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ガイド/アイドレス対数講座

アイドレス対数講座

講師:結城由羅

アイドレスの計算が良くわからない、

  • 対数ってそもそも何?
  • 何故アイドレスで対数を使うの?

誰か教えてプリーズ、と泣いてる人がいたので、ちと頑張って書いてみました。 間違ってたらごめんなさい。 間違いのご指摘や要望、感想などは、【歓迎】足跡帳で受け付けますのでどうぞ。

0.この文書の想定読者と範囲

この文書は、一応、「3のx乗」や「対数」という用語を習ったけど忘れてる高校生以上の人を対象としています。なので、ちょっと難しめかもしれません。

また、対数という数学用語を説明することと、アイドレスでなぜ対数をその評価として使うのか、どうしてそうなってるのかという説明を主な目的とします。なので、ルール説明についてはあまり詳しくないです。ごめんなさい。

ややこしい話はいらないから、具体的な計算がしたい、という方はダームさん作「リアルデータについて」をご覧ください。また、芝村さんより、「アイドレス戦闘計算フォーム.xls」も提供されていますので、ご利用ください(ダウンロードはこちらのページ→儀式魔術@Wikiの「アイドレスでの計算について」からどうぞ)。

1.対数ってそもそも何?

対数(関数)は指数関数の逆関数です。と言われると目がさらに?になると思います。でも、指数関数がわからないと、対数もわからないのでちょっと待ってください。まず、指数関数の説明からしていきましょう。

1.1.指数関数って何?

指数関数というのは、大雑把にいうと倍々になってく関数のことです。2倍でも3倍でもいいんですが、前の数字を3倍した結果を、さらに3倍して、さらに3倍して、…という風に増えていきます。これを、3の累乗、あるいは回数をxとすると3のx乗という言い方もします。

ちなみに1からはじめます。0を3倍しても0ですからね(笑)。3を0回かけると1になるわけです。

ここでは、かける数をN、かける回数をnとしたとき、N^nのように表記することにします。学校では、Nの右肩にnと小さく書く書き方を習ったと思います。このページでは表記しにくいので、N^nを使います。また、かける回数を指数と呼び、これが変化する関数なので指数関数と呼ばれます。

3^0 = 1
3^1 = 1*3 = 3
3^2 = 1*3*3 = 9
3^3 = 1*3*3*3 = 27


3^14 = 1*3*3*3*3*3*3*3*3*3*3*3*3*3*3 = 4782969

ちなみに、エクセルで計算する場合は、

=POWER(3, 14)

のように書きます。

指数関数は最初こそ緩やかですが、どんどん増加して最後はものすごい勢いで増加していきます。y=3^xをグラフで書くとこんな感じになります。

graph01.jpg
BearGraphで作成

ねずみが12匹ねずみを産んで、その12匹のねずみがまたねずみを産んで…というねずみ算も指数関数です。ねずみ算式に会員数を増やしていくねずみ講がうそなのは、あっというまに増加して、地球上の人口も超えてしまうからです(最大でもそこが限界なわけです)。会員を無限に増やすことはできずに、一定数で頭打ちになり、そのときの人が一番損をする仕組みになってます。だまされないでくださいね。

1.2.だから対数ってなんなの?

逆にどんな大きな数でも、ある数とその指数になおしてしまうと表記が楽になります。日常的に無意識に使ってるのが、アラビア数字です。例えば10800という数字を何気なく使ってますが、これは、

1*10^4 + 0*10^3 + 8*10^2 + 0*10^1 + 0*10^0

の意味ですよね?これをギリシア数字で書こうとすると結構大変です。指数関数の指数ごとに数字を並べることで数値を書けるようになったのは画期的なことでした。

このように、とても大きな数字も、指数関数の指数を使えばコンパクトにできる、ということがわかると、それを利用したくなります。つまり例えば、 3の指数関数で、結果が10000になるような指数って何?と知りたくなるわけです。このように、結果から元の入力値を求めるような関数を逆関数と言います。

対数関数は、指数関数の逆関数になります。ある数について、倍数Nを指定した上で出るその指数を、Nを底(てい)とする対数と呼びます。これは、倍数Nの指数関数の上で、yを指定したときのxの値になります。だからその関数はちょうどx=yに対して反転したような形になります。グラフにするとこんな感じになります。

graph02.jpg
BearGraphで作成

ここでは、Nを底とするある数字Mの対数を、logN(M)のように書くことにします。学校ではかっこを使わずに、Nを小文字にして書いたと思いますが、ここでは表記できないので、このように表記します。

例えば、3を底とする10000の対数は、log3(10000)のように書きます。そしてその数値は 8.383613097...になります。

エクセルだと、

=LOG(10000,3)

のようにすると求められます。

1.3.ちょっと待って対数の値がマイナスって何?

