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アイドレス/忍者専用機の開発

忍者専用機の開発(イベント)

676.jpgイラスト:くぅ

データ(アイドレス3形式)

20140815開示

忍者専用機:30:#隠蔽
要点
・隠蔽マント:30:#敏捷
・ブレード:30:#白兵
・跳躍力:30:#敏捷
・大型手裏剣:30:#近距離
エクストラ
・低コスト:30:#低コスト

次のアイドレス
・空蝉の術:30:#敏捷
・ガマ召喚:25:#隠蔽
・忍者パイロット:25:#装甲
・忍者プリンセス:25:#隠蔽


・S*22
名前:低コスト
要求タグ:#低コスト
E*戦力:不定(状況による)
必要勝利数:5
フレーバー:全軍抜刀、突撃せよ!
特別ルール:
・低コストを持つものは任意のブランチとして起こせる。ただし、ブランチが許可されていなければならない。
・他のキャラクターと戦力を合算することは出来ない。
・ダイス出目は固定で、6、5、4、3、2、1、1、1、1、1である。
・このブランチに成功すると#低コストを保有する機体の整備と補給ができたことにする。この条項は他に優先する。
大勝利時の効果:3勝利を得る。
勝利時の効果:1勝利を得る。
引き分け時の効果:なし
敗北時の効果:なし
惨敗時の効果:なし

IDWIKI:忍者専用機の開発 IDWIKI:忍者専用機

アイドレス2形式要点開示

L:忍者専用機の開発 = {
 t:名称 = 忍者専用機の開発(イベント)
 t:要点 = 一般性能要求:{
 忍者専用機は人狼領地の技術を受け継いで開発された忍者用のI=Dである。食料で動くことに特徴があり、排気ガスもでないので隠密性に優れていた。
 貧乏な国情を反映して燃料を使わないように火器を持たず、大型手裏剣を運用して闘った。
 性能的に見るべき処はなかったが、低コストと使いやすさが受けて、コンセプト通り世界忍者国では主力機にまでのぼりつめた。
 }
 t:周辺環境 = 城

イラスト

598.jpgイラスト:大流 稜(彩色:優羽カヲリ

<<SS>>  (作:久堂尋軌)

〜開発前夜〜

忍者機の開発…、それは世界忍者国において二度目の挑戦となる。一度目は、AD枠において出現していたが合併により要点開示申請のみだった為に消滅してしまったのだ。そして今…ふたたびその勇姿をみせる為に忍者機開発は現れたのだった。

「忍者機の概要ですか?そうですね…こういうのはどうでしょう?」

そう言いながら久堂は、忍者機(久堂版)の概要ファイルを開発担当に見せてみた。

  • (1)機動性を重視するために、加速装置(ローラ●ダッシュ)を装備
  • (2)量産をしやすくするために、資源を少なめでできるようにする。装甲は装甲板のみで。宇宙戦では、パイロットが宇宙服を着るだけでも動くように
  • (3)隠密性を高めるために、起動音がでる場所を中心に生物資源での防音処理加工
  • (4)パンチには貫手(アー●パンチでも可)が可能なように、伸ばせるの希望
  • (5)使い捨てユニットとして、背中装備用の空挺用に使えるグライダーを開発する
  • (6)忍者の特性が生きるように、変化の術が発動時に忍者機全体にも術がかかるようにする。

「えっと…どう見てもアレじゃないですか。最近、染まってるかと思えば…」

あきれ顔の開発メンバーに、久堂は力説していた。

「何をいっているのですか、こう…右肩を赤くするとか、パイルバンカーをつけるとか言わないだけ…あ、何をする!私がペールゼふがふがっに…」

内政面子が「捕まえたっと…ほらほら、やること一杯あるんですからね。行きますよ、摂政」といいながら久堂を捕まえると王城へと消えていく。

「えっと…とりあえず、(1)(3)(5)(6)は採用可能っと…(6)は絶対に入れないとな…で、他には…あ、神崎くんがいる。」

そんな様子を見ながらも、開発メンバーは更に近くにいた神崎へと相談(というなの捕獲)を持ちかけていくことになる。

旧世界忍者国時代試作機

864769517_79.jpgイラスト:可銀

<<SS>>  (作:神崎零)

 〜序章編〜

忍者が乗れるシステムを

世界忍者国では日々世界忍者が活躍出来る日を夢見ている。 そのための努力も日頃行われている、方向がぶっ飛んでいたとしても、だ。

「そういう流れなのはわかります、体格や筋力が他の近接系に負けてるからあまり使えないイメージなのもわかります」

神崎はいつも通りの実験台になるのを予感しつつも珍しくシリアス顔だ。 馬鹿だなぁ、そうやって逃げようとする時が必死だから遊ばれてるのに。

「そりゃ必死にもなりますよ!毎度毎度よくわからない実験で生死の境をさ迷い続け!やれカタパルトだのなんだのと!」

それでも死んでないんだからいいじゃねーかw 第一お前が欲しいって言い続けたくせに

「くっ」

話の流れでわかってたろうに、自業自得だ

「濃紺さん、俺はやっぱ忍者ロボで体格補って上昇値だけは使えば強いと思うんだ」

燃料ないのと操作出来ないのを除けばな。

「ここはあれだ、手裏剣と忍者刀以外はパージすれば負担へらね?」

機体の燃料と資源は?

