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国内イベント/32

2011年お中元大作戦

更新情報

2011/08/11 公示文/20110810−01にて政策として提出

物語の経緯

 今年もお中元の季節が来ました。日ごろお世話になっている人たちに、感謝の気持ちを贈る、そんな季節です。逗留ACE、猫士に犬士、政府職員の皆さん。いつも世界忍者国を支えている彼らに、ねぎらいと感謝を伝えるいい機会です。

 ということで、例年どおりお中元を彼らに贈りたいと思います。

イベント内容

  • 逗留ACE(個人ACE含む)
  • 猫士・犬士
  • 政府職員(国有施設職員他、派遣含む)

 上記の国内の人々に感謝の意を伝えるための国内イベントをおこないます。つきましては、以下のものを募集しますので、

イベントスレッド

までご投稿ください。

  • SS
  • イラスト
  • 寄せ書き

 まとめて政策として提出します。

贈答品1:タオルセット

下記ロイ柄のバスタオルおよび、同じ柄のフェイスタオル2枚組セット(「SS:サプライズ・プレゼント」参照)。

roy_bathtowel.jpg
イラスト:結城由羅

贈答品2:手作りクッキー

カヲリさんの新作クッキーをみんなで作りました(末尾「SS:世界忍者国の良心」参照)。

cookie.jpg
イラスト:結城由羅

SS:始まりの日常(文:結城由羅)

「あああっつぅ」

藩王結城由羅は、執務室でだらしなく足を投げ出してだれていた。

「はしたないですよ」

ちょうど、差し入れの麦茶を運んできた、桂林怜夜がそれをたしなめる。

「暑いんだもんよ〜」
「第一世界ほどじゃないでしょう」
「まあねぇ。でも、こっちはクーラーないからさぁ」
「健康的ですよ」

温暖な気候の世界忍者国は、緩やかな四季を持つ。
冬には地面にうっすらと雪が降り、夏には入道雲に蝉の声が響く。
気温は高いが湿度はあまり高くないので、不快指数的にはそれほどでもない。

「夏だねぇ」

由羅はおとなしく座り直すと、手渡された麦茶をすすった。
冷たくて、うまい。
なんやかやとありつつも、それなりに日常は進んでいく。

「…ということで、お中元贈るからよろしく」
「…唐突ですね」
「いやー、今ちょうどあがってきた企画書見てたとこでさ」

ひらひらと紙を見せる。
そこには「2011年お中元大作戦!」というボールド20pt文字で書かれたタイトルと、摂政印が押されていた。

「ああ、尋軌摂政の企画ですか」
「ういうい、今年もいつもお世話になってる方々向けにやるよ〜
 ってことで、なんかアイデアあったらよろしくー」
「夏らしく、すいか割りとか、流しそうめんとかもいいかもですね」
「こないだはそうめんやったんだっけ?
 もう覚えてないなぁ…」

ポリポリと頭をかきつつ、遠く目を細めて、窓の外を見やる。
城下町の街並みと、遠くに広がるトウモロコシ畑。
何年も、この世界では何十年もの間、この窓から見渡してきた風景。
いつまでも続くわけがないことは知っていた。
むしろ、よく長く続いてきたというものだろう。

「世界の終わり、か」

ぽつりと呟く。
え?っと聞き返してくる怜夜に、なんでもないと首を振ると、由羅は次の書類を手に取った。

「お盆祭り企画書、と…これもやらんとな。8月4日のロイ祭りと合同でやるか…」

ぶつぶつと呟きながら頭をひねる。

「…がんばってください」
「ういー」

怜夜が出て行きつつ激励の言葉を残していったのへ頷きつつ、机の上の書類の山にため息をついた。

SS:サプライズ・プレゼント(文:結城由羅)

「さて、それで何を贈ろうか」

ひとしきりの書類整理に飽きた結城由羅藩王は、
おもむろにニンジャテーベーショッピングのカタログを引き出しから取り出した。
ニンジャテーベーショッピングは、建国以来続く由緒正しい国営通販番組である。
基本はテーベーで紹介された商品を瞑想通信で注文すれば、
黒猫忍者の特配便で迅速に送られてくる、という仕組みである。
望む顧客には定期的にカタログも配送されるので、何かと便利である。
公務で忙しい藩王も愛用していた。