アイドレスには、評価がマイナスになってるものがあります。評価は対数のことなので、対数がマイナスということです。でも、マイナスってどういう意味でしょう?ここで、「逆数」というものがでてきます。

ここで、掛け算と割り算の関係を少し思い出してみましょう。6人の人に3つづつりんごを渡したとき、りんごは全部で、6×3=18個になります。逆に、18個のりんごを6人にわけると、18÷6=3個になります。このように、割り算と掛け算の間には相互に交換関係があります。

割り算を、分数の形で書くこともできます。3で割るということは、1/3にすることでもあります。つまり、

18÷3=18*(1/3)

と書くことができます。ここで、ある数字を持ってきてそれをひっくり返して分数にしてみます。たとえば、3をひっくり返して1/3にします。このことを逆になっているので、逆数と言うわけです。元の数と逆数の間には、

3*1/3 = 1

のように掛け合わせると1に戻るという性質があります。ここで指数を思い出してみましょう。指数というのは同じ数を掛けていく回数のことでした。3を3回かけることを

1*3*3*3 = 3^3

のように書きます。ではここで、

3^-3

はどういう数字になるべきでしょう。これを掛け合わせたとき、

3^3 * 3^-3 = 3^(3 - 3) = 3^0 = 1

のようになる数字が欲しいとします。もう、わかりましたですね。マイナスの指数は逆数つまり割り算の数のことなのです。

"3^-3 = 1 * (1/3) * (1/3) * (1/3)

になります。つまり、

3^3 * 3^-3 = 1 * 3 * 3 * 3 * 1 * (1/3) * (1/3) * (1/3) = 1

になるわけです。このように逆数をマイナスで表すことで、計算が簡単にできるようになります。そしてこのマイナスの指数が、アイドレスでのマイナスの評価になるわけです。例えば、アイドレスの感覚評価が−1だったとすると、1.5がベースですから、その逆数1/1.5、だいたい0.67くらいがそのリアルデータになります。

2.なぜアイドレスで対数を使うの?

数の増加に自然に対応するためです。そのままの数値を扱っていると、人間の把握能力を簡単にオーバーします。対数に変換することによって、爆発的に増大した場合でも、桁数を増やさずに簡単に扱えるようになります。

例えば、敏捷評価3というのは、1.5^3のことですが、この値は近似で3.4、一般人の評価を1.5^0つまり1とすると、大体3倍くらい敏捷だということになります。つまり3倍速いわけですよ!!!

この3.4倍速い人を8人連れてきて何かをさせることにしたら、3.4*8=27.2となったとします。これを1.5を底として対数を求めると、8.1くらいになります。評価8です。

これくらいだとあんまり嬉しくないんですが、例えば敏捷2の2035人と敏捷3の1000人だとどっちが強いんでしょうね?という場合に威力を発揮します。さっき、べたで計算しましたが、対数というのは掛け算だと分離できまして、

log1.5(1.5^2*2035)=log1.5(1.5^2)+log1.5(2035)=2+18.8=20.8
log1.5(1.5^3*1000)=log1.5(1.5^3)+log1.5(1000)=3+17.0=20.0

となり、評価21と20になってその差は1になります。つまり、大体1.5倍くらいの戦力差なわけです。これは、

log1.5(1.5^2*2035)-log1.5(1.5^3*1000)
=log1.5(1.5^2*2035/(1.5^3*1000))
=log1.5(2035/(1000*1.5)
=log1.5(2035/1500)
~log1.5(1.36)
~0.76
~1

のように計算してみるとわかりやすいかもしれません。より厳密(?)にいうと、大体1.36倍くらいの戦力比になってるわけですね。

ちなみに、アイドレスのルールではこの差(1.5倍くらいの戦力比では)によって、60%で敏捷2の2035が勝つことになります。もともとアイドレスはこのように、どんどん規模がでかくなっていっても、その比で全て処理できるようにした、大規模ゲーム向けシステムなのです。

また、大きくなるとその分差が広がって誤差が吸収されていくので、計算ミスなどによるずれが波及しにくいという効果もあります。運用的も便利なわけですね。

おまけ:シフト計算って何?

シフト計算っていうのは、何でも赤くして乗ると3倍速くなってしまう某お兄さんみたいな人のことです。アイドレスでは通常は技や特殊能力、I=Dが元の能力を増幅します。3倍速くなる場合は、元の評価値をNとすれば、

log1.5(1.5^N*3)=log1.5(1.5^N)+log1.5(3)=N+2.7

となり、大体つねに3程度足しておけばいいわけです。赤い人は、敏捷を+3シフトする能力を持ってるわけですね!!!


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Last modified:2007/01/27 23:02:35
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