「資源は装甲落として体を軽くするとして・・・燃料は人型戦車みたいに食料で」

やるなら人型戦車の技術を使って低ARで移動したいよな。

「そうそう、本当なら白兵しか出来なくして白兵攻撃のARも下げたいんだけど機体能力というより技術か絶技に近いものになるからなぁ」

ロマンはあってもI=Dじゃないな。 何より、動かせないからな

「なんだよなー」

惜しいとこまでは行ってるが神崎の案じゃこんなもんか。 しかし、なんだ、人の気配がするような。

「今日子が恋しいんじゃね?」

どうやら年下の女に敵わんへたれが自殺したいらしい・・・なっ!?

「何変な声あげて・・・げ」

どうやら俺は疲れてるらしい、天井から二人ほど生えてるように見える。

「ふ、こんなこともあろうかと!」

「あ、よくみたら天井裏にひっかかってら」

「こんなこともあろうかと!」

「え、スルー!?というかそれが言いたいだけだよね!」

頭痛いな。

「今の話、聞いてましたよ」

「今日子が恋しいって話?」

どうやら本当に死にたいらしいな、天井に引っ掛かって下りられない方だろ。

「違ーう、忍者がI=D使えないって話」

「こんなこともあろうかと、人狼の技術と世界忍者国の技術を融合させて忍者専用機を作っていたのだ!」

「実験はまだだけどね!」

「げ、嫌な予感が」

ちょうどいい、神崎がやるそうだ。

「おのれ濃紺!」

人狼領地最高傑作:笑顔号(再利用)

51_arms_hitogata.jpg


//現在

「操作方法は簡単、動かしたいように体を動かすだけ」

身体の動きをトレースするのはわかるがラグやらが致命傷じゃないのか?

「そこは世界忍者国の誇る名機にゃんばいんの瞑想通信による操作を補助機能に組み込んであるから大丈夫」

にゃんばいんは農作業用で細かい操作は出来ないはずじゃなかったか?

「人間が細かい作業を遠距離でものも無いのに思い描くなんて出来るわけないんですよ、そんな精神はありえない、だから出来なかった」

「そこで【身体】と【精神】両方を読み取る事で操作するんですよ」

森国人の能力を使うのはわかったが混線とかは大丈夫なのか?

「一度登録を行ってその精神の持ち主以外は受信しないようフィルタをかけます」

「ついでに登録者が登録変更を願わない限りは摂政以上の権限がないと持ち主は変更出来ません」

それも瞑想通信を使うわけか

「そのとおりです」

「でもさ、どこに人狼の技術使われてるの?」

「いい質問だ神崎君」

「君たちの言ってたように人型戦車の技術、笑顔号の人工筋肉を使うことで限りなく元の動きに近いものを実現しています」

WDのインナースーツみたいなのはモーショントレースに必要だとして、上に服は着ちゃ駄目なのか?

「機体動かしてるときは出来るだけ余計なものは着けたくないですよ」

「乗ってるときはこれだけなのは定番でしょ」

「それで、俺は何すればいいんです?」

機体もないみたいだしな

「とりあえず、登録システムが正常に動くかとどれほどの精度で動きを再現できるかですね」

実験はしてないのか?

「摂政のデータ入力が済んでないのもありますし、何より不具合あったら困るので実際にはこれが初めてです」

「え、それ俺やばいんじゃ・・・」

そのための神崎だろ。

「扱いがひど過ぎる!」

「このターン妖精の父親を着てる俺に不可能はないはずだよ」

「徒理流さん、そういうのは森さんを落としてから」

「・・・ふん(ポチッ」

「いやいや、そこで半笑いのまま押すのは悪意がありすぎる!」

自業自得ともいうがなw

「まぁ上手くいったみたいだからいいじゃないか、廃人とかになってる様子もないし」

「データ入力も登録も正常みたいだし、残念だけど爆発もしないし」

残念だ。

「じゃあ次は濃紺さんの登録と登録解除が可能か、ですよね」

恨めしそうにこっち見んな。 第一、他の人間で動かないかのチェックが先だろ、松永さん。

「だそうですよ、松永さん」

「それは後で、いや、やめ、怖い顔してにじり寄るな!」

「【やったな】」

「絆っぽくごまかすなー!!!」

「汚された・・・」

諦めてさっさと脱げば無理矢理なんかしなかったんだがな。

「まるで悪党の言葉ですよね」

神崎同様死にたいらしい。

「可愛い人狼傭兵がデレて、戦場に向かったから急ぎたいんだよ」

「デレ?」

その問題は後に使うんだからヒントを出すな。

「(なんで自分で着て自分でデータ取りしてるんだろ、しかもエラーしか出ないのに)」

「次は濃紺さんですね」

意外に全部正常に動いてるな。

「ですねー、星にも爆破オチもなく」

「変更も成功しましたし」

「痛い目にもあってないです」

感想が間違い過ぎだがとりあえず操縦系はこれで行けそうだな、後は実際機体がどれだけ再現出来るかだが。

「そこは実機を動かさなきゃわかりませんね」

「今回の目標はあくまで強力な個体を作るわけじゃなくて安価で量産可能にして世界忍者の強化が目的ですからね、再現出来なきゃ意味ないですから」

まだ出来てないのか?

