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  [No.1902] [固定URL] 緑肥と下肥 投稿者:山羊舐  投稿日:2017/11/20(Mon) 20:00:24

あるかと思ったら意外になかったので作っときました。


下肥(しもごえ)
○土壌改良行為
下肥とは
肥料として使う人糞尿のこと。新鮮な下肥の肥料成分は,おおむね水分 95%,窒素 0.5〜0.7%,リン酸 0.11〜0.13%,カリウム 0.2〜0.3%で、ほかに石灰,苦土,ケイ酸の少量と約1%の食塩からなっている。肥料としては濃厚でないが、速効性があり、基肥、追肥の両方に使われる。ただし、新鮮な下肥は作物に有害であり,衛生上も寄生虫などの危険があるので,貯蔵して腐熟を待ってから使用する。夏ならば1〜2週間、冬ならば3〜4週間で腐熟する。腐熟処理は肥溜めでの貯留によって行われる。肥溜めでは高温発酵が発生し、寄生虫卵や病原菌が死滅する。また、下肥を使用する際は希釈して用いるよう定められている。


緑肥(りょくひ)
○土壌改良行為
緑肥とは
栽培している植物を、収穫せずそのまま田畑にすきこみ、つまり、植物と土を一緒にして耕し、後から栽培する作物の肥料にすること。根瘤バクテリアとの共生により、空中の窒素を同化するマメ科のクローバー、ルピナス、ウマゴヤシ、レンゲソウなどが多く用いられている。

緑肥の効果
以下の通り。(1)有機物が増加し、土壌中の微生物がよく繁殖する。(2)土の構造がよくなり、水はけや保水力も高まる。(3)土壌中の微生物間のバランスがとれ、病害虫の多発を防ぐ。(4)施設野菜土壌の塩類濃度を低下させる。

C/N比(シーエヌ比・炭素率)
土壌中の有機物の動向を考える上で重要な指標のひとつ。C/N比が13の場合、窒素が1kgあったとするとき、炭素が13kg含まれることを意味する。

緑肥作物における土壌のC/N比に対する影響
「作物:C/N比」として以下に表す。
緑肥ヒマワリ:13〜40(40は花輪を含む場合)
緑肥トウモロコシ:20〜35
緑肥トウモロコシ(稈を含む場合):約45
C/N比が高い(20以上)有機物が土壌中にすき込まれると、土壌中の微生物がそれを分解するために多くの窒素を必要とする。このため、土壌は窒素飢餓の状態におちいりやすくなる。対策として、石灰窒素を添加することが有効である。一方、C/N比が低い有機物をすき込む場合では、多くの窒素が無機化して後作物に利用されやすい形になる。

C/N比による緑肥作物の使い分け
緑肥の後作が窒素要求量の多いタマネギやトウモロコシ等の場合、C/N比の低いマメ科の緑肥作物をすき込むことが有効である。逆に、ダイズ等ではC/N比の高いトウモロコシ等をすき込むことが、根粒菌の着生も促進し良い結果を得られやすい。

菌根菌
菌根菌とは植物にとって有益な微生物で、根が届かない場所の養分を吸収して植物に送ってくれる働きを持つ。特にリン酸を吸収する力が強く、植物にもリン酸をよく供給する。植物には、この菌根菌が共生する作物(宿主作物)と共生しない作物(非宿主作物)があり、以下の様に分かれる。
(1)宿主作物:菌根菌を必要とする作物
ひまわり、とうもろこし、マメ類、バレイショ、麦類、タマネギ、ニンジンなど多くの作物、ベッチ、クローバなど多くの緑肥。
(2)非宿主作物:菌根菌を必要としない作物
ナタネ、キャベツ、ブロッコリ、シロカラシ等アブラナ科作物、テンサイ、ホウレンソウなどアカザ科作物、ソバなどタデ科作物。
宿主作物を栽培する場合には、その前作に宿主作物を栽培することが有効である。

腐熟期間
土壌中に微生物とともにすき込まれた緑肥作物は、微生物によって分解される。一方、その分解過程の中で一時的にピシウム菌が増殖する。ピシウム菌とは苗立枯病の病原となる菌の一種で、畑地の地表付近の土の中に生息し、多くの作物に寄生して、死んだ植物も利用して長期間生き残ることができる菌である。そのため、緑肥のすき込み後は一定期間(夏季で3〜4週間) をおいてから、後作の栽培に入るべきである。

緑肥作物による各種センチュウ発生抑制効果
緑肥作物によるセンチュウ抑制のメカニズムを以下に記述する。
(1)作物内で殺センチュウ物質をつくり、センチュウを殺す(マリーゴールド等)。
(2)センチュウを根に侵入させるが,根内での増殖を抑える(または成長を停止させる)ためセンチュウが減る(ネグサレタイジ等)。
(3)シストセンチュウを孵化させるが、栄養源とはならないため、シストセンチュウを餓死させる(ダイズシストに対するアカクローバ、ネコブキラー等。この場合,レンゲは栄養源になってしまう)。

