用機の開発(イベント)]]の遂行等、要塞艦を主軸にした国家計画が動き出したのである。

/*/

 7号計画書が通った日、何も知らない神崎は突然女王に呼び出されて困惑していた。

 姉さんの反省会でもあるのかと執務室に向かうと、真面目な顔をした女王と大神、それに濃紺に・・・瀕死(過労)の松永が揃っていた。

 女王からは質問が一つあっただけだった。

「あの君らが考えた要塞艦に続きはあるの?」

 神崎はそのことは誰にも話していない為に驚いた。おそらくは不可能だと考え諦めた続きがあるのだ。

 答えは一言「はい」だった。

 それを聞いて女王は、なるほどね、と頷いた。

 過労で頭が回っていない松永が疑問符を浮かべていると神崎は説明した。

 多分、前のやつの説明は聞いてると思うのでと前置きをしてから語るのは願いと昔聞いた物語である。

 世界はループしている。

 世界は世界の滅びと戦う運命にある。

 世界にはシオネアラダが光の軍勢を率いて悪しき夢と戦う物語がある。

 そして、この世界に今代のシオネが現れるらしい。

 シオネと光の軍勢の為に存在する世界の滅びと戦う為の砦が存在するという。

 ならば、ならばこそ今ならば世界の滅びと戦う為の、正義最後の砦たる存在を作れるのではないか。

 共和国と帝国、そして、今回この要塞艦を作るにあたって手に入れた技術力があれば、協力する事が出来れば。

 その要塞の名は・・・

「今回の要塞艦はあくまでも1国家のプロジェクトに過ぎません。
ですがNWの力を持ってすれば作れるのではないでしょうか」

 神崎は珍しく雄弁だった。

 その名は・・・

 女王は無表情だった。神崎が根源種族の話を出したあたりから予想は付いている。むしろ、大神の当初の野望が現在不要となり時空の狭間に置かれている人領領地の藩国船を再利用した巨大宇宙戦艦の建造だった。

「アーカウ要塞か…」

 根源種族が外宇宙に送り出したもの、NWで我々が起動した藩国船、そしてアーカウ要塞やラーウ要塞、これらはおそらくほとんど同じものだ。種子であり、【世界の終わり】から逃れるためのもの。

 今回の要塞船は規模的にそこまでのものは作れないだろう。しかし、次があるならば。

「作れるかもしれないな」

 女王は遠い目をしながら、薄い笑みをその顔に刷いた。

(作:[[国民/神崎 零]]、編:[[国民/結城由羅]])
!!SS:人型変形
 世界忍者国藩王結城由羅は、要塞艦の企画書を見て唸っていた。それは、設計を検討していた松永と神崎を筆頭とする検討グループからあがってきたものであった。何度もリテイクを繰り返し、現在のそれは7号計画書・改と呼ばれていた。

 兵器部と居住区を分けるという大勢の案は決まったものの、最終的なフォルムは未だ俎上にあった。そう言うときには最初に立ち戻るべし、というものである。由羅は元々の設計図の提出を求めた。

「これが、基本となった設計案ですね」

 濃紺が差し出した資料には、闇に光る星々の海に浮かぶフォルムも美しいひとつの戦艦が映っていた。

「宇宙戦艦、だね…」

 それを眺めてふむ、と顎を撫でる。濃紺が頷きながら補足説明をする。

「まあ、元々合併によって不要になった人狼領地の藩国船を再利用し、{{br}}
 最終決戦兵器を作ろう、というのがコンセプトでしたからね」

 藩国船は世界を渡る要塞そのものだ。神崎が目指すものとも近い。前部が武装ユニット、そして、後部の上部が居住ユニット、そして、後部の下部がエンジンとすれば、7号計画書の当初形状とは微妙に異なるが、設計理念からは外れていないだろう。

「まあ、形状は気に入ったから、これでいいんじゃない?{{br}}
 密閉性が高いのは、世界移動も考えれば、悪くないと思うし」

 今回の要塞艦への要請は、世界を渡るノアの方舟的なものである。そもそもの要求の一文を由羅が指で弾いた。

【要塞艦は住民をある程度乗せて世界の終わりに漂流することを覚悟で作られた艦である。可能な限りの重武装を施し、あらゆるところにばらまかれて今の世界の種を残そうと試みられた。】

 ただ、低物理域のことも考えて、自然換気を手動で行えるように設計に組み込んでおかないとね。と、由羅が赤ペンで注意事項を付け足していく。TLOは最終手段だ。そうやって要求仕様を固め直して、開発部へ送り返し、再検討してもらう。