「人工筋肉は人狼傭兵が修理なんかに使ってた工場があったからそれで充分行けそうです」

「流石に長くやってただけはあって技術は進歩してました、なまじ他の技術に手を出さないで向上させた分初期のものに比べてかなり高性能ですね」

武装なんかはどうするんだ?

「濃紺さん達の言ってたように白兵戦用に刀を、メイン兵装は手裏剣ですね」

「他に、移動補助用に鈎づめにワイヤー、対歩兵用にまきびしなんかを予定しています、あらゆる火薬を使わないことで燃料の使用しない予定です」

刀なんて作れるのか?

「世界忍者国には世界忍者が使う刀を代々作ってる人達が居ますからね、世界忍者の動きを再現する為にも腕のいい鍛冶屋の慣れた刀は必須かと」

「だから世界忍者の装備に近いものをって事なんですね」

ちなみに何で忍者専用機なんだ?

「世界忍者専用機じゃ駄目なんですか?」

「量産機は数を揃えてチームワークで戦うものです」

「世界忍者は本来単機で戦況をひっくり返すものです」

現実はそうじゃないがな

「だからこそ、この機体をバネに世界忍者専用機を別に作るんですよ、ACE機として」

「円卓の騎士とか四天王とか12神将みたいな数を限って、うちの国の全技術力を持ったハイエンド機体を、ですよ」

シリアスに終わらない辺りがうちらしいな。

 〜導入編〜

「発見、逃がすなよ、確保しろ!」

「おのれ、濃紺!!」

世界忍者国某所、傭兵協力者宅にて

/*/

世界忍者国某所、実験場にて

「元人狼整備開発担当の快い犠牲によって、遂に完成した試験機、いやー量産型はいい」

そこは、異様な空間だった。 試験機を前にして笑顔の松永、そして、大量の人狼民を中心とした整備士の死体達。

「これは・・・どういう事ですか・・・?」

そして、相変わらず実験台として連れて来られた神崎、遠い目な濃紺、そして、流石に驚きを隠せない藩王だった。

「人権を無視してまで労働させろとは言ったつもりはないのだけど、どういう事か説明をしてもらおうか」

珍しく怒りを表に出す藩王を前にして、狂気にも似た笑顔のまま、松永は答えた。

「ああ、彼らですか?これは彼らが悪いのですよ、私の考えを理解しないのがね、それよりもこの試験ふべらっ」

松永はトリプルアクセルを決めながら頭から着地した。
藩王が怒りの鉄拳を決める前に吹き飛ばしたのは、ハリセン装備の濃紺だった。

「悪人みたいな事を言ってどうする」

「え?」

「濃紺さん、死体がみんなダイイングメッセージを残してます!」

確かによく見ると死体?の回りには血?文字が書かれている。

「説明はこれを見せた方が早そうだな」

濃紺の指差した先には、一人分のダイイングメッセージ。

「ええと、白と赤のツートンカラーが量産型の正義・・・って」

慌てて他のダイイングメッセージも確認する。

「こっちは、試験機はトリコロール、それと、やっぱり対空ミサイル、大剣だろ、マキビシランチャーと合体機構が必要、でかい赤マフラー、青がいい、城型ロボにするべき・・・何これ」

「ふふふ、男達の夢の後ですよ、やっと、量産機を緑に出来るというのに!」

血を噴き出しながら笑顔で復活する松永と、それを憐れなものを見る目のまま濃紺。

「いや、夜間迷彩でダークブルーって決まっただろ」

「だから、渋々試験機だけ緑に・・・」

「どうしました?女王様?」

頭を抱える藩王を気遣う神崎、そして藩王は思うのだ。

「いきなりシリアス展開かと焦ったじゃないか」

忍者専用機(試作型)

