アイドレス/銀行
アイドレス/銀行
取得時期:T17、201112(取得申請)
更新履歴
- 2011/12/06 01:00 たたき台完成(修正・追加待ち)。
- 2011/12/16 01:56 取得時期追記。
- 2012/02/02 00:30 提出
要点他
L:銀行 = {
t:名称 = 銀行(施設)
t:要点 = たくさんの人,通り,銀行
t:周辺環境 = 街
t:評価 = 住みやすさ0
t:特殊 = {
*銀行の施設カテゴリ = ,,国家施設。
*銀行の位置づけ = ,,{建築物,経済施設,金融機関,一般施設}。
*銀行の設置 = ,,設置された国。
*銀行の面積 = ,,600m2。
*銀行の構造 = ,,3階建て。
*銀行の資金収入 = ,,(生産フェイズごとに)資金+20億。
*銀行の景気対策効果 = ,,景気を+1段階引き上げる。
}
t:→次のアイドレス = 中央銀行(施設),銀行員(職業),巨大投資(イベント),為替政策(イベント)
}
参考:IDWIKI:銀行
イラスト
作:国民/カヲリ |
設定文
近年の金融不安に対抗するため、世界忍者国では銀行システムを整備することになった。 もちろん、以前より国内に銀行は存在していたが、公共の産業支援システムがあったため、それほど活発ではなかった。
今回の整備にあたっては、公共の産業支援機構を民間の銀行と合併することで民営化し、新しい銀行を作ることになった。 この【銀行】――世界忍者銀行は、産業の育成支援を目的とし、投機は本業とはしない旨が定められた。 ただし、もちろん、生産物の価格安定のための為替の取り扱い自体はおこなった。
世界忍者銀行の本店は、王城近郊のオフィス街に建てられ、以前よりオフィス街にあったNAC支店と連携し、この時期おこなわれていたアイドレス/トウモロコシ畑を主軸とする農業改革にともなう新規事業に対して融資をおこない、農業支援をおこなった。 また、アイドレス/忍者専用機の開発やアイドレス/水上艦船・要塞艦の建造にともなって軽工業・重工業関係企業にも融資をおこない、産業活性化の一端を担った。
このような活躍によって景気が活性化し、オフィス【街】の【通り】には【たくさんの人】が見られるようになった。 この成功には、エミリオとその支援者の活躍があった。
SS:華族会議
「銀行システムを整備したいと思うのねう」
結城由羅の提案に、2人の摂政――久堂尋軌と濃紺は、無表情だった。急に華族会議が招集され、何事かと思っていたからである。
「銀行…ですか?」
「まあ、エミリオの協力が得られるかどうかじゃないですか?」
尋軌はよくわからない、といった風に首を傾げ、濃紺は現実的な点を指摘する。
「金融系のACEのアドバイスは必須だと思うねう。
…まあまずこれを見てほしいのねう」
由羅は頷きながら資料を広げる。裁定作業時に入手した裁定案の一覧だ。
「ああうわあ」
編成時のミス指摘の一覧を見て、尋軌は目を背けた。尋軌は罰金という言葉に過敏である。たまに王城の片隅で「ごめんなさいごめんなさい」と言いながら倒れていることがある。
「ああこりゃ、激しいですねぇ」
対して、濃紺は相変わらず淡々と事実を述べるだけである。そうなってしまったものは仕方ない。そんな様子は、北国という環境で生きてきた人狼出身者のクールさと言ってもいいかもしれなかった。
「ターン初頭の生産で課されるだろう罰金のために資金が欲しいのねう。
まず、それが切実な問題ねう」
例えばT16の編成といえば、途中で担当していた尋軌が骨折するという非常事態があり、護民官に情状酌量を願う余地はあるといえ、それにしても罰金は払わなくてはならない。
「切実じゃない問題もあるのですか?」
尋軌が素朴な疑問を呟いた。
「うん、共和国で中央銀行を取ろうという話になってて、
それを伸ばすのをどこからにするかまだ決まってないんだけど、
もしそうなったときに対応できるように準備だけはしとこうかなって」
「なるほど」
「ふむふむ」
濃紺と尋軌がそれぞれ頷いた。
「それで、銀行の資料を取り寄せてみたんだけど、
投機銀行だとうちの国に合わないよねぇ」