 そんなやりとりを数回繰り返し、上がってきた3Dモデルを元にああでもないこうでもないと議論を重ねていると、ふらっと、人狼領主大神重信が入ってきた。

「はろーお姐ちゃん、進んでるー?」{{br}}
「進んでるー?じゃない、丸投げしやがって」

 いつも通り能天気な副王に、濃紺が渋い顔で噛みつく。人狼領地以来、思い付きを投げつけられては苦労してそれを実現してきた摂政である。

「まあ、いつものことだろう。{{br}}
 ともあれ、こいつは駄犬の要望の品だ。{{br}}
 何か付け加えたいこととかあれば今のうちに…」{{br}}
「んー{{br}}
 なんか、【世界の終わり】は人型しか動かないって聞いたけど{{br}}
 大丈夫〜?」

 ぐっと由羅が言葉に詰まる。確かに、それは星見としても正しい見解である。

「これを人型に…か」

 しかし、言うのとそれを実現するのとでは大きな違いがある。

 その他の要望をとりまとめ持ち帰ったあと、[[組織/開発局/中央研究所]]で可銀たちと一緒になってうんうんと頭を悩ませていた時、解決法をもたらしたのは桂林怜夜団長だった。

「本当に戦艦が人型になるんですか?」

 差し入れを持ってきた怜夜が、しげしげと設計図を眺める。

「手足くっつけてみているが、{{br}}
 どうもうまくいかなくてね」

 由羅が怜夜の入れてくれたお茶を啜りながら渋い顔をする。お茶が渋かったわけではないらしい。一瞬後、怜夜の言葉にそのお茶を吹いた。

「戦艦がロイ像になって、ジョイナー走りで逃げるんですよね?」

 げほげほむせながら、きょとんとしている怜夜をまじまじと見つめる。

「あーえーっと、ロイ像に変身は難しいなぁ、形状的に。{{br}}
 っていうか、ジョイナー走りで逃げるってどんなやねん」

 こんなです、と瞑想通信でいくつか動画を見せてくれる。

「ふんふん…っていや待て」

 だから構造的にだな、と言い募る由羅に、怜夜はにっこりとほほ笑んで見せた。

「変形はできますよー」{{br}}
「できるのかYO」{{br}}
「ええ、普通に」

 由羅が説明を求めると、その辺のメモ帳にさらさらと模式図を描いてみせた。

「…なるほど」

 どこからともなくナレーションが流れてくる。

/*/

深奥の宇宙の色に輝く蒼き鋼の船。その巨大な姿からは想像もつかない変形をするのだ!今日はその変形シーンを公開しよう。{{br}}
(脳内声:玄田○章)

1、まず、戦艦の中央にシャッターが下りる。{{br}}
2、居住部分がエンジンの真上に移動。戦艦の前半部分とは切り離される。{{br}}
3、切り離された前半部分は縦に真っ二つになる(桃を縦に割るような形)。シャッターはこの分離の為なんだ。{{br}}
4、二つになった戦艦の前半部分はひっくり返り、居住区を包むように合体する。エンジンだけは外についているから、マッチ箱の背中にビー玉がくっついている感じだね。{{br}}
5、この時、何故か表面は人型の胴体のような装甲になっている。そういうものなんだ。{{br}}
6、胴体から足が伸びる。{{br}}
7、胴体から手が伸びる。ただし、足と違って、両手のの外側から更に長い棒が伸びて宇宙に射出される。{{br}}
8、胴体から頭が伸びる。{{br}}
9、腰の辺りが更に伸びて、より人型に近くなる。この時、鬼の面の目が真っ赤に光る。{{br}}
10、目をクローズアップすることで、画面が真っ赤に染まる。{{br}}
11、真っ赤な画面を握りつぶす大きな手。その手には大きな布が掴まれている。{{br}}
12、くるん、とマフラーを巻く人型。{{br}}
13、7で空を飛んでいた長い棒がブーメランのように人型の正面に戻ってきて、それを両手で掴む。{{br}}
14、片方は鞘。腰にしまい、もう片方の忍者ブレードを超格好よく握りしめ、ポーズ。{{br}}
15、背中のエンジンが青く光って{{br}}
16、要塞艦、ロイ像バージョンの完成。{{br}}

/*/

「うん、わかった。{{br}}
 悩んでいた自分が馬鹿だった」

 由羅は幾分遠い目をしながら、人型変形の細かい設計を怜夜団長に一任したのだった。

(作:[[国民/桂林怜夜]]、[[国民/結城由羅]])