587.jpgイラスト:くぅ

 〜実践編〜

「まずは、スペックを紹介しましょう」

「紹介する前にすでに中に入れられてる僕がいるんですが」

「まずはボディですが」

設計資料をもって徒理流が現れる。 神崎の声が当たり前のように、スルーされながら。

「徒理流はあの惨状に参加してなかったのか?」

「ええ、だって、次の世界忍者機が本命なので」

「一瞬、良心からかなとか生易しいことを思ったのは切ないな」

「藩王様、涙が・・・どうかしましたか?」

「いやなんでもない、それで、ボディの資料だが・・・」

「ええ、これです」

徒理流から渡された資料には、基本は人型戦車であることを示している、つまり、予定通りの食料で動くI=Dということだ。

「簡単な話をすれば、I=Dと人型戦車の中間、それこそ、スーパーフォートレスや大型WDなんかに近いですね」

「うちが独力で作る初めてのものだからな、流石に発想が違うな」

「うちの国の財政上こうなるのは仕方ないんですけどね」

「開発陣には無理をさせたな・・・って、武器がブレードだけになってるんだが」

資料には武器がブレード、としか書いていない、そもそも手裏剣と日本刀という話だったような・・・

「そうですね」

「手裏剣は?」

「あとでお見せします」

「日本刀がブレード?」

「そうですね、あれと人型戦車の移動力をつかって白兵だけで戦う予定です」

「付属品もあるのね、移動補助用に鈎づめ付ワイヤー・・・だけ」

「そうですね、移動補助兼侵入用です」

「索敵装置は・・・中の人依存」

「そうですね、索敵用+密閉するために正面は頑丈な窓があるだけ、あとは世界忍者の感性に依存してます」

「ロボとしてどうなのかな、これは」

藩王は、まさかの低スペックに頭を抱えるしかなかった。

「そもそもこれは、I=Dの皮をかぶった世界忍者用パワードスーツですからねー、地上防衛や侵入とか、世界忍者の補助器具に過ぎないですし」

「そうそう、夜戦時に燃料馬鹿食いするのが嫌だから暗視装置も全部はずし、燃料消費を限りなく抑えたI=Dというのもありますよ」

「切ないなー、うちの問題とはいえ」

「夜戦装備をすて、白兵武器以外をすて、身軽でハイパワー、そしてローコスト、ついでに世界忍者が乗れると、問題ないじゃないですか、まぁ世界忍者の白兵能力前提ですが」

「ついでに聞きたいんだが、前回森国人しか運用できないシステム、と聞いたけど、世界忍者以外も使えるのかな」

森国人しか運用できないシステム、世界忍者国の誇る名機にゃんばいんの瞑想通信による操作システムを補助機能に使っているのだ。

「今回実験をしてわかったことがあります」

「俺より前に実験した人がいるんだ・・・」

当人の神崎どころか、藩王、濃紺の開発陣以外の面子は全員意外そうな顔をした。 もはや実験の最初の犠牲=神崎というのが当たり前になっていたのだ、ロジャー像の隣にLei像を建設するのと同じくらいに。

「それで、その結果は?」

「世界忍者以外、動かなかった、というのがわかりました」

「それは何故?」

「ぶっちゃけると、世界忍者力不足ですね、加速装置の時のように、世界忍者が関与することによってギャグフィールドが展開されて(中略)によって動くものと思われます」

「つまり、世界忍者専用ということか」

「そうなりますね、しかも、一定のギャグ力をもった」

「根源力じゃないのが笑えるところだな」

「というわけで、動くとは思うんですが、世界忍者で動かすのは初めてですが、神崎君、頑張ってくれたまえ」

松永の無茶振りで、神崎は動かすことになった。

「えーっと、どうするんだろ、既に起動中っぽいけど・・・」

神崎が首を傾げる、忍者機もまた、首を傾げる。
というより、実はさっきから神崎君がキョロキョロしたり驚いたりしてる時から、忍者機は反応していたのだ。

「とりあえず、神崎君、立って外に行こうか」

「そう言われても、どう・・・動かしていいのか・・・えーっと、だーっ説明書くらい欲しいなぁ」

「機体も共に頭を抱えて立ち上がってるのに気づいてるのかな、あれは」

完全にシンクロして忍者機は頭を抱えながら立ち上がってた、中の人の動きにあわせて動いているのだった。

「って、なんか外の景色が変わった!?高いところにいるのか・・・」

「やっぱり視認性が悪いのか、改良するしかないんじゃないか?」

「でも予算的にはこれくらいが限度で・・・って試験機はどこに行った?」

濃紺と松永が真面目な話をし始めている時、いつの間にか試験機は消えていた。

「ああ、二人で遊びに出て行きましたよ」

藩王と共に。

「ふむ、肩の上も十分高いな」

「そうですねー、いやーまさか完全に体動かすだけでいいとは、すごい楽です」

普通に考えれば、目線は違うし体を動かして巨体が動くから意識にズレが生じるはずである、そうならないのが世界忍者の特性ともいえるのかもしれない、順応性がというか、自由な意志がか。

