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とある山奥にて
5つの人影が見え隠れしていた
しんしんとつもる雪
偶に枝から落ちる雪の音と、雪を踏みしめる音だけが響いていた
「さてと、大分集まりましたね」
と手に持った籠をみる桂林団長
「そうですね、これだけあればたくさんできそうですね」
とほほえむはカヲリ、そのうしろの木陰ではもふっとした尻尾がゆらりとうごいたとか
「ところで、姉さん、自分で籠もってくださいよ」
「…え〜?」
と凍矢とくぅ。
凍矢の背には大きな籠が背負われている
「…(くきゅるるる)」
と、腹が鳴り、肩から下げた籠にたくさんはいった楓のように赤くなったエド
一瞬の沈黙のあと、静だった山に笑い声が響いた
山から降りた5人を待っていたのは
「あ、みんなおかえり〜」
ぱすぱすといい音を立てる油の前で割烹着を着て待ち構えていた摂政・尋軌であった
「ん〜、いい匂いがしてきたねぅ」
と、砂糖を火にかけ水飴をつくる藩王・十五夜
その横にカヲリが置いた楓の近くにあった薄力粉の匂いをかいで、粉が鼻に入ったのかちいさくくしゃみをした白狼…と、人狼領主
カヲリはちいさく笑い白狼から優しく薄力粉を払い、そのまま粉をふるいにかける
楓の葉は、くぅと凍矢によって塩をまぶされ、しんなりしてきた
しんなりしてきた楓をとり、水飴をかけ、薄力粉と氷水を混ぜた衣に浸し、油にいれていく
一度沈んでぷかりとういてくる楓を踏み台に立ったエドが網ですくい、紙に積み上げる
そして、ビニルの袋に桂林団長がくるみ、偶につまみ食いをしながら、さらにみなでビニルをちりめん紙でくるむ
「てんぷら日持ち大丈夫かな〜?」
「大丈夫ですよ〜」
みんなで御歳暮をつくる、そんな年の瀬