結城由羅は別の資料を取り出して、摂政たちに回覧した。
「ああ、ギャンブル性が強いんですね」
「うん」
ひととおり目を通したあと、感想を述べる尋軌に由羅が頷く。
「清貧の神様を祭る国に、
投機はちょっとびみょーかな、みたいな」
「国民を直接支援するような銀行がいいですねぇ」
「産業振興を目的とした方がいいだろうな」
摂政たちの意見に由羅はほっと安心した。
「じゃあ、そういう方向で進めていくのねう」
「エミリオにも協力依頼をしておいてくださいね」
華族会議での企画提案はこうして承認された。
(作:国民/結城由羅)
SS:エミリオとの会談
実のところ、世界忍者国に銀行がなかったわけではなかった。建国当時より地域通貨である「にんにん」の発行は組織/財務局/世界忍者国中央銀行でおこなわれており、T11以降は組織/通商局/産業振興部と連携して国債発行をしたり、国内の銀行へ通貨を流すようになっていた。ただ、これまでその下の銀行の主要機能である産業振興のための貸付は、政治的なテコ入れが必要だったため組織/通商局/産業振興部が担ってきており、そのため銀行が育ってこなかったという面があった。
「この貸付事業を大幅に民業に移行、
つまり、民営化し、拡大しようかと」
「なるほど」
由羅は王城を訪問していたエミリオに、相談を持ちかけていた。
ここのところのアイドレス/トウモロコシ畑を中心とした農業振興政策によって新しく生産されたという茶葉で入れたお茶が、猫士/Gによって運ばれてくる。なお、王猫の猫士/あある・えすは猫の姿で、由羅の膝の上でごろごろしている。
最近は、こんな風に味見をして欲しいと持って来られることも多い。由羅はかつて、名産品であった茶葉の生産が途絶えた時代を思い出し、その新しい茶葉の味をしみじみと味わった。途絶えるものがあっても、また生まれてくるものもある。生命は連環なのだ。
「それで、
王城近郊のオフィス街に新たに銀行を建てようと思ってます」
王城近郊には、組織/天文台政庁を中心に企業の事業所や司法書士・弁護士などの事務所などがあるオフィス街が自然発生的にできていた。事業をおこなうには各種申請をし、認可を受ける必要があり、そのため自然とそのための組織が集まるためである。その一角に、新しい銀行を建てる。
「はい」
やはりお茶を飲みながら、エミリオは頷いた。
「で、その組織の立ち上げに際して、
エミリオさんにご協力いただけないか、と」
これまで公共でやってきた人員を、民業として自立させるには色々と意識を変えねばならない部分が多いだろう。だから、金融に明るい人物の協力が欲しい。
「協力、ですか……」
エミリオがこの国に来てから随分になる。アイドレスシーズン1・ターン4の決戦FVBのあとこの国に招かれてから、その姿は少年のまま変わっていない。美しいぬばたま色の黒髪と、抜けるような白い肌、そして何より凛と背筋を伸ばした姿が、高貴な雰囲気を漂わせている。彼は、生まれついての貴族だった。
「……自由にしてよいのですか?」
人事や、場合によっては既存の民間銀行との合併などが必要となるかもしれない、とエミリオは軽く脳裏で検討した結果を述べた。
「ええ、お任せします。
基本方針である『国民のための銀行』というコンセプトさえ維持していただければ、
どうしていただいても結構です」
餅は餅屋という。その由羅の言葉にエミリオは頷いた。
(作:国民/結城由羅)
SS:銀行の外観騒動
かつて世界忍者国に滞在していた海堂玲が残した庭園――王城に隣接したそこにはアイドレス/寮が作られていた。今でも親を亡くした子を引き取り育成しているそこには、多くの子どもたちが住み、賑やかな風景を作っていた。
「あ、こら待ちなさい」
ひとりのメードが、幼い子供を追って走っていく。その子どもが一人の女性にぶつかって止まった。
「桂林様、すみません」
相手が誰か気がついて、メードがぺこぺこと頭を下げる。相手はにへらと笑った。
「だいじょーぶですよ
気にしないで」
そして、抱きとめた子どもの頭を撫でる。
「ちゃんと、メードさんの言うことを聞きましょうね」