「マニュアルにあるとおりだと、ブレードは手首あたりから肘にかけてついてるからと簡単にもてるらしいんだけど」

「おおー、女王様の言うとおり、持とうと思うと手に感触が」

装備されているブレード、名前もそのままニンジャブレードを使ってすぶっている。

「ふーむ、あとは、手裏剣モードがあるらしいけど」

「へーやってみますか?」

「それもいいな」

「まずい・・・あの二人のことだ、手裏剣モードを起動してしまう・・・っ」

「というのは?」

「手裏剣モード、つまり、両手両足についたブレードを使った人間手裏剣・・・」

「G●ンみて思いついたんだな」

「そうともいいますね、己を手裏剣として用いるんですが、実験機で、使い方もろくに知らずに使ったらどうなるか・・・」

「ちなみに、それって飛ぶのか?」

「跳ぶに近いですけど飛びますね、くるくる回って」

「ふむ、俺達に向かってきてるアレ見たいな感じか?」

「そうそうそんな感じ・・・ってあれ?」

「そんなんじゃないかと思ったんだ」

濃紺の声は、松永、徒理流からは遠い。

「なるほど、つまり世界忍者国らしいオチがつくと」

「いままで実験で事故らなかったからなぁ・・・」

「「「ぎゃああああああああああああ」」」

その日、突如として回転を始めた機体に振り回される神崎、直撃しかけた松永、徒理流の悲鳴が世界忍者国に響いた。

 〜報告編〜

その日、実験こそグダグダになってしまったが、成功はしていた。

予想されていたように、世界忍者にしか乗れない、森国人専用の仕様で。

最近、開発部隊として活動して判った事がある。

世界忍者国における世界忍者の特異性である。

新世界忍者が生まれた時、世界忍者に呼応するように専用のアイテムを作りだしていた。

そして、今回の忍者機、これも世界忍者にしか乗る事が出来ないピーキーな乗り物が出来上がった。

これは世界忍者という存在が、この世界の影として世界を守る為に力をつけているんじゃないのか?そんな事を考えた。

これを、女王様や濃紺摂政に話した、すると女王様は言ったのだ。

「これは、うちの国の世界忍者愛がなせる奇跡じゃないかな」

と、そして

「いや、世界忍者を選び続けた結果の運命だろ」

と、濃紺摂政も言っていた。

今、俺達は世界忍者機の試作をしている。
今度は世界忍者国の全てを注ぎ込んだハイスペック機、予算部度外視したT18最終決戦用。
TLOすら覚悟した、根源力制限付きの少数精鋭専用機だ。

これが完成するかはわからない、忍者機次第だろう。

出来れば作れても、使わないのがベストなのだが、要塞突撃、地上防衛等の特殊作戦専門なのだから。

開発部隊所属、松永の日記より

日記を書き終わった辺りで、外から声が聞こえた。

「次は真世界忍者が来るって!」

「根拠は?」

「新世界忍者がギャグで進化したじゃん?でも元々の世界忍者ってギャグもシリアスも同時にやるから格好いいのに笑えた、つまり、シリアスによるギャグなのが出るね!」

「ふむ」

また、面白そうな話をしている。

「てっきり忍者機を想定した補助が出来る職が来ると思ったが、もしくは白兵強化だな」

「えー、またカトラスか」

「絶対いけるだろ」

「忍者なのにカトラスはないって、忍者刀なら考えるけどさー」

扉を勢いよく開け言うべき事をいう。

「そんなのよりヒーt『そんなのよりドリルに決まってるじゃないですか!!』

「なん・・・だと・・・」

いう、予定だった。

「ドリルを人間につけるのはないなー、って、松永さんなんでorzな体勢してるんですか?」

「いい、気にしないで」

新しい戦力を考えて夢見る今日も、世界忍者国は平和だった。

忍者機、ロールアウト(作:神崎零)

 世界忍者国において忍者機というのはターンを跨ぐ程開発に難航していた。

中途半端過ぎたのである。
戦力を増強しようにも、周りとの激しい戦力差を埋められる訳もなく。 埋めるだけの国力もなく。
かといって、意味もなく作る訳もいかなかった。

 開発当初は人切り単独で上回るスペックを求めたが事件が終わった後ではそれを実現するために巨大化を避けられず世界忍者の侵入能力を生かせず、ターンが移って宇宙が舞台では利用価値がなかった。

つまり、出損ねた訳だ。
しかし、ここにきてわかりやすい敵の存在がわかった。

敵は自分達らしい。

 自分達に足りないものを補って自分達を倒せる様にする、目標不明だったこの計画に目標がおりてきたのである。

この計画、時間をかけただけあって様々な試行錯誤が行われていた。

 膨大な試作案があり、世界忍者を活かす機体も無駄にしてしまう機体も、量産機とは思えない値段や、I=Dの値段に見えないものまで様々だった。
その中で、今回必要と思われるものは4つだった。

1つは、圧倒的に戦闘力が足りない事。
 実際に、神崎は完全に不意打ちが可能な状態でですら大量生産品の黒耀子一体すら倒す事が出来ないと感じる程だった。
 つまり、戦ったら負けるレベルに弱いのだ。
 そんな自分達を倒すのはおそらく簡単で、正面戦闘でのスペックを上げればいい。
 貧弱な肉体で戦うのではなく頑強な肉体を使う、これだけである。

