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国内イベント/22

国内イベント/22

「バレンタイン大作戦」

物語の背景

 T13終わりのマンイーターの脅威。そして、続く食糧恐慌の中、せめて明るい話題を提供したいと、久堂尋軌摂政は願った。そして、彼はバレンタインチョコレートを藩国民全員へ配ることを企画・藩王に提案したのだった。

藩王さま出番です!

「藩王様の出番です」

 王宮ロビーにてお茶(煎茶)を啜っていた結城由羅を見つけた摂政久堂尋軌が開口一番そう言った。

「はい?」

 それに目を白黒させる由羅。

「もうすぐバレンタインです」
「うむ、そうだな」

 第7世界方面は、とりあえず4個ほどベックへ発送しておいた。宛名に「黒にして真珠のロイバウマン」と書くのはちょっと恥ずかしかったぞ。

「藩王から国民へチョコを配ってはいかかでしょうか」

 目をきらきらさせつつ、ボウルを差し出す久堂。中には砕かれたチョコの板が入っている。

「そ、それはいいが、そのボウルはいったい…」
「やはり、手作りがいいと思うんですよ!」

 がしっと握り拳。

「えー」

 自慢ではないがこの女料理は気が向いたときにしかしない。それももっぱら鍋専門である。

「国民全員分は無理じゃ…」
「でもんすとれーしょんですよ。でもんすとれーしょん。藩王てづからチョコを作って配る。絵になると思いませんか! 全体にも配りますが、イベントとしてですね」
「あー」

 由羅はしばらく考えた。

「警察署は…いい、かも」

 心なしか頬が赤い。

「SO・RE・DA! あと、交番に保育園とか神殿とか寮にも配りましょうね。そうと決まればれっつらごーです! ふっふっふー」

「おねーちゃーん、ちょこー がふっ」
「誰が貴様にやるかああ」

 どこからか突然飛び掛ってきた駄犬――に蹴りが炸裂する。

「じゃー材料を用意しときますねー」
「むーうまくできるかなぁ。まあ、他のACEの分とか、ああ、みんなで作ってもいいかもなー」
「そうですね」

「ちょこちょーだいよー ねー」
「…余ったらな」

 食糧危機を尻目に、あるいは、だからこそのどかな計画を立てる世界忍者国であった。
(文章:国民/結城由羅

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イラスト:国民/可銀

国民・女子部

「チョコ作りなんて久しぶりですー」

 わいわいがやがや、エプロン姿の女性陣が耐熱ガラスのボウルと大量のヤカンに囲まれて王宮の厨房に勢ぞろいしていた。

「この黒い塊がチョコなんですか?・・・・・苦いっ!」

一欠けらを口にしたソーニャが思いっきり顔をしかめる。

「カカオ100%だからそのまま食べちゃダメですよー」
「チョコレートって甘いものだと思ってた・・・・」

げろげろー、という表情を隠しもしないソーニャ。

「市販のものを溶かすより、自分でお砂糖やお塩を入れた方が美味しいんですよ」
「お塩?」
「お汁粉にお砂糖を入れるようなもので、味にアクセントがつくんです」
「お汁粉って?」

 ネーバルウィッチだから、やや食文化に疎いソーニャと、その横でお汁粉の説明を始めるエド・戒。姉妹のような二人を見守りながら手伝い優羽カヲリ。
 美少女3人の並ぶ姿はそれだけでほのぼのする光景だった。・・・・・・・国民へのPRの為か、濃紺摂政と部下がハンディカメラで撮影をしている。
 本来こうしたことを担当する久堂尋軌摂政は、エプロン姿で講師・解説・リポーターを全てこなしていた。ソーニャインタビューは出来上がってから行うらしい。

 が、賑やかな国民を見るたびに藩王結城由羅の心は沈んでいった。
 なんとか形になるチョコは作れるようになったのだが、鍋と違ってチョコはずっと監視が必要なのだ。
 面倒臭い。イライラする。大体、湯煎って何だ。油ものなのにお湯が無いと作れないなんて。それにチョコにお湯が混じるともうダメになる・・・・・・・
いや、そういうわけでもなくて・・・・・・。

 不安だった。
 自分で言うのも何だが、美人の上にかなりモテる。
 だからこそ、こういう乙女っぽいイベントは慣れていない。甘いものは苦手だし、辛いものがいい。
 辛党の為に、バレンタインには酒と手作り塩辛を送る文化があってもいいんじゃね?