撫でつつもがっちりと掴んで離してはいないところがさすがである。そのまま、子どもは暴れながらもメードに連れていかれてしまった。
自分の子供は作れと言っても渋るくせに、他人の子どもの扱いはなかなかのものだ。母親に向いてると思うんだけどなぁ、と呟きながら、由羅は桂林怜夜に向けて手を挙げた。
「よ」
「女王様?」
怜夜は目を丸くした。その呼び名に周りがぎょっとして、年長のメードが飛んでくる。そのまま、応接室へと連れ込まれた。
「こんなところに来られるなんて珍しいですね」
「世界忍者大学に通信入れたら、こっちだと言われたのねう」
世界忍者国には古来より瞑想通信を利用した放送システム「テーベー」が存在していたが、地味に改良が加えられ双方向通信機能が実装されるようになっていた。これは、アイドレス/農業機械であるにゃんばいんの普及や、国営放送/ニンジャテーベーショッピングを代表とする通販事業の拡大によるものであった。今では、各家に一台あった「テーベー」はテレビ電話のような機能を持つ「てーべー電話」に進化していた。その「てーべー電話」で怜夜の仕事場の一つである世界忍者大学に問い合わせてみたのだった。
「わざわざ探されたんですか?」
何か用があったのことだろうか?と怜夜が首を傾げる。
「や、息抜き?」
その答えに怜夜は嫌な顔をした。由羅は煮詰まると、怜夜をからかって気分転換を図ろうとする。それ自体は役に立ててると思えばいいのだが、内容があちこちにばらまかれるのが困ったものだった。
「うそうそ。
ちょっと話したいことがあってさー」
「なんでしょう?」
そこへ年かさのメードが紅茶を運んできた。クッキーが添えられている。人型をしたジンジャークッキーだ。
「このクッキー、ここの上級生が作ってるんですよ」
そのメードはにっこりとほほ笑んだ。実質的にこの寮を取り仕切っているメード長だ。
「すみません、
ありがとうございます」
「なかなかおいしいのねう」
由羅がにっこり笑ってみせると、メード長は一礼をして応接室から出ていった。
「銀行を作ろうと思ってさ」
由羅の切りだしてきた話に、怜夜がカップを手に取りながら首を傾げる。
「麦わら帽子の尋軌さんが、にゃんばいんに乗ってやってきて、
『田植えが終わったから、今から銀行開けますね』
という農協のようなやつですか?」
「……あながち間違ってないかも」
産業支援が主軸だからな、と頷く。
「大口客にロイ像貯金箱とか、
ロイ型郵便ポスト貯金箱を配るんですね」
「え…まあ、そんなのもあるかもしれない」
多分何にしろ、中なり外にロイ像は置かれるだろう。お約束のようなものだからな、と呟きながら、由羅は幹部に配っている資料を怜夜に手渡した。
「ともかく、
それでエミリオにも協力を依頼したんだけど、
あまり無理はさせたくないので、
君の旦那にも彼のサポートをお願いしたいのねう。
……まだ具合が悪いなら無理にとは言わないけど」
「多分、大丈夫とは思います。
伝えておきますね」
怜夜の同意に、由羅はほっとした。表立っては動けないがサポートはしてくれるとは以前からの約束ではあった。
「他に、何か意見があれば言ってくれれば考慮するのねう」
資料をひとしきり眺めた後、怜夜がぽつりと呟いた。
「3階建て600m2のロイ像が銀行なんですよ」
のんびり紅茶を飲んでいた由羅が、その紅茶を噴いた。あばばばば、と言いながら、汚してしまった机を拭く。
「金庫はふんどしの辺りに出入り口があると、強盗が嫌が理想」
「いや、ちょっと待て、
どこかの自由の女神像じゃなんだから。
ていうか、ふんどし!」
「うちの国の銀行というとそういうのしか浮かびません。
斬新なところで、ブリッジのポーズのロイ像とか?」
「……まあ、君のイメージはよくわかった。
ありがとう」
相変わらずぶっとんでるなと思いつつ、由羅は怜夜の意見を自分の資料にメモした。
「3頭身ドット絵型ロイ像が可愛いと思うんですよ」
「ああ、それならまだ…」
「HQボーナスになると、人間ピラミッドに」
「それもう建物じゃない」
「まあ、3頭身で口から入っていくと面白い構造ですね。
ふんどしに「カモン銀行強盗」なんて書いてあって」
「それどんな体勢?