2つ目は、侵入能力である。
 ほぼ唯一と言っていい世界忍者の特色にして生命線。
 この能力、実戦では施設破壊能力と共に使われると思われる(侵入との併用は未だなされていないが)
 低物理域においては、拠点は重要であり、これの無効化が可能な力は重要であろう。
 これを失う事は世界忍者をやめる事に等しい。

3つ目は、コスト。
 これは世界忍者全体を強化するには資源、燃料ともに不足がちな世界忍者国では大量生産が厳しい。
 この問題を敵が克服していた場合、不利になるからだ
 低コストが望ましい。

最後、4つ目は物理域の問題。
 侵入能力が活かせなくなりがち且つ、根源力問題を突破するために低物理域に寄った人もおり高物理域は不得手なのだ。
 戦闘で遠距離がメインになるのも悩ましい。

活動問題、戦闘距離、侵入能力の拡張これらをカバーする必要がある。

 などという、真っ当な設計思想の中、結局できたものは今まで作っていたものの粋を集めるという至極まっとうなものだった。

まるで世界忍者国ではないかのように。

とはいっても、武装類は相変わらず人間手裏剣と腕部ブレードしかない。

 最初期から変わったものといえば前述したものへの対策案の一つ、これらを解決しつつ値段を安くする方法として採用された追加パーツ方式である。

 素体となる機体に追加装備を付け替える事で対応する。
 現行技術の一つであり、これにより一体一体に余分な装備を付けない事(直接姿勢制御スラスター等を付けないため安くなり)によりコストを抑える事に成功した。

 基本となるのは、侵入優先型装備と呼ばれるもので、余分な装備を外し着脱可能なワイヤーアンカー、高機動移動用の追加ローラーダッシュシステム(着脱可能)を装備する。
 侵入時にはローラーダッシュの駆動音は大きすぎるため人型戦車と同様に徒歩移動を行う事で雑音を減らし、非侵入時には軽快な回転音と共に更なる加速を行いワイヤーアンカーと組み合わせる事で戦場を縦横無尽に動き回る事が出来る。
 標準装備であるAS(アンチサーチ)マントにより変化の術を機体に施す事が可能になっており圧倒的な侵入能力を保有しており、侵入→破壊工作→脱出の流れを意識した装備となっている。
 背部ハードポイントに専用グライダーを装着し、滑空等が可能なのもこの装備である。

 4番目の問題の答えになるコストがかかりがちな対高物理域専用装備にはやはり燃料等が僅かだが必要になる。

 肩部及び背部に姿勢制御用スラスターを付けたジャケットを着せ、ローラーダッシュを外し、開いた脚部にも姿勢制御スラスターの着いたブーツを履かせる。
 加えて、左腕ハードポイントのワイヤーアンカーを電磁砲式に変更し、右腕には新世界忍者をモデルにした加速空間展開装置を装備する事により地上戦に近い運用が可能になっている。
 当然ながら使用感はまるで違うのだが。

 対高物理域専用装備追加パーツは世界忍者においても作成されたサイベリアンの製造ラインを用いており、スラスター回りはほぼサイベリアンそのままであり胸部から肩部にかけてサイベリアンを着ている様に見え、背部ハードポイントにつくバックパック相当のパーツもサイベリアンの背面をブロック化したものに過ぎない。
 技術と製造ラインの転用により追加パーツのコストも大幅に抑える事に成功している。

 素体となる機体部分には固定装備としてブレードとASマントが装備されており、ASマントは通常時にはマフラーの様に首に巻く事が可能であり、世界忍者らしさを出している。
 それ以外は完全に何も装着されておらず、小柄な人型戦車に見える。

完成!忍者専用機

598.jpg

-----------------一時ギャグ休憩--------------

松永「機体にも変化の術を適用する方法、見当もつかないですね」

白銀「前にWDに精霊回路を描いて効果を得るものがありましたね」

尋軌「じゃあ変化の術の習熟に使ってたマントルでも書いてみますか」

くぅ「全体にかけるならマントですよね」

-------------- マントにマントルを書き殴り中 --------------

エド「書き終わりましたよ!」

カヲリ「一人分にしては大きかったかもしれないです」

ソーニャ「長いと躓きそうですね!」

怜夜「それじゃあ切っちゃいましょう」

-------------- マントをばっさり裁断中 --------------

濃紺「マントルごとばっさりいってないかこれ」

徒理流「おもいっきりいってますね」

大神「つけてから考えればいんじゃね?」

-------------- マント装着中 --------------

神崎「えーっと、とりあえず乗ってみましたけど」

大流「凄い適当なノリですがこれでいいんですかね?」

可銀「まぁ、いつものことだしね」

弓尾「変化の術を使ってみてくださーい」

-------------- マント発動中 --------------

真神「発動してるように見えるな、マントル切れてるのに」

松葉「確実に後ろに同化してますよね、マントル切れてるけど」

なかだい「星見として理論わかりますか?マントル切れてるのに」

あんぐら「開示情報が足りない」

-------------- マント議論中 --------------

みなお「そういえば意見書にマフラーがどうとか」

キラノ「マントをマフラー状にして首に巻けませんか?」

匪「議論内容間違ってません?」

女王様「マフラーの色は赤だな!」

---------------ASマント説明終了--------------

長いシリアスを超えて本機は開発された。

少し前にギャグだった気がするが気のせいである。

そんな、忍者機、その名は・・・・

「藩王様、忍者機で重大な問題が!」

「まだなにかあったっけ?」

「名前を一回も考えたことがありません!」

「あ」

≪SS≫(作:結城由羅)