 と、@@し始めた辺りで悲鳴が聞こえた。
 お菓子作りが楽しいからか、国民用のチョコ作りの手伝いをしてきた桂林怜夜・・・・をずるずると引っ張ってきた駄犬こと大神元人狼領主。駄賃は板チョコ半分である。一国の王と思えない安い賃金である。

「なんなんですかー。今、エミリオ用のチョコにソーニャさんが似顔絵を描こうと決めたところだったのに」

 抱えた大きな耐熱ガラスのボウルをそれでもかき混ぜつつ(手を止めると味が落ちる)、叫ぶ。

「これからカヲリさんが骨型ホワイトチョコにするか、ハート型の二人のイラスト付きにするかを悩むところなのにー」
「2択ですか?!堯

 遠くから優羽カヲリのツッコミが入る。両横ではソーニャとエド・戒他がによによと微笑んでいる。逃げ場は多分、無い。

「まあまあ。ところで君、それは本命チョコ?」
「これは国民用ですよ?」
「ロイには?」

 にぃーっと笑う藩王に戦慄を感じて、後ろに下がる桂林怜夜。この笑顔の時はろくなことが無い。よくロイ像が増えている。

「私、夫にはずっと前に予約しておいたもうショコラティエの特製チョコを渡しましたー」

悲鳴に近い声。

「メッセージは(にやにや)」
「付けてませんけど?」
「どして」
「伝えたいことも無いですし・・・・・・差出人も分かってますし」
「口に出しては言えないほど恥ずかしい想いが一杯詰まっています、と」
「意訳しないで下さい!!」

 がるるる、と牙を剥く桂林怜夜。うん、可愛い。自分よりヘタレが精一杯威嚇するのは無力で愛らしい。

「というわけで君、退屈だから付き合え」
「向こうで皆と一緒に作ればいいじゃないですかっ!」
「・・・・・・」

 おとめな空間に馴染み難いとは言い難い。

「だって、君、側においておかないと逃げるし」

 う、と息を詰まらせる。よし、もう一押し。

「手作りチョコを貰った相手と、お店で買ったチョコを貰った相手。どっちが本命っぽくて、どっちが嬉しいかな〜?」
「買ったけど、シ、ショコラティエの手作りです!!」
「おっさんが作ったものと彼女が作った物とじゃ違うだろう!!」
「じ、じゃあ、来年からは美人のショコラティエが作ったものを買います!!」
「いや、今年自分で作ってやれよ・・・・」
「手作りチョコって本命チョコっぽくて嫌です・・・・・」

 ぽつり、と漏らした本音が妙に自分と重なっていて…結城由羅は更に追い討ちをかけるのだった。

/*/

「できたー」
「皆様、これが今年のバレンタインチョコです」

 尋軌摂政から取り上げたマイクを片手にマジカル☆スターチスことソーニャインタビューが始まった。
 大きなチョコケーキにエミリオとソーニャのデフォルメされた人形が乗っている。初めてで湯煎が難しかったため、ココア入りチョコケーキに変更されている。
一口アニマルチョコや整備士用の工具チョコ。
 ほねっこチョコと白チョコペンで狼の描かれたハートチョコ。裏側には女性の絵が描かれている・・・・・・二人同時に描くのは恥ずかしかった優羽カヲリの精一杯の抵抗である。

「おねーちゃん、チョコー」

一欠けらずつ貰うたびに、お手をする元藩王・・・・・威厳は無い。

「さて、これが藩王陛下の・・・・・・」

 そこには、燦然と輝くロイ像があった。警官仕様であるが。

「うぅー。権力と器用20の無駄遣いですー」

 半泣きで彫刻刀を握る桂林怜夜。何か脅されたらしい。
(PLACEだったんだ)
 一堂の無言の突っ込み。

「評価値20のチョコ、か」
「いえ。チョコ作りは戦いです!!」

 世界忍者、白兵戦+3。

「ちゃんと湯煎は自分でやったしー。指示もしたし手伝ったネウ♪」
「でも、これはいいですね。警察署に飾っておいても映えますし、有事の際には食べられます」

 こうして、チョコ像くろじゃーは末永く警察署に飾られたという。

 後日、こそっとハート型にラッピングされたチョコが警察署に届けられたのは、署長だけが知る真実である。
(文章:国民/桂林怜夜

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イラスト:国民/可銀

国民・男子部

 一方その頃開発局の置かれている旧中央整備工場、現中央研究所の工場では…

「これ・・・極秘任務なんですよ・・・」
「嘘だと言ってよ!摂政」
「元だからどうにも・・・う、胸やけしてきた」
「松永さん可銀さん早く!死んじゃうから!」
「大神の世話のかわりとはいえ、流石に怠いな」