ていうか、誘うな」
「……そんなのができたら、帝国に移住しよう」
「言うだけ言っといてそれかYO!!!」
ずこーっと由羅がこけた。
「当たり前じゃないですか!
そんな(ロイ像のある)共和国に住みたいと思いますか?
否!!!!!」
ええええと由羅。
「真面目にメモしてたのに!」
「あ、明治風のレンガ造りっぽいモダンな建築物で、
中身は最新のお洒落な内装がいいです」
「Σ普通になった!!!」
「『うちの国ならこうですよねー(笑)』
という雑談のつもりでした。
フォーマルなものが本来好きなんですよー」
由羅はいい笑顔になった。
「……了解、じゃあ3段ロイ像で」
「なんで!!!!!!」
「フォーマルな3段ロイ像な。
赤レンガでマフラー風味」
「いやもう。
人型ならにゃんばいんに乗った麦わら尋軌さんで」
「ナニソレ」
首を振りつつ、ふっと怜夜が考え込む。
「…マフラーと見せかけてエレベーターかな」
「なるほど(メモメモ)」
「いやいやいやいや。
人型建築はいけません」
「www
私も作りたくはないw
めんどくさいw
ただまあ、うちの国らしさはほら、どっかに欲しのねう」
うーんと由羅が首を傾げた。怜夜がそれにコメントする。
「銀行員が全員忍者で十分じゃないですかね…」
「はっちゃけすぎてるけど、
3頭身ロイ像にはちょっと心惹かれるねう」
「ネタの雑談ですーーーーーーーーー
採用しちゃダメーーーーーー」
ネタがネタで終わらない、それが世界忍者国の怖いところであった。
しかし、結局、持ち帰って3頭身ロイ像の話をすると、尋軌のにこやかな笑顔に却下された。
「陛下、
わが国には景観条例という物があるのをお忘れですか?」
「ソンナモノモアリマシタネ」
かつて発布された景観条例によって、新規建物は森国らしさと自然保護を目指す必要があるようになっている。
「あ、でもほら、各種像はうちのアイデンティティとして例外だからさ」
だから、たまにモニュメントとして巨大ロイ像は建てられたりする。
「まあ、そうですけどね」
尋軌はあっさりと肩をすくめつつ、指摘を追加した。
「でも開発局で設計担当されるのはカヲリさんですよ?」
由羅はあーと口を開けた。ここのところ建物の設計は一括して優羽カヲリが責任者となっている。
「ごめん、
私が悪かった。
シックな明治風の建物にしよう」
こうして、世界忍者国の銀行が3頭身ロイ像型になることは免れたのだった。ちなみに、後日、そのアイデアを惜しんだくぅによって、3頭身ロイ像型貯金箱が作られたという。
(原案:桂林怜夜、編・作:国民/結城由羅)
SS:人材の確保は…
「まずはこのファイルをみてください」
そういうと、久堂はテーブルにファイルを置くとエミリオ(アクセサリー付)は置かれたファイルに目を通した。
「これは…国内の各業界で活躍してる人たちのリストですね。しかも、履歴書風に…」
「はい、この面子…エミリオにお預けしたいと藩王陛下より言われております。あ、本人たちからは許可をもらってますので問題ありません」
そう言うなり、久堂はエミリオに頭をさげた。逆にエミリオは面を食らった顔をしている。
「えっと…どういうことでしょうか?」
「この面子を貴殿に預けることで世界忍者国の内政への負荷を最小限にまで減らし、そして今度作られる銀行…つまり金融や経済に対して注力していただこうということです」
その言葉にエミリオは考え込んだ。何せファイルの面々はいままでの作業効率を二倍…いや、三倍にまであげることができるだろう。その分、自分の負荷は減って確かに銀行へ注力できるだろうが…しかし…。
「でも、この面々が抜けた穴はどうするんですか?各方面に甚大な影響がでると思うんですが…」
「わかってます…。しかし、金融経済…これはこれからの世界忍者国にとって大規模であり重要なファクターを占めるものになるでしょう。それだけの価値があると私たちは考えました。それにこれは必要なことだとも思っています」