〜命名の顛末〜

「なかなかいい物ができたじゃない」

 試作機という名のソレを見ながら藩王結城由羅は機嫌良く、傍らに控えていた爺――もとい摂政久堂尋軌に声をかけた。尋軌は、要塞艦や銀行の製作指揮にあたって多忙になった由羅に代わって、忍者専用機の製作指揮を執っていた。設計ではなく、技術者のスケジュール管理やリソース調整がその主な仕事だったが。

「それで、結局名前決まったの?」

 ぽんぽんと胸の装甲を叩きながら訊くと、場に沈黙が落ちた。

「あれ、まだ決まってない?」

 しばらく前に命名が問題になってたはずだったが、と由羅が小首を傾げると、尋軌は言いにくそうに言葉を濁した。

「…それが」
「あれからずっと決まってないの?」
「はい、決まってません」

 えー、である。

「いえ、ほら、私そういうの苦手ですし」
「それでもなんかあるでしょ」

 責任者が名前をつけるのが手っ取り早い。ので、振ってみたが、尋軌は頭を掻いた。

「友誼号ってのをちょっと考えたんですけど、後継機に取っておきたいんですよねぇ」

 量産機には使いたくない、という。この摂政、友誼という言葉に思い入れがある。

「光太郎の名前から取る? 光友とか光誼とか…イマイチかなぁ。ハイカラにSASUKE号とか」

 うーん、と、唸る由羅。

「じゃあさ、 今回メインの設計者である神崎くんに決めてもらえばいいんじゃね?」

 ぽんと手を打った。

 神官長である神崎は、神殿にいることが多い。世界忍者国各地に支部を持ち、細々とした生活の相談に乗っている神殿は、結構雑務が多いのだった。つい最近は、運動会の開催、そして年末の大掃除や新年のお祝いなど、市民側の中心となって動くのも神殿とその氏子たちだったのだ。神崎は神官長の務めもある上に、イベントにはコスプレさせられて引きずり出されることも多い。

「いや、それ絶対間違ってるからー!!!」

 叫び声を上げながら着せ替えられる様子は、もはや世界忍者国の風物詩のひとつであった。調子に乗った神官たちは、神官長のコスブレブロマイドをお守りと並べて売っている。これが案外売れているらしかった。

「名前、ですか?」

 突然の由羅の訪問に、今度は何のコスプレをさせられるのかと警戒していた神崎は、ほっとした声を漏らした。

「うん、最終の設計には君が大きく寄与していたので、とりあえず意見を聞きに来た」
「うーん」

 突然言われてもなかなか出てくるものではない。神崎はひとしきり悩んだあと、ひとつの名前を挙げた。

「忍者の魂、ということで、忍魂号ではいかがでしょう」

言いながら、空中に字を書いてみせる。


「にん…たま?」
「いやいやいや。 違います、にんこんごう。サムライの魂で士魂号っていうのと同じですよ」
「…れんこんみたいねう」

 由羅には不評なようだったが、神崎は真面目な顔をして言った。

「漫画で、ちっちゃいロイが君が侍なら僕は忍者になる!って言ってたシーンがあったじゃないですか。あれが脳裏に浮かんだんです」

 だから、これは神託ですよ!と拳を握りしめる神崎に、由羅ははいはいと頷いた。

「ということで、いい名前ない?」

 由羅が最後に行きつくのは常に桂林怜夜のところである。天然ボケに癒されるわぁとか言いながら、怜夜の家のこたつに入り込んでごろごろしている。失礼極まりない奴である。

「本当に決まってなかったんですか?」

 当人は気にせず緑茶を淹れて、由羅の前に置いた。自分の前にも置いて、器に入れたせんべいを勧める。

「これ、トウモロコシ粉のせんべいらしいですよ。世界忍者大学の調理部の新作とかでもらいました」
「なんか変なもの入ってない? こないだは惚れ薬混入饅頭とかもらってなかった?」
「…今回は大丈夫です。 普通のをお願いしますって言っときました」
「なら、いいけど…」