最新のカタログでは、時期的にちゃんとお中元特集が組まれている。
一時は手作りでゼリーでも作ろうかとも考えたが、夏に食べ物は痛むといけないので、
あきらめることにしたのだった。
昨日桂林怜夜団長に意見を聴取したところ、タオルやサラダ油はどうかと返ってきた。

「ロイ像柄タオルあたりが無難かねぇ」

最近では、ロイ像マークもバリエーションが増えたが、
夏というところで、相変わらずビキニ半裸の絵柄が多い。

「これとか、細マッチョでいいんじゃね?」

バスタオル全面に、USA柄のビキニをまとったロイが白い歯を見せつつポージングしている。

「…すでに像じゃない気がする」

その隣には赤ふんバージョンが掲載されていた。
さらに向かいのページには、赤ふんセットがなぜかやはりお中元として並んでいる。

「…こんなん売れるのかね?」

自国の国民性に色々疑問を抱きつつうんうん唸っていると、ふっと影が落ちた。

「はんおーさま、新しい書類をお持ちしました」
「うえええ」

前に立った久堂尋軌摂政がにこやかに、両手に抱えた書類を、机の上に積まれた書類の上に載せる。

「せっかく減らしたのにいいい」
「しばらく留守されてた分働いていただかなくては」
「…また旅に出たくなる…」
「何か言いましたか?」

摂政の笑顔が怖かったので藩王は口をつぐんだ。

「あ、そうだ」
「はい?」

ちょうどいい、とお中元は何がいいか聞いてみる。

「そうですねぇ
 どなたに贈られたいんですか?」
「あーロイ・ケイリンとか、くろじゃーとか?」

ふむふむ、と頷く摂政。

「やーこのタオルとかどうかなぁとも思ったんだけど、
 面白くないよね」

輝く白い歯USAビキニなロジャーバスタオルの写真を見せると、摂政は首をかしげた。

「それなりにインパクトはありそうですが」
「今更動じない気がするんだよねー」

何しろ、至る所にロイ像が立ち並ぶ国である。
団長の涙ぐましい着衣運動があったとはいえ、夏ともなると水着姿に戻されるものも多い。
見てるだけで暑苦しいらしい。
ということで、逗留ACEたちもいい加減慣れていないとおかしい。

「うーん、動じる。動じる、ねぇ。
 はんおーさまには心あたりありますか?」
「あーロイ・ケイリンの方なら、
 団長のデレ、とか」
「おお!」

摂政がぽんと手を打った。

「変化の術で団長に化けて、デレるんですね」
「そうそう
 団長が返ってくるタイミングを見計らって」
「ああ、
 だめーと乱入したタイミングで種明かし、と」
「団長は、ほっとくとぜったいビキニとか着ないからさぁ
 ロイにサービス?も兼ねて、
 こんなやつを着せて」

藩王はぱらぱらとカタログをめくると、水着のページを開いた。
「今年の夏はセクシーなビキニで彼氏をノックアウト!」
などというポップな文字が躍る下に、いくつかの女性用ビキニが並んでいる。

