イベント/59/中距離攻撃/混成部隊(紳士鼠)/なし
イベント/59/中距離攻撃/混成部隊(紳士鼠)/なし
イラスト
なし |
SS・RP
戦闘用意の間と言うのは暇なものです。 周りで色々作業をしてらっしゃる方々も居られますがとりあえず私は暇なのです。 私は空を見上げました。空は物語を教えてくれる素晴らしい装置であるからです。 森も石もそうではありますが、私は特に空が好きでした。
暫く空の物語を堪能していると私の眼にある物が飛び込んできました。
「おぉ、あれをご覧下さい」 「はい?」 「見事な鳥です」 「…ここは戦場ですよ、何を暢気な事言ってるんですか」 「みなさんが深刻すぎるんです。あんなに美しい鳥など滅多に見られませんよ」 「それが戦場です。武器の点検でもしておいてください」 「ぬぅ」
仕方が無いので私は空を見上げるのを止めて手元にある銃の点検を始めました。 しかしこんなことをしていても「この銃は美しさが足りない。もっと洗練すべき」と誰に 言う事かも分からない事が頭に浮かんでくるばかりです。
嗚呼、進化の何と偉大な事でしょう。 淘汰によって洗練された姿形の、機能を備えた美しさは人の生み出した殆どのモノを圧倒 するのです。 この銃も人の手、運命の手によって淘汰されて後々にはあの鳥のようになるのでしょう か。
「手が止まっていますよ」 「銃が鳥の様に美しくなることは可能でしょうか」 「…戦闘の前で可笑しくなりました?」 「私は正気ですが」 「酒飲みは自分が酔っていないと思い込むものです。…まぁ変な事を言うのはいつもの事 ですか」 「ふむ、気をつけます」
私は銃の点検をする形だけを作りながら再び思考の海へと潜りました。
鳥や銃が進化によって美しさも得るのであれば人の場合はどうなるのでしょうか。 人は淘汰されて美しくなるのでしょうか、いかに自然が強大であっても人を淘汰するとは 私には思えません。 だとすれば人が人を淘汰するという形で美しい人を生み出すのでしょうか。勿論それもま た自然だと見る事も可能ですが。
美しい人といえば根源種族が居ます。魂を震わせる外見の持主。 あれは淘汰された人なのでしょうか。では淘汰された人が何故我々の前に居るのでしょう か。 淘汰された人が現れるのはきっと未来の事です。
「そういえば、何故根源種族は根源種族と呼ばれているのでしょうか?」 「知りません。宰相辺りが適当に名付けたんじゃないですか」 「ふぅむ」
いっそ根源種族は過去の人。我々が生まれるよりも過去の人というのは少々飛んだ考えで しょうか。 彼等は過去の人が生み出した最終的な人だということです。 今はあくまで妄想ですが、この戦闘が終ったら資料を漁る事としましょう。
そこで、まるで私の思考が纏めに入ったのを待っていたかのように、「攻撃開始の用意を するように」との指示が入ってきました 私は直に銃を敵がやってくるであろう方向に構えてただそちらの方向のみを見るようにし ました。
「やっと来ましたね」 「敵が来ても撃たないとかはやめてくださいよ、銃の点検なんかとは違って命に関わるん ですから」 「勿論分かっています」
私は笑って返しました。 そう、私はここで倒れる訳には行かないのです、帰ってまず資料を漁って先ほどの思考に 根拠を付ける必要があります。
そして何よりも、もう一度スイトピー様に会わなくてはならないのです。
製作者:雨中正人@ジェントルにゃんにゃん藩国 |
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