新・世界忍者国 作業掲示板
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  [No.273] [固定URL] SS 投稿者:桂林怜夜@世界忍者国  投稿日:2009/02/19(Thu) 01:05:54

働く母親に必要な援助を。
これが世界忍者保育園設立のきっかけの一言だった。

「与えるものじゃなく、自立を促すものにしたいねう」
国内の働く女性の筆頭、どころか、数人分以上の仕事をこなす結城由羅藩王が重々しく口を開いた。
「国が守ることもできますが、それだと彼女達や子供達は一生誰かに頼って生きていかないといけない。何より国の補助や資金の援助には限界があります」
鐘音財務大臣が続ける。
「それなら職場と保育園からですね」
「トワイライトスクールも併設しましょう」
わいわいと皆から意見が出る。
「でも、保育園で過ごすのは子供なんだから、子供中心で考えましょう」
何気ないエド・戒の一言が、今後の流れを大きく変えることになった。

「どのようなこれからの世界忍者国の子供になって欲しいか」

黒板に大きく書かれた文字の前に、学級委員よろしくみはえる元摂政が立っている。黒縁眼鏡に学生時代のローブのような制服。横には真っ赤なミニのスーツと眼鏡着用の藩王。
「意見のある人ー」
はい、はい、と元気よく手が上がる。何故か皆、学生服姿だ。
「まずは元気に逞しく」
濃紺摂政の答が黒板に書き込まれる。
「全てを受け入れる大らかな心が我が国の美徳ですよ」
尋軌摂政。今回、子供の気持ちを考えるために学級会風にしたのは彼だが、どこから人数分の制服を集めてきたのかは何も言わない。サイズがぴったりで、皆の出身校に似ていることも謎だった。だが、世界忍者国では普通のことである。
「ちゃんと計画性のある子に。行き当たりばったりで傭兵してちゃめーですね」
可銀工場長の言葉に、一瞬沈黙が広がる。
「計画性・・・・まずは宿題をきちんとする子に?」
「宿題は夏休みの最後の日にやっていたネウ」
「奇遇ですね。私もです」
「私も」
「やらなかった(えっへん)」
以下略。
「夏休みの宿題は最初の数日で終わらせるものですよー」
「いえ・・・・・、毎日するものですー」
数人の女性の意見は南国の太陽に対する森の霞のようにはかなく消えていった。

ー黒板が真っ白に埋め尽くされた頃ー
「まず、理想的な国民を考えよう」
意見が出すぎて、保育園の方針が決まらないという事態になりつつあったので、話題が変えられた。
大事な部分はみはえる委員長がノートに書き込んでいる。
「理想的な国民・・・・・」
「わたしわたしー」
「美少年ハンターだらけの国って怖くない?」
「へーかとくろじゃー」
「いや、待て」
くぅの意見にビシと教鞭を突きつける結城由羅先生。ほんのり頬が赤い。
「私は・・・・うっかりだからダメです」
「ぼくー」
「駄犬は黙ってろ」
「となると・・・・・」
一堂、じっとただ一人を見つめる。
「カヲリさんしかいないねう」
「優羽・・・・・優しい気持ちを持った子に」
「それだ!!」
「犬と猫との融和の象徴にもなりますからね」
「玄乃丈さんは犬じゃないですー!!私も猫妖精じゃないですし・・・・」
優しいが故に、それ以上強く言えなかった優羽カヲリの目に、によによした一堂の視線が酷く鋭く突き刺さったのだった。


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