「ロイから直接秘儀を学んだ我々の変化の術なら、
 完璧に団長そっくりになれるからさぁ」
「こんな感じですな」

どろん、と尋軌摂政が化けてみせる。
スタイルのいい団長そのままに、並んだ女性用ビキニの中でもひときわセクシーな、
Tバックのマイクロビキニを着ていた。

「すごいすごい、まじそっくり」
「そうですか?
 じゃ、こんな感じで」

うっふんとしなを作ってみせる摂政に、藩王はきゃっきゃと喜んだ。

「うっわー中身ひろきしゃんだと思うとえっぐいわぁ」
「えー」

reiya_summer01_S_red_2.jpg
イラスト:結城由羅、
背景素材は素材屋じゅんさまからお借りしました。

そのとき、執務室の扉が開いた。

「じょーおーさま、おやつのじか…」

差し入れのケーキと紅茶の載った盆を手に持ったまま、怜夜がその入ってきた場に固まる。

「なんて格好してるんですか!はしたない!」
「水着だもーん。超似合うと思わねー?」
「似合っても似合わなくても、私の姿でそんな格好しちゃだめえええ!」

あわあわと盆を抱えて、駆け寄ってくる。
そして、盆を藩王に押し付けると、上着を脱いで、ビキニ姿の自分の姿にかけようとする。

「ひろきしゃん、そのままロイのところへごー」
「まじですか!」

団長を思わず避ける摂政へ、藩王の指示が飛ぶ。

「尋軌さんー。その格好で外に出ないでーーー」
「やだなー。団長。水着ですよ、水着ー」
「水着でもだめー」

捕まえようとする怜夜、かわす尋軌。

「だって、君絶対こんなの着ないじゃん。ロイがかわいそうじゃん」
「か、かわいそうでいいんです!!!」
「えーじゃあ、やっぱりひろきしゃんが行くしか」
「だめったらだめー」

怜夜を後ろから羽交い絞めする藩王。

「えーどうしましょう?」

困った顔の摂政。
さすがにストーリーキングまがいはためらわれたらしい。
んーと首を傾げて考える藩王が、数秒後にやっと笑った。

「じゃあ、こうしよう
 君本人がこのビキニを着てロイに見せるならひろきしゃんは行かない
 君が着ないならこのままとつげきー」
「なんですかその二択は!!!」
「さあ、どうするどうする〜?」

怜夜はがっくりとうなだれた。
にやにや笑う藩王。

「あ、セクシーランジェリーでもいいよ?」
「まだ水着の方がましです!!!」
「夜の生活が豊かになるのに…」
「ならなくていいんです!!!」

ぜいぜいと息切れする怜夜を、しょーがないなぁと笑って解放する。

「じゃあ、私はもういいですか?」

苦笑しながら見ていた尋軌摂政が言うのへ、藩王が頷くと、どろろんと変身を解いた。

「じゃ、練習兼ねて今やってもらおうか」
「え?!」
「何のかんのと言って逃れようとするだろうからねぇ
 あ、ひろきしゃんはちょっと席を外してね」
「うううう」
「はーい」

その後、タオルセットとともに、サプライズ・プレゼントがロイ・ケイリンの元に届いたか、
…それは藩王と怜夜しか知らない…。

SS:世界忍者国の良心(文:結城由羅)

「あっづぃ」

王城のロビーの机の上で、倒れ伏しているのは結城由羅藩王だ。 午前中は、夏休みの宿題よろしく、書類と格闘していたのだが、 日が昇るにつれて気温が上がってきて、とても耐えられなくなって、 ロビーに避難してきたのだ。

