イベント/59/整備/マルチフィクサー/なし
イベント/59/整備/マルチフィクサー/なし
イラスト
製作者:カヲリ@世界忍者国 |
製作者:弓尾透@世界忍者国 |
SS・RP
機械を診ること。人を診ること。それはどちらも同じ事。 それは命を診ること。それが彼等、マルチフィクサーにとっての信念であった。
戦場の一角に設けられた臨時の整備場。 戦闘で疲弊した機体や搭乗員たちにとっての束の間の安息の場。 そして其処は同時に、マルチフィクサーたちの戦場だった。
「宜しく頼みます」 機体から降りてきたパイロットは、待ち構えていた マルチフィクサーに片手を挙げて挨拶した。 マルチフィクサーはいくつかの器具を片手に持ちながら、つかつかと歩み寄り、 『では、失礼しますよ』 徐に瞳を覗き込み、そして顔色を調べ、身体を触り・・・・・・身体検査をしだす。 『何処か頭部に違和感は?』 「いえ、ないです」 『こうすると痛みは?』 「いえ。」
身体にどこか異常はないか。疲労はどの程度か。筋肉の張り具合は? この場で認識、測定できるだけの正確な身体情報を問診で得られる情報と共に記録していく。 『オールグリーン。では、調整をしますね。最終チェックまで、休息を。 パイロット、コパイの両名はあちらで補給を受けてください』 そういうとマルチフィクサーはすぐに機体と向き合う。 既に大まかな補修は他の作業員によって行われている。 ハンガー侵入時の行動や駆動音から負担が出ているのではないかと疑われる部位を、 先ほど調べた搭乗者への負担のかかり方や問診などからも考慮して、 念入りにチェック、特定していく。機体に寄り添い、 調べる部位からの反応を確かめる姿は、自らの語りかけに対する 機体の声を聞こうと耳を済ませているかのようで。 彼らは、事実それを機体との「対話」と呼んでいる。 「治療」は「対話」ありきなのだと。そしてこうも言う。 「治療」は「手当て」ありきだと。患者に「触れる」こと。 それが大切なのだと。 (やはり、此処か。今、治してやるからな。) 機体の頭部を見上げ、心の中でささやく。 一瞬、機体の頭部がうなずくように動いて見えたのは気のせいだろうか。 数瞬の間目を閉じ、そしてかっと見開く。次の瞬間彼らの「神に至る手」が煌いた。
製作者:緋乃江戌人@世界忍者国 |
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