働く母親への手助けを。
人狼傭兵部隊の壊滅の影響を受けて国内に急増した寡婦・孤児対策としてまず掲げられたのが食糧の提供についてであった。
世界忍者国は温暖で、冬だけでも南方に避難すれば、住居や衣料の心配を急ぐ必要は無い。
けれども、いくら農業国とはいえ、食糧はあっても食事の用意をするのは難儀である。
食べ盛りの子供達に味気ない配給食をいつまでも配るのは、藩王始め旧世界忍者国側の心が痛んだ。
最初、国内の弁当業者に大量発注して、日に三食配るという案も出たのだが、寡婦であるなしに拘わらず、多くの女性から反対を受けた。
『市販の弁当は太る』
という至極最もな意見に頭を悩ませる者もいたが、国内の医療機関から栄養の偏りや食育の重要性を指摘され、食産業について正式に委員会が発足することとなった。
「やっぱり、お母さんの作る料理が一番」
委員会でのこの一言がきっかけとなり、家庭料理を中心とした献立を各家庭から募集し、それを栄養士の指導を経た上で一ヶ月間の献立表に纏め上げる。旬の物や季節の行事に関わりあるものは優先的に組み入れるようにする。
こうしてできた弁当を配給したのだが、味の評判は良いものの、冷めている為に満足感が足りないという意見も多かった。
そこで、国内の魔女達により、つい1時間ほど前に出来上がった温かい料理を配るシステムが出来上がった。
これは当初、給食としての保育園・就学児童用と弁当工場内の賄い用だったのだが、忙しい他の国民からも要請があり、国内に広まっていった。
大量数の注文がある地域は直接配送している。
農家はにゃんばいんシリーズで各畑に配っていたのだが、畑が広い為、コメットから落下傘を付けて弁当を降下するのが現在では一般的である(要予約)。
また、中食用に小分けにしたおかずの販売を望む声もあり、大小様々な工場で食品が作られている。
最近では珍味として、世界忍者子国内では評判の宜しくないシュー(以下略)缶が国外の金持ち(鍋の国など)に一部輸出されていることもあり、お菓子や土産物などの食品を加工する工場も増えてきている。