ここはクーラーはないが、扇風機が設置してあった。 だらだらと汗を垂らしながら、わずかな涼風にすがる。

「もう何台か、扇風機増やすかなぁ
 つか、執務室に1台くらいあってもいいんじゃね?」
「まあ、夏日が少ないですからねぇ」

暑いのに涼しげな表情で、ジュースをすすりながら久堂尋軌摂政が答える。

「明日か、明後日には涼しくなってくると思いますよ」
「むー」

温暖な世界忍者国では、気候の変動自体がそう大きくない。 夏日は盆の時期のほんの数日である。 ということで、その数日さえ我慢してしまえば、過ぎ去ってしまうのだ。

「でもさぁ、慣れてないからこそしんどいってのはあるよねぇ」
「まあ、そういうこともあるかもしれません」

「そういうときは、人狼領地へ避暑に来られてはいかがですか?
 今の時期も涼しいですよ」

そう、口を挟んできたのは濃紺摂政である。
人狼領地の監督をしていることが多いが、今日は色々な打ち合わせもあって、 王城へ出仕してきていたようだ。

「あー避暑行きたいけどねぇ
 仕事溜まってるんだわ」
「仕事ごと移動してもいいと思いますよ」

うーん、と唸る由羅に、濃紺は微笑んだ。

「なんか、片付けてるうちに暑い時期が終わりそう…」
「そうですかw」

まあ、別にどっちでもいいんですけどね、と肩をすくめる。

「それで、仕事ってのはなんなんですか?」
「あーそうそう、お中元なんだけどさ。
 これでいいと思う?」

丁度いいと、お中元用の輝く白い歯USAビキニロイ柄バスタオルセットを濃紺に見せた。 見せられた濃紺は、微妙としか言いようのない顔をした。

「ネタとしてはいいかもしれませんが、こう嫌がらせ的なものを感じますね」
「いや、愛を感じて欲しいんだけど
 …だから、そんな可哀想なものを見る目で見ないで!」

濃紺は目を逸らした。
由羅がうっうっと泣いていると、 そこへ優羽カヲリが、ほわわんという雰囲気をまとって入ってきた。

「はんおーさま、お中元なんですけど、クッキーとかいかがでしょう」

そう言って、手に持ったかわいらしい袋に包まれたものを取り出す。

「とうもろこしの粉で作ってみたんです。
 ジンジャーも入れてみた新作なんですよ。
 ジャムクッキーのジャムはベマーラのジャムなのです(*´ω`) 」

ほんわりとした笑顔で言ので、周りがほんわりした。

「ああ、さすがは、世界忍者国の良心」
「カヲリさんとエドは存在するだけで癒されますね」
「まったくです」
「エドちゃんのかわいさは凶器!」

突然、どこからか湧いて出たくぅが力説した。

「えっと、お呼びですか?」

エド・戒が、きょときょとと顔を出す。

「エドちゅわあああん」

ルパンダイブしかけたくぅを、すかさず由羅が踏んだ。

「むぎゅう」
「自重」

踏みつけたまま、エドに向き直る。

「あー丁度いいところに、これからカヲリさん作のクッキーを大量生産するからさ。
 手伝ってよ」
「はーい、わかりました」

にっこり、かわいらしく微笑む。
由羅の足元で、くぅがじたばたと暴れた。

「くぅさんは、おとなしく手伝うなら解放。
 エドちゃん邪魔するなら、このまま、簀巻きね。
 どっちがいい?」
「おとなしく手伝いますぅ」
「よし」

ということで、女性陣に準備を、男性陣に材料の買出しを指示する。 じきに、作業が開始され、王城に甘い香りが漂った。

「あーこれでようやく、まともなお中元に…(ほろり)」
「そう、思うなら最初からまともなもの選びましょうよ」

目元を押さえる由羅に、桂林怜夜が突っ込んだ。

「いや、多分半分は君のせいだから」
「なんで!!!
 変なタオルとかとかやめましょうよー」
「手配済みだから無理」

世界忍者国は今日も平和だった。

SS:配送手配の様子(文:久堂尋軌)

お中元お歳暮は、世界忍者国では一般化された文化である。 日頃のお礼を込めて、無理のない程度のものを差し入れるのだ。

「そこそこ、その品はあっちに置いて其処のはこっちね!」

毎回の事ながら、王城の倉庫の一角に臨時に作られた配送所では大勢の忍者猫や忍者犬が指揮されてお中元の品をまとめていた。

今回のお中元の配送に関する指揮を執ることになった尋軌は珍しくシステムとしての説明書の作製も行っていた。 これは、今後のことも考えて自分や指揮する人がいなくてもシステムが回るようにするための配慮であった。

「む〜、もうすこしスピーディに回せるだろうけど…うちらがいないならこんなものかなぁ…」

ぼやきつつも、慌てて転びそうになる新規猫士のねぴあを支えると、崩れそうな箱を抑えて

「はいはい、無理に重ねなくていいから。安全第一に考えてね」

忍者猫・忍者犬たちはよくは働いてくれている。まぁ、バイト代は払うのだがその働きはしているように見えた。

「よし、大体準備はできましたね。では、これからツーマンセルで配達に向かいます!安全第一で宜しく!何かあったら連絡してくださいね」

「「はーい!」」

大量の品を載せたそれぞれのリヤカーに、二人一組になった彼らを送りだすと、帰って来た時の為の御馳走を作りに厨房へと消えていくのであった。


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Last modified:2011/08/11 00:13:25
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References:[イベント] [公示文/20110810−01]