「必要なこと?」
エミリオの頭の上でアクセサリーに徹していたソーニャがエミリオの代わりに聞いてきた。さっきから久堂はつっこまなかったが、ソファに座っているエミリオにべたべたとソーニャがくっついていたのだ。だからアクセサリー付。
「えぇ、これから内政は多くの人手と多くの人材が必要になってきます。それに伴い弊害として出てくるのは人材の育成です。これは、少数の人材が優秀であれば優秀であるほど依存してしまうから起きてしまう害でしょう。だから…この面子をエミリオに預けることで、現場でのレベルアップを仕掛けるということです。」
「なるほど…『人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり』ですか」
その言葉に久堂は軽く頷きニヤリと笑った。
「今、人材の育成は急務です。私たちが指示しなくても最終的にも国を守っていただけるように鍛えないといけません。鍛えるのに一番いいのは実践で経験を積む事ですからね。これが上手くいけば、一線級の人材は一気に増えます」
「わかりました…この面々、お預かりいたします。そして、世界忍者国の金融経済…任されましょう」
エミリオの言葉に久堂は再び頭を下げて快諾に応えた。
「よろしくお願いします。陛下はこの先にある中央銀行への道も見据えていますので…」
「…わかっています。あ、そうそう…前から個人的に摂政に聞きたかったことがあるんですが…今、いいですか?」
「はい、なんでしょう?」
久堂は不思議そうな顔をした。
「久堂摂政は…最終的にどうされたいんですか?」
すこしの沈黙の後、久堂は口を開く。
「私は陛下の影の軍団として、結城由羅陛下の『NW一の名君』への道に立ちはばかる者は例え誰であろうと容赦しません。私は陛下の為だったら鬼にも蛇にもなって、魔女にさえ魂を売ってみせますよ!(ドヤ顔で言いきった)」
「「魔女って、誰得ですか!」」
「「「ぷっ…ははは」」」
エミリオとソーニャの息のあったツッコミに、三人して思わず噴いてしまうと笑い声はエミリオ邸の中で響きわたるのであった。
(作:国民/久堂尋軌)
SS:中は相変わらずだった
銀行建設、それは面白みもなく進んでいた。
ええまぁロイ像型はいくらなんでもやり過ぎとは思いますが。
外装は決定事項であるし、客を考えれば真面目になるしかない。
・・・・そんな固定概念を打ち砕くもの達がいた。
開発局と神官である。
言い分はこうである。
開発局員A「対強盗及び泥棒等のセキュリティ回りは我々の管轄、普通に守るのでは簡単に破られる」
開発局員B「世界忍者やハッカー、魔術の類にも対抗するには様々な手段をこうじるべき」
開発局員C「いいから俺におもしろ忍者屋敷を作らせろ」
神官A「うちの国がシリアスだけとか許されない」
神官B「うちの国にも人が沢山来るらしいのに御神体を置かないとかうちの国じゃない」
神官C「諸外国からもきっとロイ像は期待されてる」
そして、開発局と神官団に説得される形で、あるべき姿――ギャグへと回帰した。
といっても、流石にセキュリティが疎かではいけない。
金庫を守る、そのために大量の防御網が敷かれる事となった。
・忍者機開発過程に作成された瞑想承認システムによる第一ロック
・ハンターキラウィッチによる協力型魔術障壁による第二ロック
・室内自爆装置付き器用度チェック(整備が死ぬ気で頑張る)による第三ロック
・・・そして最後の最終ロック
・きっと世界忍者なら突破出来るって信じてるトラップ軍団
〜忍者屋敷風大仕掛け、致死量越えの毒も添えて〜
その遊び心は目一杯のトラップへと注がれた。
金庫は、敷地面積を考え地下中央部に設置されている。
四方八方をトラップの山に囲まれており正規ルートすら最後はトラップという酷い仕様である。