 そこには女性陣の華やかさとは真逆の男性陣がいた。

 空気こそ甘くとても美味しそうな匂いがしているが、なんかむさくてしょっぱい気がするのは仕方ないだろう。
 野郎が揃ってチョコを作っていた、しかも世に言う男性第7世界人全員‐1が、だ。
 加えてに就労援助の名の元に集められた人々が隣の格納庫で作業している。

 それは遡る事、尋軌摂政が女王に提案が通った5分後

「神崎君、倉庫からチョコの材料1万tと宣伝道具とって来てくれるかな」
「真面目なノリなのに半笑いでぶっ飛んだ命令なのは何故ですか?」

 ここで神崎はミスを犯した忍者は余計な事は聞かない方がいいときがあるのだ

「という訳でー」
「1万tって、普通手作り出来る量じゃないですよね、機械でもあるんですか?」

「「………」」

「あ、俺物資をとりにい、ひぃいい」

/*/

 そして、計画は実行された。

1、昔世界忍者用の機体を作るのに使おうとして作ったモーションキャプチャーの親戚と手元にある使ってないI=Dを使ってチョコを湯煎する装置を作る。
2、湯煎したチョコを就労援助の名目で人を集めて成形する。

 なんでこんな面倒な手順かというと設備を整えようとしたところ、資源高だから資源の流れでばれるから、だそうだ。
 ばらまくまで秘密に、でしょ?らしいがここにいる全員にはばれている。

「よし!これで完璧に動作する!」

 松永は叫んでいた、60回目である。

「松永さん・・・やりましたやりましたよ!」

「その台詞ももう60回目って、え!?」
「成功・・・?」

「焦がさず、がとても面倒だった大型ボウルでの湯煎に成功しました!」

「とか、10時間前に叫んでましたっけね」
「そんな時もあったな・・・」
「所詮、湯煎と味調節だけの自動化だからな」
「というかですよ、自分だけ広報な尋軌摂政は酷いと思うんだ」
「チョコ作りは戦いです!とはよくいったものだ」

 これはバレンタインのチョコで食料問題との戦いである?
(文章:国民/神崎 零

そして、広報

「藩王さまっこっち見て、ウインクとかしてくださいっ」
「なんでさ?!」
「宣伝に使うのであります(><)(カメラ構えつつ)」
「…いや、もう皆知ってるから」

カシャッ

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イラスト&文章:国民/優羽カヲリ

可銀さん出番です!

「うおお、なんか焦げてるぞおお」
「ちょ、それちがっ!」

 作業中の男子組から悲鳴が上がる。

「あーそのレバーじゃないですよ」

 にこにこと機器を調整して周るのは可銀中央研究所所長であった。ADフィクサーアイドレスはさすがに器用はそこそこある。整備の神様でもいればまた違ったのだろうが、今ターンは残念なことにPCで着ているものはいなかった。