!!SS:居住ユニットの検討
 藩王結城由羅は、摂政久堂尋軌と要塞艦、特に居住ユニットに載せるべき資材を検討していた。漂流が長期に渡ることも覚悟しているため、食糧やある程度自給自足できるための仕組みが必要である。藩国船ほどの規模があれば、完全自給自足もできようが…

「水耕栽培システム、飲料水浄化システム、色々必要ねう」{{br}}
「燃料が食べられるもので良かったですね」

 いざとなれば、代用燃料を食べてしのぐことができるだろう。

「なるべく早く陸地に辿りついて、農耕できるといいんだけどねぇ」

 開拓支援用の機器も積んでおかねばなるまい。辿りついた先でにゃんばいんは使えるかどうかわからないので、基本的な農機具と、それらが自分たちで作れるように資料も積んでおく。

「後は、小型ロイ像を船内に配置して…神様も連れてくのねう」

 もはや、世界忍者国といえばロイ像とまで親しまれるようになったこれは必須であろう。ただ、それが生活を圧迫しては本末転倒である。あくまでも、この国でそうであったように非常口や避難器具へ誘導として設置されるべきである。さらに、国でささやかに祭っていた(参考:[[公示文/20101120−01]])清貧の神とその友人の神たちの小さな神棚を、食堂に配置する。

「苦しいときの心の支えになりますように」

 おそらく自分は彼らの行く末に着いて行くことができないだろうから、国民を――私の子どもたちを守ってください。

 由羅は胸のうちだけでそう祈った。

(作:[[国民/結城由羅]])

!!SS:チャイナボット
 武装ユニットについては、大神ら専門家に任せている由羅であったが、たまに試作品が検討してほしいと回ってくることがある。

 今、目の前に置かれているのは、そうした試作品のひとつだった。

「……人形にしか見えないわけだが」{{br}}
「人形ですね」

 開発局局長、別名工場長の可銀が、眼鏡をくいっと上げながら答える。いやだから、という由羅の目の前に、その人形の企画書が差し出された。

""偵察機兼小型爆弾:チャイナ
""
""人型でしか動かない終末の空間で対応するために生まれた悲しい存在。
""その役目は偵察及び通信。そして、内蔵された爆弾で敵への攻撃を
""仕掛けたり、自らロイボットの背後で自爆することで推進力にもなる
""・・・・・。

「なるほど」

と、由羅は頷いた。デザインがどう見てもチャイナ服の神崎にしか見えないのは、幹部の趣味だろう。なお、要塞艦の「最終脱出形態ロイ像バージョン」は、開発局では愛称「ロイボット」と呼ばれていた。

 由羅は掌に乗るには少々大き目かなと思われる、ぬいぐるみのようなそれを手に取ってしげしげと見た。

「試作機ですので、自爆装置は外してあります。{{br}}
 自爆装置搭載時には、現在より800gほど重量が重くなります」

 それは、NWに広く普及しているレベルのお手伝いロボット技術を応用して一部自律機能も持たせながらも、主要なコントロールは、要塞艦のメインコンピュータまたは瞑想通信オペレータがおこなうという、端末的なミニロボットであった。その機能はBALLSと似ているが、【世界の終わり】に動かなくなることを忌避して、わざと人型にしてあるという。

「え、こんなにかわいいのに、爆発しちゃうんですか?」

 試作機があるというのでわざわざ見に来たエドが、自爆装置の下りを聞いて、悲しそうな瞳でうるうると由羅を見た。

「え、えーっと…」

 人型をした自動機械に自爆機能を持たせるというのは珍しくはない。絢爛時代の「人形」と呼ばれた機体は、まさにそのためのものだ。

「かわいそうです…」

 同じく見に来た、藩国の良心と名高い優羽カヲリもしゅんとしてうなだれている。

「あーうーうん」

 しまった、なまじかわいらしい形状にしたのがアダになったか…由羅はひとしきりぐるぐるしたあと苦笑した。

「わかった。自爆機能はなし。{{br}}
 かわりに、補修部品の収容部を拡張して、艦船のメンテ機能を充実させよう」

 頭を掻きながら新しい指示を出す。

「はい、わかりました」

 可銀はくすりと笑むと、仕様書の記述に二本線を引き消し、新しい記述を付け加えた。

""偵察機兼補修装置:チャイナ
""
""人型でしか動かない終末の空間で対応するために生まれた。
""その役目は偵察及び通信。そして、内蔵された補修機能を使って
""艦船のどのような破損にも対応する。それは生き残りたいという
""乗員の願いを叶えるための存在。 

(作:[[国民/桂林怜夜]]、[[国民/結城由羅]])

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