しかも、解除方法なし、攻略ルートこそあれど世界忍者の侵入能力で無理やり入れという驚異の労働条件。
しかし、昔から訓練の一環で慣れている世界忍者職国民にとっては意外に好評であった。曰くわかりやすい就職条件だ、とのこと。
開発局は後にこう語る。
「正直落とし穴や飛び出る矢、槍 移動ルートに隠し扉なんかができたんで満足です。ただ、もう少し・・・もう少しだけ広い空間があれば、世界忍者を仕留められたかもしれない!」
・・・仕留めてはいけないと思います。
続いて神官団、こちらは簡単。
まずは、マスコットキャラとしてロイ像を設置。
流石に某団長のような酷い意見はなく、説明用紙のキャラクターがロイのバリエーションばかりだったり、銀行のど真ん中にロイ像が立っているくらいと、実にいつもの世界忍者国であった。
お金の取引してるところでみんな真面目なところで半裸のロイ像が立っているシュールな光景が当たり前という時点で間違っている気もしないでもないがきっと気のせいである。
(作:神崎 零、編:結城由羅)
SS:視察風景
新しい【銀行】は、王城近郊のオフィス街に作られた。ここには、以前よりNACの世界忍者国支店もあり、その関係で近隣に国内外の農作物の取引をする市場が自然発生的にできていた。なお、生産物・輸入した作物の保存にはさらに郊外にあるアイドレス/食糧倉庫が活用されていた。
以前からある農作物を中心とする物流の流れに金融の流れが乗り、オフィス街は活気づいた。
「ずいぶん人が増えたのねう」
オフィス街の【通り】に溢れる【たくさんの人】を見て、由羅は目を丸くした。王城周辺はどちらかというと人の少ない地区で、こんなに人を見るのは久しぶりかもしれなかった。
「早速新しい銀行に、FROGへの活動義援金受付口座を開設しました!」
藩王の視察に同行した尋軌摂政がうきうきと報告してくる。
「色々活用されてるのねう」
由羅は尋軌に頷くと、同じく同行している濃紺摂政に目をやった。
「今回の銀行システムの整備により、
資金調達がスムーズになったということで、
市場取引が活性化、
景気の上昇が確認されています」
目を向けられた濃紺摂政が頷いて、手にした統計資料をめくりながら報告をする。ここにある農作物関係の市場だけでなく、アイドレス/商業港近郊にある漁業系の市場や、アイドレス/郊外ファームタイプの遊園地近郊にある生物資源関連の市場でも影響が確認されているという。
「4-A地区には国外への輸出の窓口であるアイドレス/商業港と、
共和国環状線がありますからね、
さっそくそちらにも支店が作られるようですよ」
「なるほどねぇ」
ちなみに、王城のある4-C地区から4-A地区までの輸送経路も活性化しているらしい。公営の組織/通商局/黒猫忍者の特配便だけでは手が回らなくなって、輸送業者もだいぶ増えたということだ。
まあ、儲けに過敏な民業が活性化するのはいいことではある。ほどほどに、ではあるが。
「不動産や為替の高騰に気を付けて。
活性化するのはいいけど、過度に加熱すると弾けるからね」
「はい、情報収集は続けておきます」
濃紺の返事に由羅がにっこりほほ笑む。
状況を見ながら制御が必要だろう。実体経済より多く資金が回ること自体は悪いことではないが、信用収縮が起こった時のダメージがでかい。また、乱開発が起こらないように監視しておく必要もある。
「森林保護についても注意を。
経済活性化にともない乱開発が起こるかもしれないからね」
「はい。
FROG並びにNW森林組合とも連絡を密にしておくつもりです」
尋軌が頷いた。
「国家運営って難しいよねぇ」
ぽつり、と呟きつつ、視察を続ける一行であった。
Keyword(s):
References:[アイドレス/中央銀行] [イグドラシル] [アイドレス/作成作業状況] [藩国地図/第4層] [公示文/20130214−01] [アイドレス] [藩国データ]