【要塞艦】
世界忍者国ではかねてより元人狼領地藩王大神が要塞艦の開発を強く訴えられていた。
これは質量攻撃や艦艇突撃による最終決戦を見越したものであり決して戦闘から逃げるためのものではなかった。
ある日世界忍者国藩王結城由羅は悩んでいた。
本当に、このまま行ってこの世界の終わりを超えられるのだろうか?
特に力のないわが国ではもしものことが起こったときに逃げることもなく終えるだろうことが見えている。
もしもがないとは言い切れない、竜の言ではわれわれはT18には滅びるとさえ言われている。
女王は基本的にはギャグや面白いことばかりを行うイメージがあるが、民などの大切なものを思うときのみシリアスになる。
基本はギャグで一定条件下のみシリアスなのは世界忍者の性質を体現しており、世界忍者国の女王らしいとも言える。
そんな女王の前に一枚の嘆願書が置かれていた、それは大神からのものであり要塞艦の開発を願うものだった。
「要塞艦は多数の武器を備え巨大でありまた何より堅牢である必要がある」
嘆願書ではあるものの必要なものを1ページ目から書いてあるところが面白いなと女王はそのまま元の思考に戻ろうとしたその時だった。
「そうか、これねぅ」
星見司でもある女王は気づいたのだ、世界が滅びたとしても生き残る道を。
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TLOと呼ばれるものがある。
これは現在の技術力では本来ありえるはずのないものを指す。
そして、発掘される時もあるものである。
そして、根源種族と呼ばれる者たちがいた。
この者たちは滅びる世界から逃げ放浪し、戻ってきたものとも考えられていた。
この二つを鑑みれば自分たちも世界の終わりに漂流することを覚悟すれば生き残ることができるのではないか。
今の世界を少しでも残すことができるのではないだろうかと、そう考えたのである。
そう、せめて、今は戦う力も持たない小さな子供たちだけでも・・・
こうして、要塞艦の開発がスタートしたのである。
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開発が決まった時、大神は喜んだがその内容を聞いて憤慨した、というより拗ねた。
強襲揚陸艦のはずがフル武装箱舟になっていたのである。
当然のように二人の間で意見が割れた。
周りも同じでどちらを開発するかを決めることはなかなか出来ないでいた。
一応互いの要望を受ける形で設計案を作っては見たものの1〜5号計画書まではすべて破棄される形となった、開発担当である松永も困惑するしかなかった。
そして6号計画書についての会議が行われることとなった。
この6号計画書の会議は摂政の濃紺が取り仕切っており資料の作成配布にも当然関わっていた。
ここで濃紺は何を思ったのか開発局が制作したわけではない7号計画書と書かれた封書を同時に配布した、ちなみに製作元はKMDNなる見たこともない名称だった。
当初の予想通り6号計画書が破棄される運びになったところで7号計画書の封を開ける事になった。
最初は怪訝そうな顔をしていた松永であったが封書を開封した直後、激しく困惑した。
そこにあったのは数日前にお遊びで考えた要塞艦だったのである。
1〜6号計画書では都市船やそれこそ要塞をそのまま船にしたようなものが計画されていた、それは当たり前の話である。
しかし、この7号計画書では全然別のものが書かれていた。
まず、居住ユニットと戦闘ユニットが別個に用意されているのである。
次に、それを牽引するかのように護衛する超巨大艦が戦闘ユニットであるのだが、そこにも仮居住スペースがある。