生物くん蒸
土壌くん蒸剤が使えない場合に近年注目されている、緑肥によるくん蒸処理。土壌くん蒸とは、農業施設などで連作を続ける際に必要となる処置の一つで、土壌中の微生物のバランスを崩した土を元に戻す処置である。

生物くん蒸の方法
生物くん蒸の場合、「緑肥用からしな(シロカラシ)」などの辛味成分(グルコシノレート)を含む植物をすき込むことで行われる。グルコシノレートは土壌中で加水分解されてイソチアシアネートとなり、イソチアシアネートが有害センチュウや細菌、雑草の発生を抑止する。注意点としては以下の2点がある。
(1)緑肥をすき込む際、植物体をできるだけ細かく砕き、その後できるだけ早くすき込むこと。これはグルコシノレートをできるだけ細胞外に出し、飛散しないうちに土壌中にすき込むために行う必要がある。
(2)すき込んだ後は、地表面をなるべく均一にしてローラー等で鎮圧し、可能であればビニールで覆うこと。これはイソチアシアネートは気体成分であることから、イソシアネートが地表面から揮発してしまうことを少しでも抑えるためである。なお、ビニールで覆えないばあいは散水することも有効である。
(3)すき込んでから後作物を栽培するまでは、通常の緑肥と同様に、一定期間(夏季で3〜4週間)おくこと。これは、イソチアシアネートはすき込み後数日で消失するものの、緑肥作物のすき込みと同様、有機物の分解時にピシウム菌が一時的に増加するためである。

農薬と障壁栽培
大量に美味しく安全な農産物を生産するには農薬は欠かせない。そのうえで、農薬散布時の飛散を防ぐ対策として、圃場の仕切りとして農薬飛散を防止する効果の高い緑肥植物を栽培することを薦める。この用途に用いる緑肥植物としては、緑肥トウモロコシ、ソルガム、ヒマワリなどが有効である。

緑肥植物としてのヒマワリ
初期生育が旺盛で、土壌の被覆が早い。また、雑草をよく抑える。開花期の草丈は2m以上になるため、障壁栽培に向く。また、播種期の幅が広く、1日当たり乾物生産量も多いので緑肥作物として優れている。ちなみに、美しい大輪の花をつけるので景観用にも最適。
播種期は5月〜8月。適期まきの場合、開花までの日数は播種後80日前後。播種量は10アールにつき2kg(約2万本)。条まきかバラまきをし、軽く覆土をして鎮圧する。
施肥は10アール当たりチッソ8〜9kg、リンサン8kg、カリ10〜12kgの割合で行う。
すき込み方法はトラクターなどで立毛のまますき込むのが良い。また、チョッパーで5cm位に細断し、生のまますき込んでもよい。もしくは、同様に細断したものを、2〜3日乾燥させてのちすき込む。

緑肥用からしな
初期生育が早く、短期間で高収量が得られる。花は黄色で、開花期の草丈は1m以上になる。耐倒伏性も強いため、障壁栽培に向く。生物くん蒸作物として利用した場合、トマト青枯病、ホウレンソウ萎凋病の抑制効果が認められる。春(または秋)に美しい黄色の花をつけるので、景観用にも最適。
播種期は中間地・暖地であれば9〜10月(開花3〜4月)、もしくは3〜4月(開花5〜6月)。冷涼地であれば5〜6月(開花7〜8月)、もしくは8月上下旬(開花9月中旬以降)。
開花期は秋まきの場合翌年春。春まきの場合播種後50〜60日。
播種量は10アールあたり2〜3kg。条まきかバラまきし、軽く覆土をして鎮圧する。
施肥は10アール当たりチッソ10kg、リンサン4〜5kg、カリ4 〜5 kg。石灰を施して、pH6〜7に矯正すること。
すき込み方法としては、チョッパーやハンマーモア・フレールモアなどで細断し、プラウやロータリーですき込む。作物が小さい場合や、柔らかい場合は、ロータリーでそのまますき込むこともできる。

緑肥トウモロコシ
初期生育が早く、低温伸長性も優れる。深根性で吸肥力が強く、有機質の生産も豊富である。
塩類濃度が高い土壌や有機質不足の畑によい。
播種期は4〜8月。日平均気温が10℃以上になれば播種できる。
播種量は10アールごとに4〜5kg。条まきかバラまきし、2〜3センチメートルの覆土をして鎮圧する。
施肥は10アールあたりチッソ12kg、リンサン15kg、カリ8kg。
すき込み方法はトラクターなどで立毛のまますき込む。または、チョッパーで5cm位に細断し、生のまますき込む。もしくは、細断したものを、2〜3日乾燥させてすき込むとよい。


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