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  [No.2215] [固定URL] 課題1(作業中:まだ) 投稿者:結城由羅  投稿日:2021/01/01(Fri) 17:38:14

(1)主人公を五秒で理解できるエピソードを示せ 難易1(5分)

 その日、リタは一階の店で留守番をしていた。父親も母親もいないというのは珍しかった。

「あなたももう12だから、一人で店番くらいできるでしょう?」

 笑って言う母親に口答えはできなかった。引っ込み思案な性格は父親譲りなのだ。いつも尻に敷かれている父親は、母親に引きずられるようにして出かけて行った。
 客なんて来なければいいのに、と思っていたせいか、2人連れの客が店に入ってきた。少女と青年だ。
 接客しなければならないがどうしよう、と逡巡しているうちに、かしゃん、と脆い細工が床に落ちる音がした。

「お、お客様、大丈夫でしたか?」

 慌てて駆け寄ったリタは、声を掛けた相手からきっと睨まれた。

「勝手に落ちたのよ。置き方が悪かったんじゃないの?」

 豪奢な金の髪と気の強そうな紫の目をした少女だった。年頃は自分と同じくらいだろうか。着ているワンピースは派手ではないが、布の質と仕立てから高価なものだと見て取れた。

「は、はい、すぐ片づけます。怪我をされてはいけませんので、どうかそちらへ」

 身分の高そうな客の機嫌を損ねてはいけない、とリタは母親から口を酸っぱくして仕込まれている。何とか、営業スマイルも顔に張り付けた。

「お嬢様……」

 と、少女の後ろに影のように控えていた執事風の青年が囁くように少女に声をかけた。

「……わかっているわよ。力あるものの責務を忘れてはならない、でしょ」

 ぶすっと呟くや、こちらに向き直って傲然と顔を聳やかした少女を、リタは眩しく見た。なんて自分と真逆の存在なのだろう。自分のくすんだ茶色の髪と華やかさのない丸い黒目を思い出して恥ずかしくなる。

「壊れた物の分を含めてお支払するわ。こちらを包んでちょうだい」
「は、はい。あの、あ、ありがとうございます」

 指さされた小物を包むために棚から掬い上げる。支払いも受け取りもしたのは執事風の青年だった。

「品ぞろえはなかなか気に入ったわ。また来てあげる」

 少女がそう言い放って嵐のように去って行くと、どっと疲れが出て、リタは椅子に座り込んだ。
 あの子の半分でも自分に自信があれば、もっと生きやすいだろうになぁ、と、詮無いことを思いながら。

一時成功要素
(一時)両親が不在中の店の留守番
(一時)お嬢様の執事の支援:お嬢様をたしなめてくれます

新規成功要素:
 母親仕込みの接客ノウハウ(パワー2):身分の高い客の機嫌は損ねないようにします

成功要素提出
 営業スマイル・初級(パワー2):接客に使用します
 町娘としての体力(パワー2):店番くらいはへっちゃら

ダイス:4,4,2,2,2
MASTER◆結城由羅 > 5D6 → 4 + 1 + 4 + 6 + 5 = 20 (1/1-20:27:40)

2ヒット! クリア

(2)居候を五秒で理解できるエピソードを示せ 難易1(5分)

 精霊と呼ばれる存在がいる。彼らは森や川などの自然に力が溜まって生まれるのだとも、歳ふりた樹に宿るのだとも、長く生きた動物が変じるのだとも、まことしやかに語られている。
 ルイゼルトと呼ばれるその精霊は、自身がどう生まれたのか覚えてはいなかった。気が付けば、今あるままに存在し、精霊王に侍っていた。

「ルイ、次の巫女が選ばれたよ」
「巫女様が……」

 精霊王がそう告げた時も、その空間に揺蕩うように微睡んでいた。そうして、巫女という言葉に意識をやれば“思い出す”。巫女とは精霊王をこの世に繋ぎとめるもの。人間界より一人選ばれて遣わされるもの。今代の巫女はすでに百余年の時を過ごし、この精霊界にあっても人としての寿命が尽きようとしている。よって、次の巫女が選ばれた。
 そんな知識が泡のように湧いてルイゼルトを満たした。目が覚めるとともに、自分の“象(かたち)”を思い出す。真っ白な毛並みに金の目の猫。自認と共に容が定まり、額に緑の紋が浮かび上がる。

「だからね、ルイ、次代の巫女を迎えに行ってはくれないかい?」
「なぜ、俺なんです?」

 精霊とは精霊王に仕えるもの。本来、命じられたことには疑問を抱くことなく従うもの。だのに、ルイゼルトは反駁した。義務感や責任感よりも倦怠感の方が勝っている。
 第一、精霊王には自分よりも優秀な精霊たちがたくさん侍っていたはずではないのか。

「ふふ……ルイは人間界に詳しいだろう? そして、とても自立している」
「はぁ? 俺があそこにいたのはずいぶん昔ですよ」

 そう、それは記憶が溶けてしまうほどの昔。ただひたすらに面倒だ、とルイゼルトはなおも言い募ろうとした。

「これは定められたことだよ、ルイ。君にしかできないことでもある」

 だから行っておいで、と、優しく、だが有無を言わせぬ力で、ルイは“落とされた”。

「ああ、そうそう、任務に必要な力は渡しておくからね」

 意識が暗くなる瞬間、額の紋章が熱くなり精霊王の魔力が宿されたのがわかった。



一時成功要素:
 (一時)精霊とその王が住まう精霊界
 (一時)寿命の尽きかけた今代の精霊の巫女

新規成功要素:
 昔人間界にいた時の知識(パワー2)

成功要素提出:
 精霊魔法(パワー6):精霊王に託されました
 昔人間界にいた時の知識(パワー2):経験を買われたらしいです
 (一時)精霊とその王が住まう精霊界:ここから来ました
 (一時)寿命の尽きかけた今代の精霊の巫女:次代の巫女のお迎えが必要とのことです

判定:6がひとつあるのでクリア

成長:
 昔人間界にいた時の知識(パワー2)
  → 思い出してきた人間界にいた時の知識(パワー3)

(3)世界(町)を説明するエピソードを示せ 難易1(5分)


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