 怜夜が学長を務める世界忍者大学は忍者専用の学校でもあって、調理部といえども油断はならない。彼らは日々忍者としての切磋琢磨を欠かさないのである。

「なんか、中からおみくじ出てきたけど…フォーチューンクッキーかよ!」
「…お正月らしくていいんじゃないでしょうか」
「そういう問題かなぁ」

 ちなみに、末吉:今年もがんばりましょう、と書いてあった。

「がっくし」
「まあまあ。 で、名前でしたっけ…」

 うーんとこちらも考える怜夜。ぴんと指を立てた。

「ジラ○ヤとかラ○ダーとかエク○ードラフトとか、濁点がつくのがいいと思います。ガ○ダムもそういう理由で濁点がついてますけど」
「また、SSに載せにくいぴーでぴーな名前を…うんまあ、忍者の名前から取るのはいいかもね。 サスケだとまんますぎるから。ジラ○ヤはいいかもなぁ原点に回帰するという意味では」

 うーん、しかし著作権的にどうなんだ?とメタな話で頭を悩ませる由羅。

「I=DというよりWDなんですよね、これ」
「ちょっとおっきいWD」

 ふーむ、と怜夜が腕を組む。

「乱○郎とか」
「こらこらこら。…忍魂という案は出た」
「もっとこう、うちの国らしくイロモノがいいですよねぇ」
「キター」

 世界忍者国にイロモノが多いのは藩王のせいにされることが多いが、基本的に国民が好きだからである。いや、そのイロモノを面白いと取り上げてるのは藩王だけれども。

「えー」
「www意見は聞こうw」
「すぐには浮かびませんって。忍魂はイロモノですよぉ」
「神崎くんが士魂号にあやかって付けた、まっとうな名前ですよ?」
「にんたま、って読むとばかり。 ○魂みたいに。良いネーミングセンスだと」
「にんこん、でよろしく。多分みんなにんたまって呼びそうだけどな!」

 うーんと唸って2人はお茶を啜った。

「ちょっと名前が弱そうですけどねぇ」
「忍魂号?」
「陽光と久遠と忍魂じゃ…フ○ロウ男爵くらいのインパクトが欲しいものです」
「それどんなインパクト」
「とりあえずこう、『どこがフクロウやねん!』から始まって…突っ込んだ方が負けと気づくのです」
「インパクトの方向が何か違わない?」

 すでに斜めに迷走している怜夜に、とりあえず突っ込んでおく由羅。

「ともかく、うちもにんたま以外に何か欲しいな、と」
「普通ににんたまでいいだろ」
「にんこんとか呼ばれてるんでしょうね。きっと。れんこんとかだいこんとか、煮ん根とか書かれて」
「ろくなことを言わない…つーかにんこんごうが正式名称だっつーの」

 とりあえず、どのへんを拾えばいいのか、そろそろ途方に暮れつつある由羅だった。

「えー 木製アーマーという濃紺さんの言葉がどうしても残っててー」

 木製アーマーというのは、廉価版量産機という言葉から摂政濃紺が一時期提案していた案だった。けっこう真面目に検討されていた案であるので、イロモノ扱いはちょっとかわいそうだった。

「そうだ、忍魂☆農墾 とか、どうですか?」
「あー、濃紺さんの名前をもじってるのね」
「ええ。農作業用に用途を限定した機種で、…こんな感じでシリーズ化されていきそうな機体じゃないですか?」
「某レイバーみたいに色々用途があっても面白いかもね」
「ですです。農作業用、メンテ用、医療用、戦闘用、などなど」
「忍魂☆華吟(メンテ用)、忍魂☆狗一(医療用)、忍魂☆寒裂(戦闘用)、こんな感じかな…」

 ふんふんと由羅は頷いた。玲夜は何か楽しそうにしている。いたずらをしかけて嬉しいようだ。

「これ、バレなさそうですね、しばらく」
「大丈夫、さっきから瞑想通信でリアルタイムに開発局に流してる」
「鬼!悪魔!」
「えー、いいじゃん、面白いから」

 由羅はけらけらと笑ってお茶を飲んだ。ひとまず、これで名前の問題は片付きそうだった。

SS:最後のオプション追加(作:結城由羅)

「これでようやくロールアウトかぁ」

 長かったなぁ、としみじみ感慨を噛み締める尋軌摂政であった。が、最後の要点チェックをしながら、首を傾げた。

「大型手裏剣…足りないんじゃ」

 確かに、人間手裏剣というのも大型手裏剣と言えなくもないのかもしれないが…。

「オプションに入れとけばいいんじゃね?」

 首を傾げる摂政に、例によって見回りでひょっこり顔を出した由羅藩王があっさりと言った。

「背中のハードポイントに着脱できる感じで。
 ほら、某見切れ忍者みたいな感じで超クール!」
「……先輩ですか」
「な、何のことかな?」

 白々しく口笛を吹く。が、藩王がそのアニメにはまりまくっていることは周知の事実であった。

「では、緊急で発注をかけますね。
 忍者刀の工房も一時期のピークを過ぎてますから、
 そうはかからないでしょう」
「頼んだー」

 そんな経緯で、最後の最後に、背中のハードポイントに着脱可能な大型手裏剣がパーツとして追加された。

 なぜか攻撃時に蛍光文字が浮き上がる仕様が付記されていたことは言うまでもない。


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