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「あ、くらげも募集しないとな」
佐々木社長への感謝状をしたためつつ、藩王結城由羅は呟いた。
「遣ったら減るわけでもないですよね…たしか」
隣で別の書類を書いていた久堂尋軌摂政が、顔を上げて聞いた。
「1ターン1回という制限があるだけじゃね」
由羅はそれへ頷いてみせた。
「じゃぁ、もちろん私のも遣ってくださいです〜」
「ありがとー」
さて、と手紙を封筒に納めて立ち上がった由羅は、それを尋軌摂政に渡して手をひらひらと振った。
「じゃあ、他のくらげ持ちにも声かけてくるねー」
「はあい、いってらっしゃいませー」
釣られてひらひらと手を振った後、ふっと藩王のデスクに山と積まれた書類に目を落とした尋軌摂政は、首を傾げた。
「あれ? 逃げられた?」
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「くらげを見る会に参加しませんか」
工房で近所の人に頼まれたにゃんばいんの整備をしていた優羽カヲリの目の前に、くらげの絵が描かれたプラカードを持って、由羅がにゅっと現れた。
「くーらーげー」
そして、謎の踊りを舞い始める。腕をひらひらさせて、くらげらしい。
カヲリは、あんまりいつものことなので、特にあわてず騒がず、ほんわりほほ笑んだ。
「あっはい、お聞きしました。参加しますー」
「ありがとー」
「一回やってみたかったです。くらげ哲学(*−−*)」
「じゃあ、4人でくらげを見るよーありがとー」
「はいー4人でくらげ見てぽーっとしましょう(ぷよ〜」
「よし、予行練習だ!」
ぷよぷよぷよ。じいいいいい
由羅がくらげの舞を踊り、それを、カヲリがじっと眺める
ぷよぷよぷよ。じいいいいい
そして、ふたりでぼーっとしてみた。
「(…Σなんかだめそう)」
「人間にはやはりなごみが必要だと思うのよ!!」
「たしかになごみは必要ですっ むしろなごみメインなゲームをー(ぱたり」
「殺伐はいやねう。ぷよぷよ…ああ、くらげかわゆす」
「くらげさん・・・(ぽー」
「このぷよめーぷーよーめー(ぼー」
「ぷよ……ふよ…(ぽ〜」
「ということで、やってみるお!」
「はいーっ(><)ノ」
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「くらげを見る会にかむ」
世界忍者大学学長室にひょっこり現れ、相変わらず謎のくらげ踊りをしながら勧誘を行う由羅に、桂林怜夜は頷いてみせた。国民のスルー技能は日々強化されているらしい。
「私はおまけでー」
「一緒に見るかどうかの確認だお」
「見ますよー。確率上がりますから」
「ういうい、団長参加、と」
「ええ」
ふよふよしながらも器用に、参加表に丸を記入する。
「単にみんなでクラゲを見るというのはなんか絵的に面白そうという。そういうくだらない理由でやってみたい」
「・・・・・・うちらしいです」
「うむ」
「じゃ、やりましょう 」
などというやり取りの結果、無事にくらげを見る会が開催されることになったのであった。