 おかげで器用−2が炸裂してあちこちで阿鼻叫喚の叫びがあがる。そのたびに、可銀がはいはいと修正しに行くのであった。

 そんな、彼の姿をじいっと見つめている小さな影があった。いつもは可銀の頭に載っている、夜空という名の蜘蛛である。

「機械の中に落ちると危ないですからね。ここでちょっと待っててくださいね」

 そう言われて机の上に載せられて、数時間。じいっとその銀色の目を可銀に向けていたが、ふっとその目を違うものに向けた。

「ひい、ようやくまともな形のものができたあ」

 ころんころん、とハート型のチョコレートが装置から容器の中に吐き出される。

「おおお、できましたね。じゃあ、これをあちらへ持って行って梱包してもらいましょ…」

 鐘音財務大臣が額の汗をぬぐいながら言う、のが途中で固まった。

「ふんぎゃあ」

 そして、尻餅をついて転げた。

「どうしました!?」
「く、くも!」

 そう、容器の上にいつの間にか夜空がよじ登っていた。

「なんだ夜空さんじゃないですか」

 ひょいと可銀が覗き込んで微笑んだ。

「よ、夜空さん、さすがにいきなり見るとびっくりしますよ」
「すみません。夜空さん、そこは危ないですよ?」

 小首を傾げて抱き上げようとする、のをするりとよけて夜空さんは容器に入り込んだ。

「うは、蜘蛛入りチョコ」
「いやいやいや」
「夜空さん駄目ですよー」

 ひょいと抱き上げると、夜空は脚でしっかりとチョコを一つ掴んでいた。

「あれ?夜空さん、チョコとか食べるんですか?」

 可銀は小首を傾げた。夜空さんは機械生命体で、金属が主食のはず…。

「欲しいなら、後であげますから、ちょっとここで待っててくださいね」

 机の上に置かれると、夜空はきちきちと音を鳴らしてみせた。それはいつも可銀を呼ぶときの音だった。

「どうかしましたか?」

 夜空はじいっと可銀を見つめると、器用に前の2本の脚だけでチョコを掴んで、後ろ足2本だけで立ってみせた。ぐぐっとチョコを頭上に掲げる。

「あ、もしかして僕にバレンタインプレゼントですか?」

 可銀が問いかけると、夜空はちっちと応えるような音を立てた。

「ありがとう、嬉しいです」

 可銀はにっこり笑ってチョコレートを受け取ると、一口かじってみせた。

「うん、おいしい。夜空さんの愛を感じます」

「すげぇ」
「なんかすごいですね」
「いい絵なんだろうけど、蜘蛛は苦手なんだよおお」
「愛は種族を越える」

 可銀は周りの雑音に振り返ってにっこり微笑んだ。

「ほらほらみなさん、手が止まってますよ。働かないと終わりませんよー」

 ぱんぱんと手を叩くと野郎どもは配置に戻っていった。このままでは素で終わりそうもない。

「残りは後でゆっくり大事にいただきますね」

 可銀がウインクすると、ちちちちちと夜空は嬉しそうに鳴くのであった。
(文章:国民/結城由羅

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イラスト:国民/優羽カヲリ

その頃摂政は...

「くしゅん!…だれか噂でもしているのかしら…」

 執務室で一度クシャミをすれば、摂政久堂は今回の消費についての報告書を書いていた。

「食糧は無駄なく消化…。配布に伴うバイトに対する手当ても、各分野の端数余りを足してなんとか…」

 そう考えながらも、さっきまで芸能方面への打診を思い出して頭を悩ませていた。

「しかし、高木さんも無茶いうなぁ…VDでアイドル候補生を雇うならば、ひな祭りでライブするのを承認してくれだなんて…とりあえず、これで配布用の人員はOK…まぁ、後はあとで考えるしかないか…。」

#高木とは劇団SHINOBIの劇団長であり、芸能方面にも顔が効く重要人物(NPC)。

 第七世界方面には藩王と同じように4つほど送っておいた。男なので初めての経験ではるのだが、さすがに共和国の摂政が送り先の3つが帝國上層部なのが色々と問題ある気がしなくもない。
 とりあえず報告書を書き終わると、椅子にもたれるようにして天井を眺めているとドアをノックする音が聞こえて。

「これから…うちはやっていけるかなぁ…ん、はい。どうぞ…」

 ガチャという音と共に、最近かいだ匂いが執務室へと漂ってきている。
 振り返ってみると、そこにはホットチョコレートを持った猫士のGがいた。

「あぁ、G…。もしかして私のために持ってきてくれたのかい?ありがとう」

 そう言いながら微笑んで見せると、黒猫の顔がなんとも言えない顔をみせて久堂の机の上にホットチョコレートを置いた。

 ちなみに…裏の作業に没頭していたせいか、この摂政がもらったチョコレートはこの一つだけだった。この事実に気づいた瞬間、思い切り凹んだとか凹まなかったとか…

(文章:国民/久堂尋軌


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Last modified:2009/02/14 11:56:41
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References:[イベント] [公示文/20090214−01]