観光地携帯用/設定文SS1最終話
ともあれ、観光地すべてのロイ像はめぐった。どこでどう願うのかわからないけど、願いを聞くのが神様なら、神殿がいいかもしれない。観光地にある一番大きな神殿−−教会みたいな建物だったが−−へ行くと、玄関先で掃き掃除をしていた神官が軽く会釈をした。会釈を返し中へ入ると、ミサ用のベンチが並んでおり、ちらほらと礼拝客がいた。
前の方へ行き、膝をついて祈る。
(ソーニャさんの元へエミリオが早く帰ってきますように)
強く強く、集めたスタンプラリーのカードを握り締めて祈る。神が聞き届けたかどうかはわからなかったが、今できることはこれくらいしかないから、とただひたすら祈った。
外が暗くなる頃、神官がやってきて肩をそっと叩いた。大丈夫ですか?と優しい笑顔でお茶を差し出す。それをありがたく戴くとちょっと涙がこぼれた。きっと願い事は叶いますよ、と神官は微笑んだ。はい、とエドは頷くしかなかった。
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「心配をかけてごめんなさいねう」
エドが王宮に帰ってみると、ソーニャが照れ笑いをして待っていた。エドがソーニャのためにスタンプ集めをしていたという噂がどこからともなく伝わり、心を打たれたソーニャががんばって出てきたのであった。
「ソーニャさん!」
感極まって抱きつくエドと、それをうんうんと抱きしめるソーニャ。それを見る周囲は皆感動の涙を流していた。
「いつまでも落ち込んでいても仕方ないのねう。頑張ってエミリオを連れ戻しに行くのねう」
「はい!」
神がいるかどうかはわからないが、人の努力を他の人は見ているものだ。ただの人の努力こそが結局一番大事なのかもしれなかった…。
Fin.
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